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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
9章 顔無き者
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125話 顔無き者17

 ニャルラトホテプが去った後、マーガレットと輝夜の間で同盟の約束が交わされた……周りの意見を、一切聞いていない二人によるものだから、あくまでも約束である。

長い間敵対していた関係上、私も反対者や、反乱、暴動程度なら覚悟はしていたのだが、物事は思っていたよりも遥かに簡単に進んでいた。

……いや、実際には多少の揉め事や、反発はあったのだが、マーガレットは一人一人の話を聞き、頭を下げて頼みこむ事で、大きな反発を起こすに起こせない空気を作り出す事に成功した……そしてマーガレットがそちらに時間を割いた分、尚書や、各部署は増えた仕事に追われていたらしいが、それら全てをほぼ一人でこなしていたマーガレットへの感謝が強まったのは良い事だろう。

 一方輝夜だが……皇帝の権威と権力を行使して、反対意見を叩き潰したらしい。

ちょっとそれはどうかと思ったが、輝夜に聞くと、皇帝は寧ろマーガレットみたいな方法でやる方が不自然な人物らしい。

まあ、マーガレットの手法で出来るのは、全ての民に信頼されている者だけだろう……私には無理だ。


 裏話は置いておくとして、同盟の内容は、北の宗教国家である【聖神国】への対策及び、反撃の協力がメインだ。

だが、それが全てではない、魔道具の共同制作と開発、食料品や素材の輸出と輸入、非常時における援助など、様々な要素が盛り込まれている。

 ……それでも、私にとって一番大事な事は、輝夜が私の元に自由に訪れる事が出来るようになったことだ、私が会いに行く事も出来る。

輝夜は今回の同盟の締結に大いに貢献したとして、かなり高位の地位を貰うはずだったが、それを断る代わりに自由に行動する権利を貰った……という事にしたそうだ。

最近はマーガレット側の城の、私の部屋に住み着いている様な状態だ……私も嫌じゃないんだけど、一応心配にはなる、といってもドッペルゲンガーは、姿を奪った対象と同じ能力を持つそうだから、輝夜本人が指揮を執るより安全なのだろう。


 「星華ちゃん、ただいま~」

現状について考えて居ると、皇帝の所まで、お使いに行かせていた豊が部屋に入って来る。

「お帰り、何か食べる?」

「うん、何でも良いよ」

豊の言葉に頷いて、ベットの輝夜に視線を向ける。

「輝夜は?」

「……あるなら甘いものを」

「分かった」

冷蔵庫から取り出したシナモンパイを、六分の一サイズに切って皿にのせ、コップに注いだ牛乳と一緒に机に置く。

「輝夜、出てきたら」

「ん、分かった」

相変わらず、寝ている時間が常人より長い輝夜だが、起きれないと言う事は無くなった様だ。

 「お、やっぱり美味しい」

「……星華ちゃんって料理上手いよね」

「色々作ってれば上手くもなるよ」

「それでも星華さんは上手です」

そういう輝夜は料理が出来ない……変な事をする訳では無いが、時間の管理が苦手で焦がす事が多い。

 「でも冷蔵庫があると便利だよね」

この部屋の冷蔵庫は私が直々に作った魔道具で、魔石に蓄えた魔力で動いている……魔力の消費は少なくないが、私が週に一回補充すれば済む程度の消費に抑えてある。

「そうですね、ケーキ等を保存するのには重宝します」

甘いものが好きな輝夜にも、一台プレゼントしてある、そっちは魔石を直接魔力に変換しているので、魔石を補充すれば動き続ける。


 パイを食べて満足した私は、軽く伸びをする。

聖神国の動きは、私の耳に入ってきている、どうやら戦いの準備を進めているようだ……もう漁夫の利を狙えなくなったとはいえ、かなりの軍を用意しているらしい。

その上、天軍まで配属されて居るのだから油断はできない。

それなりにだが、体に馴染んできた、ニャルラトホテプの力を行使する練習もしておくべきだろう。

それに加えて、もう少し自身の強化をしておきたい……さて、やる事は決まった、行動に移すとしようか。

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