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51:閑話、とある魔女集会にて

大きな家の、大きな庭


「まぁ!しばらくぶり!」

「あら!」


煌びやかな格好の人間で賑わう庭園のお茶会


「新しいお飲物は如何ですか?」


豪華な食べ物、高級な酒


「最近はどうかな?」

「上々ですね!」



煌びやかな格好をしているのは人間か、はたまた人間ではないのだろうか



「お茶とお菓子は如何ですか?」







「おや、随分と若い使用人だな…?」


濃紺のタキシードの男が首を傾げた

目の前の、ティーポットと菓子を乗せた盆を持った使用人は、まだ10歳程度に見える


「ここの旦那さんは、ベテランの使用人しか使わないはずだがなぁ」

「若い使用人の教育も始めたんでしょう」


黒のタキシードの若い男が言う

ニコニコと笑っている少女は、まだメイドの服装に慣れていない感じがした


「おや、向こうにも…向こうの使用人達は君より若いようだが」

「私たち、3人で奉公に参りました!」


濃紺のタキシードの目線の先には、目の前の使用人よりさらに若い使用人が2人


「大変だろうに」

「いいえ、ちっとも!」

「1杯頂こうか」

「私も。それと、クッキーも貰えるかい?」

「勿論です!」


元気良く返事をしたメイドの少女は、ニコニコしてお茶を淹れ始めた


「確か、お嬢さんが同じくらいの歳でしたよね?」

「そうなんだよ。同じ年代の使用人でも雇おうかな?」

「どうでしょう?友人の感覚で付き合えるかもしれませんが…」

「お待たせいたしました!」

「お、ありがとう」

「ハーブティーかな?」


白い陶器のカップには、薄い緑色のお茶が湯気を立てていた


「良い1日を」


メイドの少女は飛び切りの笑顔を残し、男達から離れて行った







「みんなに配った?」

「うん!」

「おちゃと、おかし!くばった!」


小さな2人の使用人が得意気に笑う


「これで喜んでもらえるね!」


メイドの少女も笑う

これで主は喜んでくれるから


「お姉ちゃん、僕もお菓子食べたい!」

「わたしも!」


彼女らの主は言っていた




『○○達へ、お茶とお菓子のプレゼントだよ』


『みんなに配ったら、君達もお菓子を食べて良いからね』




「よーし…私達もお菓子パーティーだ!」

「「わーい!」」





庭園の何処かで、パリン、と何かが割れる音がした


続いて悲鳴


屋敷に駆け込む音



「お姉ちゃん?」

「どうしたの?」

「ううん、何でもないよ!」



屋敷には誰もいない


ここは人の少ない別荘地


誰も助けには来ない



「お待たせ!」



メイドの少女は、弟と妹にティーカップを差し出した

2人はキラキラした目をして、姉にクッキーを差し出した



「「「いただきまーす!」」」




メイドの少女はクッキーを食べたら、お茶を飲んだら




どうなるのかを知っているのだろうか



















「いや、随分と遅れてしまった…まだやっているかな?」

「あら、静かですね。皆様お屋敷の中に移動されたのかしら?」


馬車から降りる初老の夫婦

とある都合で、『偶然』お茶会に遅れた夫婦


「とりあえず庭園に行ってみようか…おぉい、誰かいないか?」


屋敷はまるで人が居ないかのように静かだった


「あなた…何だか気味が悪いですね」

「変だな、何の音も…」


そんな会話も、庭園に入った途端に打ち切られた




「な……何だこれは!?」




「きゃぁぁぁぁぁぁ!?」




ついさっきまで賑わっていたであろう庭園のお茶会



今は、人々が倒れ


食べ物も飲み物もひっくり返された


何の音もしないお茶会





庭園の隅では、3人の小さな使用人が幸せそうな顔で眠っていた






副題:『魔女をやっつけると、幸せになれるって言ってたから。』

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