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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
8章 罪は私を緋色に染めて
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108話 罪は私を緋色に染めて31

 「ただいま」

ダンジョンに戻ると、豊が出迎えてくれる。

「お帰り、どうだった?」

「……少し油断した」

「別に大丈夫でしょ、私なんか油断しっぱなしだし」

そう言ってるが、豊は戦闘中に油断する事は一切無い。

「少し疲れた、休ませて」

そう言ってベットに横たわると、豊も布団の中に入って来る。


 「星華ちゃん、どうかしたの?」

布団の中で豊の背中を抱いて居ると、不意にそんな事を聞かれる。

「なんで?」

「……少し、辛そうだったから」

憂いが僅かだが、顔に出ていた様だ、意外に鋭い豊はそれを感じ取ったのだろう。

「色々考え事をしていてね」

そう言って、誤魔化す様に頭を撫でる。

それが心地よいのか、豊は猫の様に目を細める。


 「……戦争が近い」

その言葉に豊は頷く。

「恐らく今まで以上に大規模な戦いになるだろう……私たちは、今後敵側に味方するダンジョンマスター等の勢力とのダンジョン外での戦闘が増える、相応の準備が必要だ」

豊の頭を撫でながら言葉を続ける。

「それにこの戦争において敵はもう一つある……北の宗教国家は一方が勝利した直後に侵攻を開始して、疲弊した軍を打ち破りに来る筈だ。

だからこの戦いはあっちの意表を突く形で終わらせる必要がある」

勝っても負けても、その直後に巨大な第三勢力に攻められては意味が無い。

「……星華ちゃんは、どんな結末を考えてるの?」

「策は幾つかある、その中でも現実的な物をマーガレットに提案するつもり」

最後の判断はマーガレットに任せる予定だ、無責任だと言われても仕方のない事だが、それは覚悟の上だ。

私は第三勢力の協力者である以上、協力は出来ても、進路を決定する権利は無い、それは女帝であるマーガレットの物だ。

そういって豊に話すと豊は苦笑する。

「私は星華ちゃんに従う、提案はするけど決定権は星華ちゃんにある、それと同じだね」

「まあ、そうだね」

深く物事を考える事を面倒くさがる傾向のある豊だが、言われた事はちゃんと分かって居る事が多い……突飛な事や、全く考えて居なかった事に関しては、よく混乱しているのだが。


 「さて、マーガレットに話すのは明日にして、今日は休もうか」

「うん、そうした方が良いよ」

豊の体を抱きしめると、豊の背中から温もりが伝わってくる。

その優しい温もりは、不思議な事に、知らない筈の昔を思い出すような、すこし懐かしい気持ちになるものだった。

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