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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
10章 名の在処
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133話 名の在処8

 園田はワイヤー地帯をあっさりと攻略した。

 全てのワイヤーを切断し、荊を焼き払って突破した。

 今は、古城を模した第三階層を進んでいる所だ……そこにはさほど罠を仕込んで居ないから、直ぐに突破されるだろう。

「星華ちゃん、これで良いの?」

「大丈夫、このまま進めば、計画通りに事は進む」


 園田はそのまま進み、ボス部屋へと到達した……ここを突破されると、今いるマスタールームまで、廊下が一つあるだけだ。

 だが、それはありえない事だ、この部屋の仕掛けを初見で突破できる能力を持って居ない事は、既に分かって居る。

 園田は、数匹の魔物を共に、ボス部屋に入り……転移(テレポート)の罠が発動した。

「石の中には入れれないけど、これで隔離出来る」

 ボス部屋には複数のレイスを送り込んで断定的にボス認定した、物理主体の敵だからこれで問題無いだろう。


 「さて、園田は……よし、成功してるね」

 園田は今、ダンジョン内の隔離された空間にいる、巨大なドーム状の空間に水を張って中心部に陸地を作り、天井にはダンジョンの機能で常に夜空を映し出している……そこは私が作った()()()だ。

「このまま閉じ込めておいても勝てるけど……やっぱり直接行って戦うべきだね」

 ダンジョンバトルに勝つにはそれでいい、だが、【暴食】を持つ私にとってはそれでは駄目だ。

 戦い、倒し、その力を奪い取って己のモノにする、大罪の中では微妙な立ち位置だったりするが、その本質の危険さでは、他を上回る物がある。


 「と言う訳で、豊、やるよ」

「本当に大丈夫なの、そもそも出来るの?」

「命令権を使えば可能だと思う……豊には適性があるし」

 失敗すれば、私の魂があの世に飛んでく事になるけど、少なくとも豊は大丈夫な筈。

「でも私は人間だよ、()()()()()()()なんて……」

 そう、やろうとしているのは憑依、豊の魂を私の身に宿し、尚且つ二人の意識を同時に覚醒させるという、とんでもない物だ。

 神格は魂に宿る為、その状態なら、豊は私の魔力を使用して魔術を構築できるはずだ。

 だが、一つの体に入る魂は通常一つ分だ、失敗すれば、どちらかの魂がはじき出されてしまう。

「だからアザトースによって奴隷化されたことによる命令権を使って何とかする」

 流石邪神の呪術と言うべきだろうか、奴隷に対する命令権の強さはとんでもない代物で、命令されれば本人の意識が無くても効果を発揮してしまう。

 起きろと命令すれば、強制的に起こせるし、免疫力など、自分の意志で変えれない事にも影響を与える事が出来る……死ぬなと命令すれば、そうそう死ぬ事は無いだろう。


 「私が何とかする、だから安心してね」

 命令形で話さないのは基本的に命令権が働かないようにするためだ、「命令だ」と言わなければ命令としないと()()しているが、この辺の設定はよく分からない。

「……うん」

「まあ、私の魂がはじき出されたら、豊の体を一時的に借りるだけだし」

「え」

「いや、取り敢えず体に入れば、あの世に行かなくて済むから……魔力が戻れば、元に戻せるし」

「分かった、急に言われたから驚いただけ、別に良いよ」

 取り敢えず準備をする、魂が抜けても何かに憑依されないように術式を仕込んだベットに豊を寝かせる。

「準備完了、それじゃあ……豊、私に取り憑きなさい」


 豊の魂が体から離れ、私の中に入って来る、私は魂の領域を魔術で一時的に拡張してそれを受け入れる。

 二つの魂が安定したら、それぞれに権限を分ける。

 私は普段通りに動けるようにして、豊には私の魔力を自由に使う権限を与えておく。

「良い感じだ、成功だね」

 豊の喜んでいる感じが伝わって来るが、言葉になって居ないので、私に対して疑似的にテレパシーの様な事を出来るようにする。

『星華ちゃん、変な事にならなくてよかったね』

 頭の中に響く様で、音になって居ない声は、結構不思議な気分だ。

「体は動くし、問題ない……さあ、実践に行くから、援護を任せるよ」

『わかった』

 モニターを見て居る輝夜に声を掛ける。

「悪いけど、そっちは任せるよ」

「解りました」

「後で、ケーキ焼いてあげるから」

 モニターを見つめる輝夜の顔が心なしか嬉しそうになる。

『解りやすい』

「豊も相当だけどね」

 輝夜に聞こえないように言うと、恥ずかしがっているのがよく分かる。


 「それじゃあ、やるか」

 魔力を集め、豊の魂も範囲に入れた上で、術式を構築し、転移を発動した。

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