贅沢を一瞬だけ。
アンモニア臭なところから一変、今度は真っ暗な部屋で真っ黒なひとたちに囲まれていた。
闇のなかにいくつか、オレンジいろの光が淡く浮いている。
「ここは…?」
つぶやくと真っ黒な人たちは、おおおおっ!と声を上げて喜んだ。
…Why?
「黒髪に黒目、異世界の者だ!!」
真っ黒なひとが叫び、その声に更に歓喜の叫びが大きくなる。
「こりゃ高く売れる!」
「顔はマチマチだが売れる!」
「臭いが洗えば売れるよな!」
各々、酷いことを叫びながらも喜ぶ。顔は両親に文句言え、臭いのは私をトイレに閉じ込めた奴等に文句言え!
脳内でプンスカ怒っていると真っ黒なひとに腕を捕まれ、引っ張られた。
「…こっちですよ、まずは臭いを落とさなければ」
…大切なことなので二回言います。臭いのは私を閉じ込めた奴等に言え!
風呂場に案内され、体を洗い、やたら露出の多い赤と黒を基調としたドレスに着替えさせられる。
そこはさっきの景色とは違い、明るくて上品、まるでホテルのようだった。
メイドもおり、お世話は彼女らがしてくれた。着替えはもちろん、体を洗うのも…
メイドたちはドレスに着替えさせた後、みつあみもほどいた。
まぁ、美しい巻き毛、なんて誉めてたけどただ単にみつあみの跡ですからね?
メイドたちと共に美しい廊下を歩いていると、見えたのは鳥籠。
わー、細かい装飾もされてて素敵♪なんて思っていたらメイドに鳥籠に入れられた。
…後悔先に立たずだ。
もっとここは何処、とか売れるってなんの話、とか怪しんでいた方が良かった。
顔がマチマチと臭いのせいで疑問なんて怒りで吹っ飛んでいた。怪しんでいたら逃げることも出来たのに…!
メイドが鳥籠に入ってきて鎖付き首輪を首につけ、鎖を鳥籠の柵に接続する。
その動作は一瞬で逃げる隙もなく…鳥籠に施錠された。
わたしってばついてないわー。
1日で2回軟禁されるとかありえんわー。
…コルセットを絞めているせいか結構だるい。
寝転がろうとした瞬間回りの景色が変わった。
そこは先程のように高級感溢れる一室だった。が。
そこには中年太りしたおっさ…じゃなくておじさんと、
赤い髪が印象的な麗人が居たのだった。
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