第20話「お魚になった、ワ・タ・シ」
第20話
「お魚になった、ワ・タ・シ」
「(♀)うわぁ、でかっ!
ここが、何ちゃら言う天然
プール?
飛び込み台まであるやんか」
「昔に来た時より随分と開けとる
なぁ。
わいが来た時は店なんぞ何も
あれへんかったのになぁ」
「(♀)世の中は、そんだけ進歩
してるちゅうことやね。
着替えるとこもシャワーもある
やんかぁ」
早速、俺たちは水着に着替え上に
パーカーを羽織る。
グァムの陽差しは俺たちが思って
いる以上に強い。
油断していると陽差しで本当に
火傷をすることがあるそうだ。
「(♀)だ〜りん、お待ち〜
どない?
うちの、この水着?」
エリーも、海軍上がりの引き
締まったプロポーションである。
「おわぁっ!
鼻血が・・・」
「(♀)だ〜りん。
何言うてんの。(笑)
はいはい、ティッシュね」
「おお、そや。
はに〜、日焼け止め塗らな」
「(♀)いや〜ん。
そないに、うちの体触りたい
のぉ〜?」
「あふぉ。
グァムのお陽ぃサン、舐めとっ
たら火脹れができるんやで」
「(♀)えぇ〜?
エリーさん、ほんまですかぁ?
(;¬_¬)」
「その通りですよ。
私逹、現地のものでも油断する
と大変なことになります。
まして、菜穂美さんのように
白いお肌でしたら、きちんと
プロテクションしておかないと
本当に火傷しますよ」
「(♀)え゛ぇ〜!
そら、知らんかった。
どないしょう。
そんなん、知らんもんやから
日焼け用のオイル持ってきて
もぉたぁ」
「そないなもん塗ったらガングロ
通り越してドえらいことやで。
心配しな。
さっきの店でちゃんとキツ〜い
やつ買うてきといたから」
「(♀)あぁ〜ん。
さっすが、うちのだ〜りん。
Chu ! 」
「ジミー、サンキュ。
教えてもろたおかげでエエ格好
できたわぁ」
「(♀)なんやぁ〜。
入れ知恵に受け売りかいな。
ほしたら、だ〜りん背中に
塗ってくれる?」
「ほいほい。
背中でも胸でも足でもどこでも
塗ったるでぇ」
「(♀)いやぁ〜ん。
そないなこと言う子には金玉に
電撃やぁ〜」
慌てて、股間を隠す俺。
皆、爆笑である。
マスクに、シュノーケル、フィン
をつけて水に入る。
「(♀)わぁ!
お魚さんがい〜っぱいいてる。
わぁ〜・・・ 」
菜穂美がはしゃいだ声を上げる。
しばし、俺たちはお魚気分に
なる。
水から上がった菜穂美が言った。
「(♀)すぐそこが海やってん
ねぇ。
でも、海の中こないして見たん
初めてやけど、すごいきれい
やねんなぁ」
「この辺りは所詮プールですが
沖に出てスキューバされたら
人生観が変わるかもしれない
ですよ」
エリーがクアーズを飲みながら
優しく言った。
「そや、はに〜。
わいのパーカー、羽織っとき」
「(♀)おおきにぃ〜。
だ〜りんはエエのん?」
「面の皮と一緒で背中の皮も
厚いから大丈夫や」
「ああ。
先ほど買われた、Tシャツを
お持ちしてますのでこれを」
「おおきに、ジミー。
ところで、あんたらは結婚
してどれくらいやのん?」
「はい。
手前もエリーも軍におりました
ので、28の時に結婚しまして
そろそろ20年ですね」
「そろそろ20年じゃなくて、
今年で21年目でしょあなた
(-~-#)」
エリーが拗ねたように訂正する。
「へぇ〜。
そしたら、ジミーもエリーも
わいより年上やんか。
すんません。
タメ口ききまして」
「いえいえ。
お気になさならないで下さい。
ボスに言わせるとわたしは
ヒヨっ子のNo.3だそうです
から」
「いやいや。
何をおっしゃいますやら。
そしたら、No.2言う方は?」
「長の勤めに出ております。
お気になさらず今まで通りで
結構ですよ」
「そうですとも。
ボスのお兄さんの弟さんは
我々にとってボスと同じです
から」
エリーもジミーに続く。
「(♀)お話し中やけど。
ちょっと、失礼してエエか
なぁ?」
「おお?
どないしたんや?
腹でも冷えたか?」
「(♀)もぉ〜ん。
ちょっと、お・し・っ・こ」
「はっきり言うやっちゃなぁ
(笑)
エリー。すまんけどついて
いったってくれますか?」
「もちろんです。
菜穂美さん。
トイレはあちらです。
ご案内しましょう」
「(♀)ごめんなさい。
ほな、ちょっと失礼して」
二人がビーチハウスの方へ歩いて
いった。
「それで、ジミーはどこの軍に
いてはったんです?」
「海軍のトムキャットに乗って
ました。
エリーが同じベースの医局に
おりまして」
「なるほど。
ほな、お二人共退役軍人さん
でっか・・・」
ジミーと話をしている時、菜穂美
の怒鳴り声が聞こえた。
「おお?
なんぞあったみたいやぞ」
俺たちは、声のした方に慌てて
駆けだした。
「菜穂美、どないしたんや?
大丈夫か?」
「(♀)いやなぁ、こいつらが
うちに一緒に泳ぎましょ言うて
手ぇ引っ張ってこうとしよって
ん。
うちら女二人やから舐められた
みたいやねん」
一人が大の字になって伸びて
いる。
水面を見ると二人の若い日本人が
浮いていた。
「(♀)何、しよんぢゃ!
このくそガキ言うてる間に
エリーさんが二人水に放り
込んで、一人を投げ飛ばして
まいはった」
少しばかり、俺は青筋が立って
いた。
「ジミー。
あの二人引きずり上げてくれる
か?」
「Yes sir !」
たちまち3人は俺の目の前に放り
出された。
「お゛ぉっ?
僕らぁ何、人の嫁に手ぇ出し
とんねん?
何震えとんぢゃあ!!
人の話聞く時は正座や!
2006 by Miyabi Raikou
今度、こないなことしよったら
エンコ、詰めさすからのぉ」
「すいません。
ごめんなさい。
許して下さい。」
「おまえら、それが許しを請う
態度か?
ごるらぁ、パスポート見せぇ。
はよぉ、せんかいっ!
ジミー、こいつらのヤサ控え
とってくれるかぁ?」
「 Yes sir ! 」
「今日は、許したる。
今度見つけたらタモン湾に沈め
たるからな。
よぉ、覚えとけっ!
何ぞ、言いたいことあるか?」
「いえ。
すいませんでした」
「(♀)せやけど、あないに
怒っただ〜りん見たん初めて
やわぁ」
「当たり前やろぉが!
大事な、はに〜に何ぞあったら
誓いの言葉反古にしたことに
なるやろぉが?」
「(♀)うち、嬉しいわ。
うちのことほんまに大事に思て
くれてんねんな」
「まあまあ、ご無事でなにより
でした。
まあ、彼らもこれに懲りて
少しは自重するのではないで
しょうか?」
「それやったら、ええけどな。
はに〜。
ほな、もう一泳ぎしよか?」
「(♀)うん」
俺たちは天然プールに
飛び込んだ。
※この小説は、『フィクション』
です。
実在の場所を使用していますが
登場人物、団体は、全て架空の
ものです。
☆この小説の著者は「わたし」
です。
著作権は「わたし」にあり
ます。
頼光 雅