第3話「夫婦漫才?」
いつの間にやら、危ない道に・・・
「ほんまに睡眠不足はお肌に大敵
やなぁ」
今日は、3件こなしただけで赤井
電機の仕事は終わってしまった。
20時までかなり時間があるので
一眠りしよう。
荷台へ入って毛布にくるまる。
・・・ 爆睡
ああ、携帯が鳴っとる?
誰の携帯や?
おっと俺の携帯やないか。
何時や?
寝ぼけ眼で腕時計を見ると18時
20分。
よ〜寝たなぁ。
おっと、携帯や。
「(♀)ハマちゃ〜ん、おはよ。
そろそろ起きんとアカンで」
「おお。
ようわかったなぁ、寝てるて」
「(♀)ふふん。
あんたの行動、よんでんねん」
ん?
なんか、声がステレオで聞こえる
やないか?
なんじゃ、こりゃぁ?!
by Yusaku Matsuda.
「サンキュ、モーニングコール
してくれて。
今、どこや?」
「(♀)寝惚けてんと、はよぉ
荷台から出ておいで」
荷台から出てみると車の脇に
菜穂美が立っていた。
「おまぇ、よ〜ここがわかった
のぉ」
俺は心底驚いた。
「(♀)あんたの行動よんでる
言うたやろ。
晩飯奢って」
「それにしても・・・」
「(♀)種明かししたらな・・・
ハマちゃん前うちに話して
くれたやん。
それ覚えとってん。
それとな、2時間ほど前に
いっぺん電話してんで」
あわてて携帯を見る。
確かに不在着信があった。
「すまん。
爆睡しとって気ぃつかなんだ。
堪忍やで。」
「(♀)そんなん、気にして
へん。
ああ。
こらぁ、仕事あぶれてどこぞで
寝とるな?と思うやんか。
いつもの場所っちゅうのを思い
出したから来てみたんや。
そしたら、おるおる。
荷台覗いたら丸まって寝てる
やん。
キャハハハ」
「くそぉ。
別れた嫁ハン以外の女に寝顔
見られてもうた。
くやしい・・・」
「(♀)アホなこと言うてんと。
早ぉ、晩飯行こうや」
タバコに火をつけて煙を吸い込み
車に乗り込んだ。
「(♀)何、食いに行くのん?」
「おまえなぁ。
オナゴやったら、晩飯とか
食いに行くとか言うなぁ!
アホ!」
ボケとツッコミをしつつ車を
スタートさせ国道1号線に入る。
「せやけど、ようまぁこないな
とこまで来れたのぉ」
「(♀)へへへ。
ハマちゃん知らんやろぉ?」
「何がぁ?」
「(♀)ドコモのイマドコ言う
やつ。」
「あの位置情報サービス言うやつ
かい?
知っとるけど?
あ゛っ!」
「(♀)ウフフ。
やっと、わかったみたやね」
うれしそうに菜穂美が笑った。
やられた。
知らぬうちに菜穂美に登録されて
いたようや。
そう言えば菜穂美の携帯もドコモ
90xシリーズだった。
「(♀)うちぃ、焼き肉食いたい
わぁ」
「食いたいとか言うな言うとる
やろが。
ほんまに、金のかかるオナゴ
ぢゃのぉ。」
「(♀)誰も鶴橋の鶴一行こうて
言うてへんやん。(笑)」
「言うとるがな。
しゃあないな、惚れた弱みや。
行こか」
「(♀)やったぁ。
言うてみるもんや」
してやられっぱなしだ・・・。
「そうや。
こるらぁ!
菜穂美。??」
「(♀)なんやのんなぁ、急に」
俺は、昨日受け取った封筒を
菜穂美の鼻先に突きつけ言った。
「おまえなぁ、こんなもん俺に
渡すな。
今度こないなことしたらシバキ
まわすどぉ」
「(♀)いやん、堪忍。
怒らんといて。
うるうる」
「何がうるうるぢゃ!?
ほんまに・・・。
おまえは、さとう珠緒かっ!」
あかん、本気で怒っていない
俺がいる。
そんな、俺の心内を見透かしてか
「(♀)堪忍。
もうせぇへんから」
と、うつむき気味に言った。
「早ぉ、なおしとけ。
デコピンに見つかったら手が
後ろに回るわぁ。
この年で塀の中に行きとない
での」
菜穂美は慌てて封筒をバッグの
中にしまった。
「ほな、鶴一行こか。
車止めるとこあるかのぉ」
「(♀)知り合いのお姉さんおる
からそこに置かせてもろたら
ええわ」
俺たちの乗った車は、一路京橋を
経て鶴橋へ向かって行った。