どうやら買われちゃった感じ。
赤い髪の麗人は頭から足先まで舐めるように見たあと、おっさ…おじさんを振り返った。
「確かに黒髪黒目だな。染めてはないんだろうな?」
麗人の言葉におじさんは営業スマイル全開に、はい~と言った。
もう一度麗人はこっちを見た。
燃えるような赤、というよりルビーのような赤、の表現が合うような腰までの髪にこれまたサファイアのような瞳。
余談だがルビーもサファイアも同じ石で成分によっていろが変わるそう。
現実逃避に天然石のことをかんがえていると麗人がぐっと顔を近づけてきた。
「名は」
「あ、瑪穂里桜です…」
いきなりでビックリして声が上ずった。にしても鳥籠の柵ごしとはいえ、顔が近い!!
そんな私の表情に麗人はくくくっと笑った。
「気に入った、…いくらだ?」
おじさんは満面の笑みになる。
「…3サバアです」
高かったのか麗人は顔をしかめたが、その顔のまま目を閉じた。
なにやってるのかなーっと思っているとおじさんがにやっと笑った。
「ご購入ありがとうございました」
え、麗人は金も物もはらってませんが!?
鳥籠の鍵が開けられ、麗人が中にはいる。
「よろしくな」
そう麗人は呟き…私を横抱きにした。顔がドアップで見える。スッとした鼻梁、きめ細やかな白い肌、つり目の瞳。その美しさに嫉妬を通り越して尊敬する。
「…俺の顔に何かついてるか?」
ジッと見つめすぎたらしい。俯いて頭を振ると麗人はクスッと笑った。
「買って正解だったな…。 俺はザイル。気軽にイルと呼んでくれ」
笑った顔が可愛くってつられて私も笑ったのだった。
「さて、と…帰るか」
イルはすっと立ち上がって前を見据えた。
どうやって帰るのかなー…車かな、徒歩かな…まさかの自転車かな?
…イルがママチャリに乗っている姿を想像してぷっと吹いた。いまさらながら知らん世界にやって来て、知らんイケメンに買われたというのに恐ろしいとかそういう感情はなく、ただワクワクする。
そんな自分の危機感のなさに呆れているとイルが顔を覗き込んできた。
「ここがリオの部屋な」
…ん?
いつの間にか場所が移動している。そこは先ほどのようなホテルのような部屋ではなく、よく見かけるような部屋だった。
基本白だが、カーテンが青い鳥の模様だったり、真っ白なタンスに鳥のシルエットが描かれていたり…よく見ると鳥がいっぱい。
「…鳥がいっぱい」
思わず呟くとイルがにこっとと笑って言った。
「俺が鳥好きだから。嫌いだったら言ってくれよ、この部屋はリオの部屋なんだから」
彼の親切に満面の笑みで感謝を伝えたのだった。
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実はどちらとも初めてだったりしますw
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