銀の美女とその裏の顔
カルの「にゃ」は「な」だとおもってくださいw
銀色の肩までのふわっと巻いた髪。それをハーフアップで結っている。
琥珀のような瞳を銀色の長い睫毛が縁取っており、白い肌に映えている。
「…ほわわっ…」
見ているだけで鳥肌がたつような美女。
柔らかい風貌をしているがどこかで威厳を感じる。
と、美女が形の良い唇を開いた。
「はじめまして、セイヤ・シャムと申します。えーっと貴女がアスファのご近所の方で…?」
オレンジ色のすんだ瞳がこっちを見ている。それだけで自分の頬が赤くなってくるのがわかった。
「…ひゃい!」
あ、舌噛んだ。そしてそんな私の失敗にセイヤは目を細めて笑った。
「可愛らしい方ですね…これからもよろしくお願いしますね、リオさん」
「…こちらこそです!」
このときリオは顔にばかり目がいっていて気付かなかったのである。
セイヤが男子の制服を着ていたことに…。
セイヤとアスファが教室から去った瞬間、私の脳内は機能し始めた。
「リオ、ずーっとぼーっとしてたにゃ」
膝元で頬を膨らませたカルがこっちを睨んでいる。しかし下から目線なので逆に萌えレベルが増すばかりである。
「…あ、あぁ、ごめん、ちょっとセイヤさんって凄い美女だね…」
カルだってあのレベルの美女だったらあぁなるでしょう、と言ったらカルはさっきよりも眉間のシワを深くした。
「同性愛の趣味はにゃいんだけどにゃ」
教室の騒ぎ声でよく聞こえず、聞き返すも返ってきたのは深い溜め息だけだった。
「…可愛かったね、あの子」
セイヤの呟きにアスファは眉を寄せた。
「膝のうえの猫耳の奴のはなしか?やめとけ、男だぞ」
溜め息と共に違うよ、とセイヤが言った。
…まさか。嫌な予感しかしない。
「…可愛いのはリオちゃんの方。欲しくなってきちゃった」
怪しく微笑んだセイヤにアスファは危機感を覚えた。…己とリオの命に。
いつの話であったか。
とある少年が公園で自分のおもちゃを自慢した。
それを聞いていたセイヤはそれがほしくなった。
そして翌日、首に幾重のもの赤い絞め跡をつけて少年が公園にやってきた。
嫌な予感がしたアスファがセイヤの家を訪ねた。
すると。
いつもよりも赤みが増したように見える瞳で少年が見せびらかしていたおもちゃを見ていた。
それは半壊していた。
そしてセイヤはいつもと変わらぬ笑顔で言ったのだ。
…壊れちゃったよ
と、それだけ。
そう、セイヤはほしいものは壊してまで手に入れる性分なのだ。
あのときの壊れたおもちゃとリオが重なって見え、それが不吉な事を表しているようにしか思えないのだった。
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