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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
9章 顔無き者
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121話 顔無き者13

 豊の待っている部屋に入って、状況を説明する。

「別に良いけど……なるべく早く帰って来て欲しい」

「ああ、飽きたら勝手に帰って来ても問題ないよ、どうせ形だけの人質だし」

本音を言うと、急いで向かう為、体力に不安のある豊を連れて行くと、時間がかかるからだ。

体力については、輝夜も大概なのだが、一人なら背負っていける。

……急いで帰るなら、馬と言う選択肢もあるのだが、私が近づくだけで行動不能に陥るので仕方ない。

「そうですね、まあ、私は、()()只の使者と言う立場ですし、人質が逃げても別に本気で探したりはしないでしょう」

輝夜の同意に少し安心する。

「まあ、輝夜もそう言ってるし、面倒になったら勝手に抜け出しても構わないよ……安全第一でね」

「はいはい、体力の無い私はゆっくりと帰るよ……()()()()、改めてよろしく」

本音は、ばれて居た様だ……それに輝夜が本物の皇帝だとは、まだ言ってなかった筈だけど、相変わらず、豊は勘が鋭い。


 豊は借りた部屋で、暫くごろごろしている様なので、輝夜と一緒に、街の外に出る為の門に向かった。

輝夜が、紅蓮に()()()許可証を渡して、暫く待つ。

「……こっそり出た方が、楽じゃない?」

「流石に、人が消えたら面倒な事になりますよ」

「じゃあ普通に突破」

「……大丈夫ですよ、話は付いたみたいですから」

輝夜の言葉を証明するように、紅蓮がこっちに向かって来て、同時に門が少し開く。

「そいつに死なれると、この国は潰れるんだ、だから気を付けてくれ」

「はいはい、私の戦闘能力を舐めないでよ」

「お前が強いのは知っている……まあ、俺の力が必要なら呼んでくれ」

「……分かった」


 「……やはり、邪神の考えは謎ですね」

街を出て、マーガレットに会うため、東に向かう……今更だが、マーガレットの居る城への転移は、私のダンジョンに所属していない、輝夜には使えなかった。

「そうかな、割と単純だと思うけど」

「そうですか?」

「あれは自分がやりたい事をする、興味の無い事には何もしない……紅蓮クトゥグアは、今の所は輝夜の事を気に入ってるみたいだね」

「そうですか」

余りにも淡泊な返事に、少し驚く……もう少し反応するかと思って居た。

「ああ、もう知っていたのか」

「まあ、気に入られている事は分かって居ましたから」

「そうだね、まあ、人間の恋愛感情とは、少し違う物だろうけど」

それでも、アザトースが私を気に入っているのよりは、恋愛感情に近いのだろうけど。


 「それにしても、豊さんは変わってますね」

「そう?」

「嫉妬されるぐらいは、覚悟していましたから」

「ああ、豊は嫉妬しないよ……私が輝夜とキスしてもね」

豊は別に嫉妬深い訳じゃない、私に危害を加える奴は許さないだろうけど。

「……そうですか」

「今、動揺したね」

「……その声で相手の感情を理解する能力、相変わらずですね」

「あはは、今は静かだから良いけど、前の世界では、耳栓しないと寝れないぐらいだったからね」

耳が良すぎるのも困りものだ……年齢的に聞こえなくなって来る筈の、猫避けの高周波が煩いぐらいだし。

「それで……キスしようか?」

「……貴女は、豊さん一筋だと、思ってたんですけどね」

「基本はね、でも、輝夜が私の事を好きなら、その思いには答えるよ」

「……保留でいいですか?」

その言葉に頷く……拒絶されなかっただけで、満足だ。

「いいよ、時間はいくらでもあるから、ゆっくり考えればいい」

彼女は、豊以外で唯一、私が守る事を決めた相手……大切な人だ。

……マーガレットと敵対して欲しくは無いけど、場合によっては、仲裁しないといけないのが、今から気が重い。

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