104話 罪は私を緋色に染めて27
アザトースに準備完了の報告をした後、少しして、相手の準備も整い、一つの部屋に四人が呼び出される。
「取り敢えず、勝った時に何を奪うかを決めてね~」
アザトースがそう言うと、馬鹿二人が早速口を開く。
「お前ら二人の所有全てだ!」
「ああそう、別に構わない」
「ええで」
相手の報酬はあっさり決まった。
「……普通もうちょっと悩む物なんだけどね~」
「どうせ負けたら拒否権など無い」
「ま、そうなんだけど……それでそっちの欲しい物は?」
まず空が口を開く。
「今後五百年の間に入手したDPの8割」
基本前の時と同じだが、期間も量も凄い事になって居た。
「私はこのダンジョンバトルで手中に収めた物全て」
……こいつらの所有物で欲しい物は全て貰う。
「決まったね~、勝利条件はコアルームを占領する事。
それじゃあダンジョンバトルスタート!」
その言葉と共に私たちは空のダンジョンの入り口に飛ばされた。
「あと一分やな、準備はええか?」
「大丈夫、武器も持ってきた……死体を完全に破壊すると駄目だから今回はこれを使う」
そう言って持って居る物を見せる。
「トンファーか、打撃武器やな」
「打突部分とグリップ、攻撃を受け止める側面を金属で補強してある」
「……それ以前に星華の力や、問題あるわけないわ」
「まあ、もう一つ隠し玉も持ってるけど」
「まあ、それはええんや……所で、あれはなんや?」
空の視線をたどって答える。
「コロだけど?」
「なんか子熊ぐらいないか?」
「最近大きくなった、多分進化してる」
「……そろそろ時間やな」
言われてダンジョンの入り口を向く。
すると今まさにダンジョンの入り口が繋がった所だった。
「……敵は五十ぐらい、マスターは不在」
雪崩れ込んできた大蜥蜴を踏み潰す……地面を這ってるからトンファーで殴れない。
自分で処理するのは諦め、戦いをレイスに任せる。
死霊術は……効いて無いな、体の造りが知ってるのと少し違うのだろう。
「片付いたな」
空に言われて頷く。
「行こう」
レイスとコロはダンジョンの防衛に全て残し、ゴーレムと空と敵の攻略の為、ダンジョンに侵攻する。
「冷えるな、コートを持って来て良かった」
「……氷の洞窟やな」
地面が凍結し、氷柱の下がった洞窟を進む。
「……いた、蜥蜴人間か」
「みたいやな」
「ここは私が」
そう言って素早く敵の中に飛び込んで制圧する。
だが、一体剣と木の盾を持った奴が居て、それに邪魔される。
……多分上位種だろう、明らかに他より強い。
「しまった!」
右手のトンファーでの攻撃を盾を突き出してインパクトのタイミングをずらされた、トンファーは衝撃で弾き飛ばされ、離れた所に落ちる。
体制を崩して片膝を付いた私にリザードマンは剣を振り下ろす。
……流石に左手のトンファーで防げるが、長期戦となると少々厄介だな。
魔術を使う暇はない……取って置きたかったが仕方ないか。
「空、耳を塞いでて!」
そう大声で言うと、コートの裏から”隠し玉”を取り出してリザードマンに向ける。
……辺りに低く、大きな音が響いた。