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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
10章 名の在処
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137話 名の在処12

 園田も含めて、私のダンジョンのマスタールームに集められた。

「バトル終了……勝者は夜神星華」

 アザトースが適当な宣言をしたのと、ほぼ同時にマスタールームの扉が開く。

「ああ、お帰りアリー」

 マスタールームに入って来たアリーが、私に一礼する。

 そして彼女が手にして居る物を見て、アザトースが嫌な顔をする。

「盗って来たのか……」

 アリーが持って来たのは園田のダンジョンコア、当然私の指示だ。

「そう、盗って来て貰った……こちらから攻め込んではいけないと言うルールでは、なかった筈だよ」

 今回のルールは防衛戦、だが防衛側が攻め込む事は禁止されて居ない。

 だが、大群が入れば気付かれてしまう、そこで戦力として信頼できるアリーに、単身で攻略して貰った。

 その為に時間稼ぎを狙った、攻略に時間のかかるトラップダンジョンに改造していたのだ。

「……儂のダンジョンを単身で突破するか」

「そうだね、アリーには私の体術を伝授してあるから、そこらのモンスターじゃ相手にならないよ」

 その上、オートマタの処理能力で使う、正確無比な魔法攻撃もあるのだから、園田本人が居ない以上、突破は可能だと踏んでいた。

 ……アリーにエネルギーの一部を渡していたから、園田との戦いでエネルギーが枯渇しかけたのだが、必要経費だと思っておく。


 アリーから受け取ったダンジョンコアを、アザトースに見せる。

「新しく作るのは簡単でも、データの移し替えは面倒だろう……どうせなら新しく作る方のダンジョンコアと交換しないか?」

 前に一度奪った時の、アザトースの行動は覚えて居るので、いくらでも作れる事は分かって居る……データを移し替える面倒臭さも。

「……分かったよ、これで良いんだろ、これで」

 新品のダンジョンコアを受け取り、園田のダンジョンコアを返す。

「戦後交渉はこの位でいいでしょ、休みたいから帰ってよ」

「そうだね、それじゃあ解散」

アザトースの魔法によって、園田が帰還し、アザトースも転移していった。


 私のダンジョンのメンバーのみになった所で、豊が話しかけて来る。

「それで園田から奪った能力を見せてよ」

「いや、大した物じゃないよ」

 園田から奪った力は金気を操る力……の一部だ、私には才能が無い力だが、これで少しなら使えるようになった。

「それでもいいから見せてよ」

「仕方ないな、良いよ」

 魔力を集めて、掌の上に小さな金属の結晶を作り出す。

「体力無いからこれが限界」

「何この結晶?」

「ただの鉄……私のエネルギーの一部から作った」

 正確には周囲の鉄分を集めて結晶にしただけだ。

 園田の様に太刀を修復できる程には、私は慣れていないから、これが限界だったりする。

 最終的には金属で作った荊の触手を扱えるぐらいには、なりたいものだ。


 そんな事は置いておいて食事にしよう。

 私のエネルギーもほぼ枯渇しているし、輝夜もお腹が空いただろう……豊は半分寝てた様なものだから、それほどでもないと思うが。

 冷蔵庫を開けて、シナモンをたっぷり使った甘いパイと、自作のベーコンを使ったキッシュを出して、魔法の熱で軽く温める……勿論パイは温めないが。

 紅茶を用意して、アリーも含めた四人で、円形のテーブルを囲む。

 ナイフで切り分け、たわいもない事を話しながら、食べる。

 ……私は目的の達成まで引く気は無いが、たまにこうやって一休みする時間が、とても楽しい事には変わりないな。

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