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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
11章 閉じられた瞳
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146話 閉じられた瞳7

 宴会場に入ると、十数人が、既に食事を始めていた。


夜神(やがみ)様ですね、そちらの席にお掛け下さい」


 メイド服を着た女性に指示された席に座ると、天音も私のすぐ隣に座る。

 ……食事の見た目は普通だが、中身はどうだろうか?

 スープを少しだけ口に入れ、スプーンを下ろす、隣を見ると、天音はまだ料理に口を付けていない。


天音(あまね)、それ、食べない方が良い」

「……分かりました」


 理由の説明はしなかったが、天音は素直に従ってくれる。

 ……そろそろ相手側から、何かのアクションがあっても良い頃だと思うのだが……どうやら来た様だ。

 狸みたいな顔をした親父がやって来て、恭しく、頭を下げる。


「このような時間にお呼びし、申し訳ありません」

「こちらで通常ならば構わない」

「ありがとうございます、それで、本題に入ってもよろしいでしょうか?」

「ああ、好きにしてくれ」


 大概、適当な対応だが、狸の言葉に私は耳を疑った。


「我々に協力していただきたい……断れば、貴女の大事な人が危険な目に遭うかもしれませんよ」

「……(とよ)に何をした?」

「いえいえ、()()、何もしていませんよ」


 まだ、という事は、その内する気だという事だ。

 ……こういう場合、私が承諾した所で、豊が狙われ続けるのは明確だな。


「却下だ、豊はそれを望まない」

「ほお、彼女がどうなっても構わないと?」

「ブラフだな、豊の捕縛はまだしていないのだろう、しているのであれば、もっと強気に出る筈だからな」


 豊の現在の居場所を調べる事など、大した事ではない、豊に対する、絶対の権限を持って居る以上、私に対してだけは、プライバシー等、無いも同然だ。

 ……まあ、普段はそこまで豊が個人的にしている事を覗いたりはしていない……豊なら見られても気にしないと思うが。




「……さて、こちらからも一つ良いか?」

「何でしょう」

「何故、私と天音の料理に毒を持った?」


 天音に料理を食べさせなかった理由がそれだ、周りを見ると、スープ料理は私と天音にしか配られていない、だから、両方の皿に毒が入って居ると見て間違いないだろう。


「我々に貴女を殺すつもりはありません」

「そうだろうな、痺れ薬で死ぬ事は無いだろう」


 入っていた痺れ薬は強力な物で、一口でも体が動かなくなる程度の効果がある物だった……私は暴食の力のおかげで全く害は無いが、天音が食べてたら、まずかった。


「それと、理由は聞かないが媚薬も少々入って居たな」


 正確には催淫作用のある植物だ……こちらは少量かつ効果の低い物だから、何故入って居るのかよく分からない、天音が全部飲み干しても問題ないんじゃないかって程度だ。


「最後に一つ、質問をしよう」

「なんでしょうか」


 優位に立った状態で、切り札を出す。


「先ほどから、この部屋を完全に包囲している、全身鎧を着込んだ集団についてご存知ですね?」


 もはや、質問ではない、この国の為になる行為なのは癪だが、天音の為に屑を一層してあげるとしよう。

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