14話 帝国騎士
私が帰還すると直ぐに侵入者のアラームが鳴る・・・変えるの忘れてたよ。
使えるようになった魔法も使いたいが使い方が分からない、空にメールで聞いてみると能力によって出来る事に限りがあるけど基本はイメージを具現化する事らしいけど、それが出来ないのだ。
理由は簡単、タロットカードのイメージを具現化するってどうしろというんだ、抽象的すぎる、使いこなせれば強いだろう、だが小アルカナのイメージは分かりにくい、ハマってると言っても覚えてるのは大アルカナだけだからなぁ。
ちなみに大アルカナ、小アルカナというのはタロットカードの絵柄の大きい分け方で「太陽」「星」「塔」などの寓意画が描かれた大アルカナが二十二枚と、小アルカナは「ワンド」「カップ」「ソード」「コイン」の四種類が十番までの数字札と四枚の人物札がそれぞれある計五十六枚あり、合わせて七十八枚でタロットカードは構成されている。
小アルカナはトランプの元になっているが今は関係ない。
小アルカナは四大元素を当てはめる事もあり、植物の絵柄の「ワンド」が風、刀剣の絵柄の「ソード」が火、水を入れる杯の絵柄の「カップ」が水、金貨の絵柄の「コイン」が土となるから、それを使うのも良いかもしれない。
それはそうと侵入者は当然あの男二人で現在一階層目をさまよっている。
音声も繋げるようなのでやってみる。
「やべぇ、ここはまさか・・・」
「ダンジョン・・・か、まさか誘導されていたのか?」
いやしてない、全く覚えがない。
「だが帰り道も解らなねぇ、どうすればいいんだ?」
「さっきから同じ場所をぐるぐると回ってるみたいな洞窟だな、方向感覚を失いそうだ」
・・・さっきから同じ所を巡回してます、方向感覚は既に崩壊してます、むしろこのダンジョンに辿り着いた事が驚きだ。
こいつら馬鹿なのか?油断していたとはいえ隠れてた私を発見したんだからそれなりに強いのは明確だけど迷路は苦手なのか?
「お、階段だ下に続いてるぜ」
「戻る道を探すべきだと思うが、返す気はないようだ、仕方ないか」
帰ってくれて構いません、帰ってください、さっさと帰れ。
男たちが地下二階へと降りてくる。
「森・・・か、まさにダンジョンだな」
「だが、ここまで一体もモンスターが居ないのは異常じゃねぇか?」
「ダンジョンマスターが召喚してないのだろう、余程の自信があるのかただの馬鹿のどちらかだろうな」
・・・DPが無いのが一番の原因です。
まあ、そろそろ出ようか。
マスタールームの扉を開けてそっと外に出る。
気配を消して木々の上を飛び移って忍び寄る、全ての木の配置は覚えている。
一気に幹を蹴り切りかかる。
「誰だ!」
軽めに放った匕首は素早く抜き放たれた太刀によって防がれる。
「なかなか強いですね、まあ私の相手ではないようですけど」
「女・・・だと?」
「気を付けろ!そいつは普通の人間じゃない」
「失礼ですね、人間ですよ一応は」
動くに動けない二人に対して自己紹介をする。
「私は夜神星華と申します、ここのダンジョンマスターです。」
「なんだと!」
武器を構えようとする二人に全力で殺気を叩きつける。
「死にたいんですか?私は躊躇しませんよ」
その瞬間二人は金縛りにあったように動けなくなる。
「本当の殺気は初めての経験ですか?」
それは無いだろう、死闘を行った事も一度や二度ではない筈だ。
「重圧が・・・動けない」
殺気を解いて開放する。
「さて、聞きたいことがあるんですよね、答えて頂けますか?」
「なるほど、あなたたちはここから南に行った所にある帝国から、調査のために来た帝国騎士、間違いありませんね?」
「ああ」
「それで、何か用ですか?」
「我が帝国に着いて頂きたい、実力主義を旨とする我が帝国ならどのような者でも受け入れる」
「断る、自分より強い者が中に居ては帝国も面倒でしょう?でも、気分次第では行くかもしれないから」
「その時はお願いします」
暫く行く気はないけれどそう言っておく。
「さて、そろそろ帰られてはいかがですか?」
「ああ、そうさせていただく」
「案内します、貴方達は素で迷っていたようなので」
半ば追い返すようにして男たちを返す、ついでにこのダンジョンの正確な位置を言わないように言っておいた・・・どこまで効果があるか解らないけど。
「あ~疲れた」
「侵入者を追い返したダンジョンマスターは居るけど、話し合いで成し遂げたのは他に居ないよ」
いつもながら馬鹿が来た。
「最初から最後まで反撃を認めなかっただけ、話し合いには程遠い」
結局脅してただけだから。
「いや、それでも凄いと思うけどね、威圧感がね、覗いてた私まで一瞬ビビった、漫画とかで出てくるヤクザの令嬢ですかって感じ、そんなもんじゃ済まないけど」
アザトースも疲れてたのかさっさと帰って行った。
今日は疲れたもう寝よう。
食料の調達も出来たし問題ない。
後の事は明日考える、そうしよう。