103話 罪は私を緋色に染めて26
「状況は?」
空のダンジョンに、ダンジョンの機能で転移するなり状況を問う、突然の事の筈だが、空は別段驚いた様子を見せずに答える。
「まあまあ……って所やな、相手の情報が分からない分、何とも言えへんけど、星華が居れば多少のアクシデントはなんとかなるやろ」
「戦力は?」
「火薬入りゴーレムが100体、鋼鉄製のアイアンゴーレムが10体、ガーゴイルが20体って所やな」
火薬入りの通常ゴーレムは特攻部隊か、鋼鉄製のアイアンゴーレム……寧ろスチールゴーレムでは無いだろうか、ガーゴイルは簡単な魔法を使う動く石像だ……通常の戦闘では十分な戦力だろう。
「空の体調は?」
「ワシなら問題ないで、豊に貰った薬が効いてるみたいで、今までよりもずっと好調や……所で、豊はどうしたんや?一緒に来ると言ってなかったか」
「豊なら食べ過ぎで動けなくなってる……無理やり寝かしてきた」
あれだけ食べた後で動いたら普通そうなるだろう。
「……さて、私も少々新しい能力を得たからね、どの程度の力が出るか確かめてみるよ」
「【暴食】の力やったか?」
「そう、食べた物をエネルギー化して貯蓄し、任意に扱う能力」
「どの程度蓄えられるんや?」
言われて、少し探ってみる。
「まだ、力が体に馴染んで無いけど、それでも高出力の魔法を準備の魔力凝縮無しで、十回は使える程度のエネルギーがある」
「なるほどな、ワシの神格の焔を防いだあのレベルの魔法をか……とんでもない能力やな」
「まだまだ制御がおぼつかないけどね」
「そんで、星華はどの程度戦力を提供できるんや?」
今回は私一人の援助と言う訳には行かない、お互いに攻め合うため、数が必要だ。
「まずは私とコロだね、アリスは今回は休んでもらうから……あれを召喚するか」
そう言ってダンジョンのメニューを操作して十体の下級死神を召喚する。
「随分と少ないが大丈夫なんか?」
「大丈夫、撃破されても私が居る限り死霊術で復活させるから、後、殺した相手のモンスターもアンデット化して使役する」
勝ち目の無いバイオハザードで磨り潰す、兵は補充出来るのだから使い潰しても構わない。
「……ワシだったら絶対に戦いたくないな」
そういう空に軽く笑って見せる。
「空ならゴーレムは死霊術効かないし、ゴーレムの群れごと巻き込んで爆破すれば勝てる」
流石に神殺しの焔で焼き払われたら再生は出来ない。
「これで私は大丈夫かな、空は?」
「問題ないで、さあ、やるか」
そう言って空はダンジョンの機能からアザトースに準備完了を告げた。