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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
8章 罪は私を緋色に染めて
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107話 罪は私を緋色に染めて30

 ダンジョンバトル勝利が決定すると、転移魔法陣によって、今回から清算を行う場所になった、学校の校長室へと運ばれた。

「終わったか、意外にあっけない物だな」

「そうか?以外に苦戦しとったように見えたけどなぁ」

空に横から言われ、苦笑する。

「あれは油断した、次からは気を付ける」

「……ま、油断できる程度の相手やったって事やしな」


 「……ねぇ、こっちに反応はしないの?」

「はいはい、それで何の用?」

アザトースに尋ねるが、帰って来た答えは大したものではなかった。

「大して物を奪ってないけど、それで良いのかなって」

「それなら、あいつらにコレを納品させて」

そう言って渡した紙を見て、アザトースが頷き、横から覗き見た空は唖然とする。

「……戦争でも始める気か?」

私が要求したのは大量の鉄、金、銀、鉛、その他魔法金属等だ、そこから戦争に行きつく空は鋭い……やはり味方にして正解だった。

「そろそろ戦いが始まる筈、その為に準備をしなければならない……アザトース、十日以内に納品させろ」

「それは無理があるんじゃ……」

「それはない、そいつらのダンジョンを見るに、ダンジョン外に資材を置いている場所がある筈だ、最悪DPを使って手に入れて納品すればいい」

入手経路を問わないのだからこれでも譲歩しているのだ……どの道、略奪によって知らない国が滅びようが、どうでも良いのだが。


 「それだけの資材で何を創る気や?」

「武器に決まってるでしょ」

「……まあええわ、好きにしろや、ワシに矛先が向かんのやったら、何も言わん」

空に頷いて部屋から退出しようとすると、アザトースに止められる。

「そういや、あの件について返事がまだだったよね」

アザトースに言われ、振り返らずに頷く、少し前に個人的にアザトースに提案をされている。

「反対する理由は無い……今の所は」

そう言っておけば問題ない、どう転んでも嘘を吐いた事にはならない筈だ。


 部屋を出て少し進むと、空が追いかけて来た。

「アザトースの計画について話す気は無い」

「そんな事分かっとる、星華の性格ぐらい知っとるわ」

「じゃあ何よ」

そう言うと空は呆れたように溜息を吐いた。

「前にワシの事を誘ったやないか」

……そういえばそうだったな。

「あの事は忘れて欲しい、例え頷かれても、きっと私はそれに答えられないから」

「……さよか、変わったな」

苦笑する、ダンジョンバトルの後にからかわれた時とは違い、少し痛みを感じる笑いだ。

「私は変わらない、いや、変われないんだ……ただ豊に笑っていて欲しいと改めて思っただけだ」

「……さよか」

先ほどより優しい口調に痛みが走る。

……私は痛みによって生を実感する、だから豊に対してもそう振る舞ってしまう。

噛みついたり、首輪を付けたりするのはその延長だ。

変えようとしても変われない、私のさがだ。

豊はそれを知っている……被虐的なのはそれとは関係ないと思うのだが、それも私の願望かもしれない。


 「……空」

「なんや?」

「私は変われると思う?」

使い古された陳腐な言葉だが、今はこれしか出てこない。

「……今はな、今の自分が好きやのうても、未来の自分はその自分を好きになっとるかもしれん。

別に心配するなとは言わへん、せやけど、自分の根本にある性格は直ぐに変えれるもんやない。

ワシらは余程の事が無い限り永遠に生きるんや、変えたいならゆっくり変えていったらええ」

質問した時に望んで居た答えでは無いが、私にとってはこれ以上ない答えだ。

「……ありがとう」

「辛いなら泣いたらええ、豊にはそんな顔は見せられへんやろ」

今の私はそんなに酷い顔だろうか?

「私は泣けない、どれだけ悲しくても涙が出てこないんだ」

「……あんまり悩むなや」

「……空、少し一緒に居て……豊の前だときっと我慢してしまうから」

「ええで、屋上にでも行くか」

私はそれに頷いて屋上に行き、暫くの間、他愛のない話をして、気持ちが落ち着いてから、豊の所に変える事にした。

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