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プロローグ
映画の途中で臨時ニュースが入った。
「東京都はそのうち砂漠になります」
政府の公式見解であった。
青天の霹靂という奴だ。
人々はこの世の終わりのように騒ぎ立てた。
世紀末風の漫画と、占いの本と、スポーツ新聞の売上げが伸び、ワイドショーの視聴率が上がった。
お茶の間の話題の中心は常にその話題だった。
専門家の意見は「砂漠まであと三ヶ月」「もはや砂漠化だ」など口々に騒ぎ立てた。
その年は「東京府砂漠」という歌が最優秀歌謡賞を受賞し
「あなたのポイ捨て、裁くか砂漠化」が流行語大賞を受賞した。
そして、年が明け新学期が始まる頃には、砂漠化の話題はきれいさっぱり忘れられた。