イルが意外だった。
「…さてと、リオは異世界から召喚されたんだな?」
先ほど貰った部屋にあった椅子に座ったイルは手招きをしながそう言った。
「…はい、何故分かるんですか…?」
テーブルを挟んだ向かいの椅子に私も座る。
「異世界の者は黒髪黒目なんだ」
…ほー、つまりは転生者は東南アジアな国からしかいないのかな…?
口もとに拳をあてて考えているとイルが話を続けた。
「ここは龍が人を飼う世界、アルマディナだ。そして改めて言うが俺はザイル・シャルク。アルマディアの東方を収める龍だ。」
「ほぇ~…よろしくお願いしま…って、今の話だとイルって結構スゴい人…じゃなくて龍で私はさっきイルに買われたってことですか!?」
まず見た目が人!龍の形を成していないのに龍なのか!?
内心で突っ込んでいるとイルがまぁそうだな、と呟いた。
「正しくは結構じゃなくてかなりスゴいし、買われたし、これからは飼われるし。 あと今はこの姿の方が都合いいから龍になってないだけで本当は龍の姿だぞ」
「え…そうなんですか…」
内心で突っ込んだのに分かるなんて読心術でも持ってるのかな…
「あと堅苦しいから敬語なし!わかったな? ペットっていっても友達のような感じで接してくれ」
「…うん」
いい人だなぁと思いつつ、返事をしたのだった。
「ところでリオ、この世界は魔法が存在するんだ」
「えっ!?」
しばらく談笑していたら急にイルがそう切り出してきた。
魔法って言ったら魔法の言葉を唱えて…みたいなアレ!?
「魔法を使うには魔力が必要なんだが、魔力最大値は魔学を極める事で上がるんだ。ということで提案なんだが…魔学を学ぶつもりは無いか? 丁度今学園が入学シーズンなんだ、年も見たところ一般人が魔学を学ぶ年代だし、今が一番いいと思うんだ」
…学べば魔法が使える、だと…!?
「…行きます、何があっても学園に行きます!」
椅子から勢いよく立って挙手したリオの様子にイルは驚き混じりの苦笑をむけた。
「…わかった、わかった」
学園か…楽しみだな!
今度は友達できるかな、と期待に胸をおどらせたのだった。
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さてと、そろそろ学園っぽくなりそう…♪