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星の煌めきしダンジョンで  作者: 酒吞童児
8章 罪は私を緋色に染めて
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98話 罪は私を緋色に染めて21

 「させませんよ」

突如部屋に閃光が走り、私が打ち下ろした荊の杭は壊された。

「ようやくか、ベルゼブブ……いや、今の力はバアル・ゼブルの神威か」

目が慣れると宰相を守るように、槍を持った一人の男が立っている。

……荊の残骸を見ると殆ど炭化している、恐らく雷撃を使ったのだろう、槍は稲妻の象徴だから。

「さて、何故お前がそこの宰相などに力を貸す?」

「私は主に従うのみ、全ては主の決定のままに」

なるほど、主か、まあどうでも良い。

「取り敢えず戦う気か?」

「ああ」

「ならばこれ以上は聞かない……いくよ」

既に準備は済んでいる。


 魔力を流し荊を再び作り出す……今度の荊は『黒い荊』だが。

それは私の瘴気を練りこんだ荊だ、そもそも植物を扱うのではなく、魔力で『荊』と言う定義を持つ物質を作り出す魔法だから出来る芸当だ。

言葉にするとややこしいが、簡単に言えば、それを私が『荊』と認識すれば、水流などでも荊の形になるという事だ。

普通の荊より遥かに操作しやすく、破壊力も高いその黒荊を目の前の男に叩き付ける。

「……なるほどな」

男……バアル・ゼブルは槍でそれを受ける、同時に雷光が走り、荊を焼こうとする。

だが、その程度で黒荊を破壊する事は出来ない。

「まだまだあるよ」

更に荊を追加してバアル・ゼブルを襲わせる。

流石に神の雷光の直撃では命に係わるので、一定の距離を保ちながら攻撃を行う。

「……しつこいな、現世うつしよでは本来より力が弱いのだから、諦めて帰れば?」

因みにこれの情報源はアザトースの愚痴である。

そんな事は置いておくとして、私は荊に更に力を追加する事を試みる。

それは私の精神世界内の狂気を荊に練りこむ事だ……既に瘴気を合わせる事が出来て居るのだから、そこまで難しい事ではない。

自分の精神の闇を魔力と共に荊に流すと、辺りの気温が下がり始めた。

……成功だ、私の絶対零度の歪みを持って来れた、これは神であっても破壊する、なぜならそれは『拒絶』の力なのだから。


 「……なるほど、これがお前の力か」

そう言ってバアル・ゼブルは武器を別の空間にしまう様に消す、それを見て私も攻撃を止めて、荊を消した。

「そうだね、これが私の力……そして弱さだ」

「そうか、己の力を認めるのはたやすいが、弱さを認めるのは難しい……主の判断は正しかったようだな」

「ん、何を言っている?」

「私は主の命で、お前に私の力を分け与える為に来た、その力を確認したうえでな……その様子なら問題無かろう、取得権限は渡しておこう、あの邪神アザトースが作ったシステムから受諾できる筈だ、それではな」

そう言って去ろうとするバアル・ゼブルを呼び止める。

「宰相はどうなる?」

「ああ、その者にはすまない事をした、既に契約は解消してある、力は無いが、罰を受ける必要もない……出来れば罰しないで欲しいとは思うが、こればかりはお前たちの裁量次第だ」

そう言ってバアル・ゼブルは何処かへと消え去った。

……今更だが正直怖かった、相手に殺す気が無かったから先手からの荊の拘束で完封したが、殺す気なら最初の一撃で消し飛んでいた可能性もあった。

取り敢えず今は宰相の処罰についてか……まあ出来る限り努力しよう、シナリオを作るのは得意だから。

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