番外編 Christmas party
ハロウィンが過ぎて、暫くしたある日の朝、起きると豊がダンジョンに来た。
「星華ちゃん、黒いサンタが来た!」
「ん、黒いサンタ?」
「朝起きたら、私のダンジョンの神社の境内に石炭が山積みになってた」
「ああ、確かに黒いサンタが来たみたいだね……」
そういって枕元に目をやると、真黒な便箋が目に入る。
何となく嫌な予感がしたが、開けてみると案の定だった。
「……こっちには、腹黒いサンタが来たみたいだ」
手紙はアザトースからで、今日は元の世界でクリスマスで、クリスマスパーティーを開くから学校に来いとの事だ。
「星華ちゃん、パーティーには行けば良いけど、石炭どうしよう」
「私のダンジョンの倉庫部屋に運んどいて、金物作る時に使うから」
それだけ言ってさっさとパーティー会場の学校へ転移する。
学校ではそれなりな規模で出店が出ており、賑わっている……参加に拒否権が無いからだろうが。
取り敢えず向かう先は放送室だ、この学校の最上階にあるから、窓から校庭が見渡せ、尚且つアナウンスが出来る場所だ。
「アザトース、居るか?」
「……ただいま留守にしております」
「よし、壊すか」
「止めて、直すの面倒」
あっさり扉が開いて、アザトースが出てくる。
「……邪神主催のクリスマスパーティーやって楽しいか?」
「正直微妙」
本音が出たアザトースに追加で質問する。
「アザトースって、クリスマス一緒に過ごす相手居ないの……居る訳ないか」
だからこそこんなパーティーを開いてるんだし。
「……」
「その上さぁ、この数日後に大晦日あって、忘年会して、その翌日に新年会でもやる気でしょ」
「はい」
「それ、開く側は良いけど、巻き込まれる方は面倒だから自重して、正直鬱陶しい」
絶対にやめる事は無いだろうが、言うだけ言って、外へ向かう。
「あんたはこのまま帰るの?」
「出店の売れ残りを貰える時間まで豊とゆっくり過ごすけど?」
クリスマスパーティーの売れ残りなんて、ハロウィンのパンプキンパイの売れ残りより売れないだろうから、捨て値で買い叩いて帰る気だ。
豊にプレゼントでも送ろうかと思ったが、一緒に居ればそれでいいかと思ったのと、何を贈ればいいか分からなかったから止めにした。
……売れ残りの食べ物を安く買い叩いて帰った後は豊と空、後私のダンジョンのメンバーで軽いパーティーをした。
大人数でテーブルを囲んで食べるのは久しぶりで、空が帰った後、たまにはこんなのも良いなと思いつつ、豊と同じ布団に入って目を閉じる。
……やっぱり年末のイベントの多さはどうかしてると思う。