男を倒して武器ゲット
始めまして、sitisです。アクションを書くのは久しぶりで楽しみです!『ストーカー・ラブ』という作品も連載しているので、どうぞご覧ください!
笑顔で、なるべく笑顔で。
そう思っていても少しだけ顔が引き釣ってしまう。
にこぉーーっと少しわざとらしいくらい笑いながら、見知らぬ男の家をノックする。この世界には僕が居た世界のように来客を伝えるベルは無い。そのためちょっとだけ緊張しながら。
「ああん?誰だこんな夜更けに?…おお」
文句を言いながら男が出てくる。見た感じ三十前後で、無精髭がボーボー。髪の毛はボサボサで、結構な太り方だ。こりゃ、長いこと女の子と話してないな。
「すいません。実は今日、泊まる所が無くて…よければ、一日ここに泊めてもらえませんか?」
口から出るボーイソプラノの声。容姿の女の子っぽさを合わせたら、僕は今完全に女の子だ。まあ、モノは付いてるけど。
瞬時に男の顔が赤くなる。へえ、やっぱり女の子慣れしてないんだな。
「だめ…ですか?」
手を股に挟んでもじもじしてみる。上目遣いと涙目は忘れずに。思った通り男は顔を赤くしたまま舌舐めずりをする。うえ、気持ち悪い。でもそんな感情はおくびにも出しちゃいけない。この男が僕を襲う気でも絶対に。
「あ、ああ。もちろんいいよ。上がって」
「わあ!ありがとうございます!」
花が咲くような笑顔を自然にする。よかった。こっちに来てからこんなこと初めてするからあんまり自信無かったんだけど、やっぱりこの見た目があればどうにかなりそうだな。
男に案内されて奥へ進む。外の汚さに比べて中は意外と綺麗だった。
「綺麗な部屋ですね」
「ああ、なかなかだろう?俺はこう見えても綺麗好きなんだ」
ゴミ箱の中に見えるティッシュの山はスルーしておこう。鼻炎なんだよ。そうだと信じたい。信じさせてくれ。
さて…やろう。
若干抵抗もあったんだが、しかたない。
僕は男を油断させるために、そして中に隠した武器を手にとるために女装の一環としてスカートを脱いだ。
「…ねえ、泊まらせてもらえるお礼、してもいいですか?」
「な、ちょ…」
「大丈夫です。初めてって訳じゃないので」
にこっと微笑んで抵抗する気を無くさせる。きっと僕の事はかわいい女の子に見えているんだろう。簡単でいい。
「さ、私だけ脱ぐのは恥ずかしいです…脱いで」
最後だけタメ口なのはもちろんわざと。男はやはり分かりやすいくらいドギマギしている。童貞なんだろうな。
すぐに男は服を脱いで全裸になった。これで隠し武器は無いわけだ。
「じゃ、勘違いお疲れ様。僕は男だよ」
隠し持ったナイフを首に突きつけ、脅す。素人はこういうのが一番効く。プロ相手ならこんなのすぐに破られるけど。
「抵抗しないでね?僕の質問に答えて。君は剣を持ってるはずだ。それも特別なものを。その在処と能力を教えて欲しい」
「けけ、剣ならそこの宝箱に入ってる!能力は斬撃と電源が使えることだ!こここ、殺さないでくれ!」
「OK。…うん、あるね。ありがと」
そこで俺は一度男の首から手を離す。
「ふはっ…」
男の表情に現れる安心。しかし、それも束の間。
首にナイフが刺さる。
男はぐりん、と目が白目を向き、仰向けに倒れた。その後、体だけ蒸発する。
「ふう…あー、やっぱりナイフ壊れてる。初期装備だしなー…まあ、いいか。剣手に入ったし。チー!こんな感じでいいんだよね!?」
一通り反省を済ませた後、こっちの世界に飛ばされた時に贈られたネズミ型アンドロイド(デフォルメされてる)のチーに話しかける。
「はい…しかし、いささかやりすぎかと」
「まあいいじゃん!今は深夜だし、ゆっくりしていこうよ!」
「はあ…」
浮かない顔のチーを無視して、安っぽいベッドに入る。明日は早起きして逃げないとな。
ストーカー・ラブと違ってこっちはできたそばから更新します。ですので一日三話更新することもあれが一週間更新しなかったりします。ご了承を。