40:閑話、もしくはお菓子のパーティー
「さぁ子供達、集まっておいで」
青年は笑う
「準備は良いかしら?」
少女は笑う
「お菓子のパーティーを始めよう」
「美味しい紅茶も召し上がれ!」
子供達は笑う
キラキラと瞳を輝かせながら笑う
「ヨハネス様、このお菓子とっても美味しい!」
「そう!口に合って良かったよ」
「マルガレーテ様!紅茶のおかわり!」
「あらあら…急いで飲むと火傷しちゃうわよ?」
古びた教会の庭園
テーブルには沢山のお菓子
子供達は駆け回る
テーブルの周りを楽しそうに駆け回る
「ヨハネス様!お話聞かせて!」
子供達は等しくボロボロの格好だった
そんな子供の頭を青年は優しく撫でる
「お話?何の?」
「この前聞かせてくれた、魔女のお話!」
「あぁ…お話はね、マルガレーテの方が得意なんだ」
「え?なぁに?私を呼んだかしら?」
少女はきょとんとして青年に歩み寄る
「『魔女のお話』が聞きたいんだって。聞かせてあげて?」
「もう、そうやっていつも私に任せるのね」
「マルガレーテ様!お話聞かせて!」
「あら…もう、次回はお兄様がしてくださいな?」
「僕も君の読み聞かせが好きだから、どうかな」
青年はからかうように笑う
少女は少しだけ頰を膨らませた
「さぁ皆!マルガレーテが『魔女のお話』を聞かせてくれるって!」
青年の呼びかけに、子供達は一斉に少女の周りへ集まった
「本当!?」
「僕、その話大好き!」
「早く早く!」
「もう!…さぁ、私の周りに座って!」
少女の周りで子供は座る
キラキラと顔を輝かせながら座る
「むかーし、むかし、ある所に…」
少女は語る
『魔女のお話』を語る
「貧しい家に、仲の良い兄妹がおりました…」
『とある兄妹のお話』を語る
「…こうして魔女を退治した兄妹は、幸せに暮らしました…めでたしめでたし」
少女はお辞儀をする
それに連なって拙い拍手が生まれる
「魔女をやっつけちゃうなんて、すごい!」
「すごーい!」
「…マルガレーテ様、魔女は兄妹のお母さんだったんでしょ?」
とある子供が顔を曇らせながら聞く
「…えぇ、そうよ」
そんな子供を少女は優しく撫でる
「お母さんは魔女になってしまったの、そして魔女は『幸せ』を奪っていくの」
「そんなぁ…」
「そんなに悲しそうな顔をしないで頂戴?」
「だって、お母さんを…」
「違うわ、だって、退治したのは『魔女』なんだもの」
少女は笑う
狂気を孕んだ瞳で笑う
「皆の周りにも『魔女』が居たんじゃないかな?」
青年は立ち上がる
「魔女や…男の人だと魔法使いって言うのかな?」
「魔女や魔法使いはね、私達の幸せを奪っていくの」
「皆、幸せを奪われて不幸になってしまうんだ」
青年は優しく笑う
狂気を孕んだ瞳で笑う
「だからね、取り返さなくちゃ」
「貴方達は幸せにならなくちゃ」
「自分達の手で」
「魔女をやっつけて」
「「幸せな世界を取り返そうか」」
子供達は笑う
明るい未来を思い浮かべて笑う
2人の笑顔を見て笑う
甘いお菓子に囲まれながら
幻の幸せに焦がれながら
「嗚呼、怖い」
「え?私は誰かって?」
「名乗るほどの者じゃあ無い」
「ただ、とある兄妹が滑稽な劇を披露してくれるってんで」
「見に来ただけですよ」
「嗚呼、可笑しい」
「魔女狩りなんて酔狂な事…嗚呼、可笑しい」
副題:『魔女=????』
魔女狩りとは何でしょうか




