第9話「Touch down on the Guam」
無事にGuamへ到着した二人。バラ色の人生の始まり始まり・・・。
第9話
「Touch down on the Guam」
グァム国際空港の到着ロビーは
ごった返していた。
しかし、せかせかと動いている
のは日本人だけのようだ。
「歓迎 浜田様ご夫妻」
と書いたプレートを持った男が
いた。
お互いに目が合い近づいていく。
近くまで来るとかなりの大柄な
男である。
「お待ちしておりました。
志水がホテルでお待ちして
おります。
お荷物は、これだけでしょう
か?」
「あ、はい。
よろしくお願いします」
俺はスーツケースの乗ったカート
を預ける。
「(♀)暑〜い。
うわっ、眩しい」
菜穂美がサングラスをかける。
「さあ、どうぞこちらです」
大男の先に止まっているのは真っ
白のリムジンである。
「うわっ!
ほんまもんのリムジンや。
でかっ!」
車の中は冷房がよくきき、小さな
バーのような感じである。
「Welcom Cocktailがございます
が、そちらでよろしいでしょう
か?
一応、何でもございますが?」
「それで、結構です。
菜穂美もそいでエエのぉ?」
「(♀)うん」
「申し遅れました。
浜田様のご滞在中お世話をさせ
ていただきますジェームズ大西
と申します。
ジミーとお呼び下さい」
「(♀)ジミー大西?
きゃっ、ジミーちゃんやて」
「これ。
いや、失礼」
「ははは、吉本のジミー大西と
同じ名前ですからね」
なんや、わかってるやないかこの
大男。
「(♀)あ、車が右を走ってる」
「はい。
グァムは、アメリカ合衆国の
準州でして日本とは違い車は
右を走るんですよ」
「(♀)へぇ〜、そうなんやぁ」
菜穂美は無邪気に頷いた。
をいをい、菜穂美。
そんなことも知らんかったんか?
「少しばかり、大回りになります
がタムニング地区から
マリンドライブに入り、しばし
の間グァムの美しい海をご覧に
なって下さい」
「(♀)わぁ、きれいな海〜。
感動〜〜」
マリンドライブ。
グァムのRoute 1である。
ジミーが、Guamを心底愛するNice
Guy であることは後ほど知ること
になる。
車は、ほどなくタモン地区に入り
目指すPacific Islands Club
(P.I.C.)Guamに到着した。
P.I.C.は1999年にロイヤル
タワーができ、Guamでも有数の
大型リゾートホテルとなって
いた。
ここでも、
「でかっ!」
だった。
「お荷物は、お部屋の方へ運ばせ
ておきます。
ロビーで志水がお待ちしており
ます。
さあ、どうぞこちらへ」
車から降りると日差しはとても
キツい。
しかし、空気はまるで違う。
ジミーに促されて俺たちは、
エントランスホールへと入って
いった。
ロビーの中程に目指す人物は俺達
を待っていた。
「やあ、長旅お疲れ様でした。
志水です。
お初にお目にかかります」
陽に焼けた、義兄に比べてやや
小柄な紳士が握手を求めてきた。
「こちらこそ、初めまして。
この度は、お世話になります」
俺はその手を握り、精一杯の笑顔
で答えた。
「義兄から、くれぐれもよろしく
とのことです。」
「金山の兄貴もお元気でご活躍の
ようで」
挨拶も済んだところで、
「お腹の方はいかがです?」
と、志水の叔父が聞いてくる。
「機内食が意外と美味しかったの
で、今は」
「そうですか。
では、向こうのラウンジへ行き
ましょか。
ここのジュース上手いんです
よ」
「(♀)きゃは、楽しみ」
「これこれ」
また、菜穂美に『さとう珠緒』が
降りてきたようだ。
「お二人の挙式は、明日の午後
1時から『天使の教会』を押さ
えてあります。
わたしとわたしの妻が介添えを
させていただきます。
え〜、これが教会の写真です」
「(♀)す・て・き・・・」
「あ、目に星が入っとる」
「夕食までにお二人の結婚衣装を
合わせましょか」
「(♀)わぁ、なんか夢みたい」
菜穂美は完全に自分の世界に
浸っているようだ。
「あの〜、挙式はカトリックで
ないとあかんと聞いたんです
が?」
「その辺りはぬかりなく手配して
おります。(微笑)」
「ありがとうございます」
さすがは義兄の兄弟分であった。
※この小説は、『フィクション』
です。
実在の場所を使用していますが
登場人物、団体は、全て架空の
ものです。
頼光 雅