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第29話「兄弟『紅蓮の龍』」

第29話

「兄弟『紅蓮の龍』」


昨日の騒動、兄弟分の契り。

個人で始めた運送屋をそのまま

続けていたとしたら、俺はヘタレ

のまま人生を終えていたと思う。

しかし、ふとしたきっかけで俺の

人生の歯車は大きく動き始めた。

その日、その日を無難に過ごして

いく孤独な人生よりも菜穂美と

言う最愛の女と共に、そして兄弟

伊達龍二、義兄の金山修二と言う

家族以上の者達と過ごす人生。

これもまた人生ではないかと

考えれば人生の輝きと言うものが

やたらと眩しく感じるのは気の

せいだろうか?


俺は、事の次第を義兄に細大

漏らさずに報告していた。


「と言う次第で富士宮稲穂会伊達

 一家の伊達龍二氏と兄弟分の契

 りを結びました」

「ほぉ〜。

 富士宮稲穂会の伊達龍二言うた

 ら『紅蓮の龍』言うて関東では

 泣く子も黙る武闘派の最右翼、

 富士宮稲穂会直参の中で最も

 名の通った立派な人やで。

 これは、わしらんとこの吾妻組

 にとっても目出度いこっちゃ」

「勢いで、兄弟分などと言うて

 まいましたが義兄さんにご迷惑

 がかかったりせぇへんか、今に

 なって冷や汗ですわぁ」

「いや、マサよ。

 この縁組み大事にせぇよ。

 場合によっちゃあ、わしなんか

 の背中をおまえに見せるより、

 よっぽどエエかもしれん。

 なんべんも言うけどエエ人と

 出会えたで。

 おまえ、ヘタレや思とったけど

 それ以上に強運があるみたいや

 のぉ。

 がははははは」


義兄はことのほかご機嫌だった。


「(♀)だ〜りん。

 そろそろ準備せんと遅れるで。

 せっかくの、ご招待も遅れたら

 感じ悪いんとちゃう?」


さりげなく菜穂美が間に割って

入る。


「おお、ついつい義兄さんと長話

 してしもたみたいやな。

 義兄さん、兄弟から昼食の招待

 受けとるんで報告は、この辺に

 しときますわぁ」

「おぉ、そらすまんかった。

 よろしゅう言うといてくれや。

 ほしたらな」


電話が切れ、FOMAが待受画面に

戻る。


俺達は、伊達の兄弟に昨日の礼に

昼食をとの招待を受けていた。

俺は、昨日できあがったばかりの

オーダーメードのアロハシャツに

白のスラックス、白のエナメル

シューズ。

手首には太いホワイトゴールドの

ブレスレットと菜穂美とペアの

ブルガリのウォッチをして盛大

めかし込んでいた。

アロハシャツは淡いスカーレット

ピンク地に白い柄で珊瑚礁と

シードラゴン(タツノオトシゴ)

をあしらっている。

ネービーカットの顔にレイバンの

ミラーサングラスをかける。

菜穂美のビーチドレスは、同じく

淡いスカーレットピンク地に

大きなオーキッド(洋蘭)の花が

散りばめてある。

顔には、シャネルのサングラス。

そして、ブルガリのペアウォッチ

をしている。。

俺たち二人が歩いていくと道行く

日本人カップルは驚いたように

道を開ける。

ジミーとKenを従えて、俺達は

伊達の兄弟の滞在する

HILTON GUAM RESORT & SPAへと

リムジンを走らせた。

地理上は、お隣さんである。

炎天下を歩いていくのもいいが、

着くまでに汗だくにる。

車だと、汗もかかずにものの5分

足らずで着いてしまう。

俺は、HILTON GUAM RESORT& SPA

へ着くまでの僅かの間にふと

感慨に浸る。

いくら五厘下がりの五分の兄弟と

言っても、こちらはヘタレを

ようよう卒業し、デビュー戦を

控えたルーキー(少々薹の立った

ルーキーではあるが)。

片や、数々の修羅場を潜り泣く子

も黙る「紅蓮の龍」と言う徒名を

持ち一家を構える直参の名のある

お方。

どう考えても釣り合わないように

思う。

しかし、そこのところは「男気」

の世界である。

ある意味、相手の熱い血に惚れる

と言うのは強ち間違いではないと

思う。


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にんきょう

 ―けふ 【任侠/仁侠】


弱い者を助け、強い者をくじき、

義のためには命を惜しまないと

いう気風。

おとこぎ。おとこだて。



おとこ-ぎ

 をと― 【男気/侠気】


男らしい性質・気持ち。

自分の損得を顧みず弱い者のため

に力を貸す気性。

義侠心。侠気。


三省堂

 大辞林オンライン版より


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※この小説は、『フィクション』

 です。

 実在の場所を使用していますが

 登場人物、団体は、全て架空の

 ものです。


☆この小説の著者は「わたし」

 です。

 著作権は「わたし」にあり

 ます。


 頼光らいこう みやび

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