プロローグ 始まりの光明は白く
それは森の中に在る、しかし一学年五百人以上という規格外の高校、
その窓際の席の最後尾で私、夜神星華は窓の外を眺めていた。
『運命に恋愛、死神かなかなか難解だな、避けられぬ出会い、そして何かの転機とでも解釈しようか』
今は古典の授業で、教師が一本調子で延々と源氏物語を朗読しているが、生徒の半数近くは寝ていて、残りも騒いでいるか、自習しているかで、話など聞いては居ないけど、既に諦めの境地に入っているのか教師も注意しない。
かといって私が話を聞いている訳では無い。
今も現在はまっているタロットで占いをしている所だ。
最近の学校に性のモラルは皆無で、生徒は勿論の事、教師でさえ低俗な者がいる。
そして人を嘲り、虐げる事で笑いをとる頭の沸いたような淫獣の如き男共は勿論、それと笑って話せる女も理解出来る訳が無い。
それでもある程度話せる相手もいるし、ついでに私も自分の容姿にはそれなりの自信がある、
それにまともな人も少しはこの学園にもいる、……尤も、一学年500人を遥かに越えるこの学園全体に十人いるか居ないかと言うのが現状でしか無い
それに神秘術や精神論、占いにも詳しい神秘学研究部部長の私と対等の考えを出来る人はほぼ皆無でしかない
だから私は普段は本を読んだり詩を書いたりして過ごしている。
そうこうしているとどこからか鐘の音が響いて来た
「何が起きているの?この辺りに鐘なんて無いのに」
誰かが言ったが彼女に答えを返す者は居ない…いや、私も含め答えを知る者は居なかった
「何だあれは!空を見ろ!」
誰かの言葉に空を仰ぐと円の中に複雑な幾何学的模様と様々な言語が混じって書かれた魔方陣のような物が浮かんでいた
その言語は変化を続け、色々な言語に変わっていく
私が少しだけ読める単語には
『座標の特定』
『空間の跳躍』
『世界軸の転換』
等と書かれていたがその言葉は直ぐに別の言語に変わって行った
そして全ての言語が統一され、変化が止まり、直接頭に響く様に声が聞こえてきた
「ヤッホー元気?
そうそう私は宇宙を作った神だよ♪
まあ邪神とか冒涜的な神とか呼ばれてるけどね♪
まあそんな事は良い、
君達にはそれぞれのダンジョンを作って貰うよ♪
理由?
後で話すから待っててね♪
とりあえず転移するよ~♪」
そんな声が聞こえた、
冒涜的な神?
まさか奴か?
いやこの声は……あいつだ。
そこまで考えた所で辺り一面が白い輝きに包まれ、私は意識を失う。
こうして私の【平穏な日常】は終演を迎えた。