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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
11章 閉じられた瞳
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141話 閉じられた瞳2

 メールの内容を話すと、案の定(とよ)が私に付いて来ようとするのを、子一時間掛けて(なだ)め、一人でダンジョンを後にする。

星華(せいか)ちゃん、危ないことはしないでね」

 ……出発前にそう言われたものの、相手が相手だけに、穏便に済むかどうか怪しいな。

 集合意識を持つ者達の中で、取引を持ちかけるメールを送る権限を持つとなると、かなり高い階級である可能性が高い……それにメールの送り主の名が【M】、私の考え付く上位の天使で、頭文字がMの天使は二人。

 一人は天軍を率いる者、ミカエル。

 そしてもう一人は、最も神に近しいもの、天の代理人、メタトロン。

 どちらも非常に力のある天使であり、神に背く者には一切の情けを掛けない裁定者だ。

 ……だが、だからこそ、その発言力は強く、彼等が私の事を認めたのであれば、これ以降天軍に煩わされる事は少なくなるはずだ。


 考えながらも歩き続けて、ふと気付く。

 普段なら、私に怯えながらも様子を伺う、野生動物や魔物が居るのだが、今日に限ってはその気配が一切しないのだ。

 ……天軍が根回しした様だな、魔に属す私であれば怯えながらも様子を伺う魔物も、天に属する勢力が、浄の力で清めた後には寄り付かないのだろう。

 まあ、一度浄化されても、数日もすれば薄れて元に戻るだろうけど。


 天軍の根回しもあり、特に障害なく聖神国に到着した。

 門番に私の名を伝えると、直ちに門が開けられ、神殿に向かうように促された。

 その神殿というのが、この国の政治などが行われる場所で、通常の国の王宮や、国会に相当すると考えて問題ないだろう。


「お待ちしておりました、夜神星華様」

 神殿の前に到着すると、昔の知り合いが迎えてくれた。

「……君がこの国に居るとはね、いや、意外でもないか」

 唯一神の政治は厳しいものだが、筋は通っている、彼女ならこの国に居ても可笑しくないとは思っていたけど、実際に会うとやはり驚いてしまう。

「私の事は後にして下さい……主がお待ちしております」

「わかったよ、客として招かれたのだから、こちらも礼を失するつもりはない」


 神殿……といっても、パルテノン神殿のように開放的ではなく、複数の教会施設の中の一つの、巨大な礼拝堂といった建物の扉の前に立つ。

 長閑(のどか)な風景に天使が舞っているレリーフを眺めて、意を決する。

 ……扉を開けると、無数の目が私を覗き込んでいた。

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