第11話「D.F.S. Galleria」
第11話
「D.F.S. Galleria」
志水の叔父と入れ替わりに一人の
若者が乗り込みジミーと運転を
代わった。
「わたしの舎弟のKenです。
名前はこんなんですが現地の
もんです」
「オ・ジ・キ。
ヨロシクオタノ、モウシマス」
片言の日本語でKenが俺たちに
挨拶をする。
「O.K. ! Ken.
Nice meet you.
Call me Masa.
and this is my wife Naomi.
Ah !
No, say OJIKI.
OJIKI is Japanese Yakuza's
word.
We are not Yakuza.
HaHaHa ...」
ヤクザという言葉は、既に英語
にも取り入れられていてKen
に通じたようである。
ジミーがKenにたずねた。
「Have you Gun for our
protection ?」
「Yes, here is.」
何やかんや言うてもここは
アメリカである。
ガードマンでさえ、銃を腰から
ぶら下げている。
現地の許可を受けた者は大手を
振って銃を持てる。
これがアメリがなのであろう。
再び、ビクトリアロードから
タムニング地区に入り最大の
ショッピングセンターである
Duty Free Shoppers galleria に
到着した。
「(♀)わぁ〜、なんや天保山
マーケットプレイスみたい〜」
をいをい。
ローカルなネタ出して来なや。
「(♀)ああ?
入り口にデコピンがいてる」
「ちゃうちゃう。
あれは、ただのガードマンや」
「(♀)せやけど、腰からチャカ
下げてるやんか」
「ははは。
ここは、アメリカっちゅうこと
やな」
2001年9月11日に起きた
アメリカ同時多発テロ以降、人の
集まる地域でのセキュリティーが
格段に強化されている。
Duty Free Shoppers galleria も
入り口ではミラーサングラスに
拳銃を腰から下げたガードマンが
エントランスに立哨している。
「はに〜?
なんで彼らはミラーサングラス
かけてるか、わかるか?」
「(♀)え?
眩しいから?
単なる伊達で?」
「ブッブ〜っ!」
ジミーがかわりに答えてくれた。
「ガードマンの視線がこちらから
わからないでしょ?
相手に行動を予測させないため
なんですね。
大統領のシークレットサービス
やFBIもそうなんですよ」
「(♀)へ〜。
アメリカて奥が深いんやぁ〜」
菜穂美が変な感心の仕方をした。
Kenが吹き出したところを
ジミーにはり倒された。
「 Oh ! my ・・・」
ジミーがガードマンに近づいて
いく。
「Hi ! Jimmy.
How are you this afternoon」
ジミーはガードマンと顔見知りの
ようだ。
二言三言言葉を掛け合いこちらに
戻ってきた。
「今日は手ぶらではないので一言
彼に断っておきました」
ああ、ジミーもKenも懐に
呑んでたんやっけ。
「(♀)あの〜、もう入っても
よろしいんでしょうか?」
「さあ、どうぞ。
お腹が減ったら向こうにカフェ
テリアのPlanet Hollywoodも
ありますから」
さり気なくジミーとKenが
ガードのポジションにつき俺達は
店内へと入っていった。
店内のブースには満面の笑みを
浮かべるポリネシア美人が・・・
「(♀)ね、だ〜りん。
知らないお姉さんについて
行っちゃダ・メ・よ」
きょろきょろする俺は、早速釘を
刺された。
「(♀)いらんことしたら和美姐
さん直伝の電撃よ〜」
かぁっ、もうそこまで伝授され
たんかいな。
ほんま、よ〜言わんわぁ。
「Hi ! Jimmy. Hi ! Ken 〜」
各店のブースを通ると彼女達は
ジミー達に声をかける。
ジミーはここでも皆に顔馴染みの
ようである。
菜穂美がシャネル・ブティックを
見つけたようだ。
「ハイヒールのももこ」やない
ねんからシャネルばっか行くな
よぉ〜。
なんやかんや言うて菜穂美も
ナニワのお姉ちゃんのようで
ある。
「Good afternoon, miss.
Oh ! Sorry, madam.
May I help you ?」
早くもシャネルのお姉さん達は
臨戦態勢である。
「Ah ! This ring is Kan-Ku
Premium version.
So good design.」
「(♀)ちょお、ちょお。
だ〜り〜ん、この人ら何言う
てんの?」
「菜穂美の指輪見て、これは関空
でないとない手に入らない
特別品ですね、言うとんねん」
「(♀)へぇ〜。
関空のシャネルのお姉さんが
言うたん営業トークとちゃう
かったんやぁ。
適当に聞いとったけど」
ちゃんと、聞いてるやないか。
それにしてもシャネルの連携は
すんごいねぇ。
俺もちょっと色気出して聞いて
みた。
「Excuse me.
Do you have premium version
of Guam D.F.S. ?」
お姉さん達のトークがヒート
アップする。
「Oh ! yes.
This is premium version
of Guam.」
わっ、しもた。
出てくる、出てくる。
ブレスにネックに財布にバッグ、
その他諸々。
横を見ると菜穂美の目が爛々と
輝いている。
「(♀)これ、みんなもぉとく
わぁ」
「をいをい。
見んと買うてええんか?
勢いで言うてへんか?」
「(♀)エエやん、だ〜りん。
あかんかったら、うち自分で
買うから」
「わ〜った、わ〜った。
O.K. All buy it.
Check out here」
俺は、カードを出した。
「Thank you, sir !
I do custody of a platinum
card.
just a minute please, sir」
「(♀)やったぁ〜。
あ〜ん、うちのもんしか買うて
へんやん。
だ〜りんのもんも買わなぁ〜。
お姉さん、ちょい待ちや」
「Sorry,wait! wait!
なんやねんなぁ?
ほんま、おまえシャネルになる
と性格変わるんちゃうかぁ?」
シャネルのお姉さんが再び満面の
笑顔で振り向く。
「(♀)このブレスレットペアで
ちょうだい」
なんか菜穂美の気迫が通じたよう
である。
と言うよりこのお姉さん、もしか
して日本語話せんのか?
「Can you speak Japanese ?」
「はい、もちろん」
もぉ、無い頭絞って英語で喋って
たのに。
「こちらのブレスレットのペア
ですとこちらがよろしいかと。
サイズも合うようですね」
「ほな、これも追加して下さい」
「Thak you sir ! 」
大騒ぎの末、シャネルでのお買物
は、終わった。
※この小説は、『フィクション』
です。
実在の場所を使用していますが
登場人物、団体は、全て架空の
ものです。
☆この小説の著者は「わたし」
です。
著作権は「わたし」にあり
ます。
頼光 雅