女友達って良いね!
期間開いてすいませんでした!
いつもの1.5倍の量になっちゃいましたー☆
いつもの様に目覚め、いつもの様に伸びをし、いつものように髪をひとつの三つ編みに結わえる。
「…イルー」
半目で主の名前を呼ぶと赤髪をなびかせイルが現れた。
「はいはい、移動だよな」
…このやり取りも何度目だろうか。まだ精霊を使役していない私は移動魔法が使えず、家から離れて空中に存在するこの部屋と廊下から出られないのだ。
まったく不便だ、と愚痴をこぼしながら出かける準備をし、家を出たのだった。
「気をつけろよ〜」
家の中から響いてきた声に、はーいと返事して隣の家の玄関へと向かった。
隣人…アスファと毎日一緒に登校するのだ。
物覚えが恐ろしく悪いので、彼無しでは学校に辿り着けない。
しかし彼は朝に弱いうえ、独り暮らし。だから毎朝このように起こしに行っているのである。
家にはアスファしか居ないので遠慮なくチャイムを連打する。
家の中では相当な音量でピポピポピポと鳴っているだろう。ははは、かわいそうに。
数秒、連打しているとふわりとフローラルな良い匂いがした。
なんの匂いだと振り返ってみれば、
土下座して雪と氷の女王と崇めたくなるような麗人、セイヤが居たのである。
何故ここに、と目をぱちくりさせているとセイヤはふわっと笑った。
「アスファを起こしに、ですか?あの人も困ったもんですね、こうやって貴女の手を煩わせているんですから…」
女王様、今ので全国の人、老若男女を虜に出来ますよ。
すると、セイヤはアスファの家の門を開けた。
「…セイヤさん、あなたのような美しい女性が家に入っちゃ獣と化したアスファに襲われますよ!?」
チャイムを連打していれば起きるんですから!と叫ぶとセイヤは大きく目を見開いて、それから微笑んだ。
「…それもそうですね。あと、セイヤでいいですよ、敬語じゃなくても大丈夫です」
「あ、じゃあセイヤさ…セイヤも敬語無し!リオって呼び捨て!いいよね?」
「…ありがとう」
セイヤの蕩けるような色気たっぷりの微笑みに、同姓の私もドキッとしてしまった。
すると、ドアの音と共に今まで存在を忘れていたアスファが家から出てきた。
和気あいあいと話していた私とセイヤにひどく驚いたご様子。
もっと驚かしてやろうと思い、セイヤの腕に抱きついてニヤリと笑い、アスファに言ってやった。
「セイヤはアスファともう友達かもしれないけど、私ともだって友達だからね!はじめての女友達なんだから私に嫉妬して変なことセイヤに吹き込んだらダメだからね!」
アスファは期待通りものすんごく真ん丸な目をして驚いてくれた。ははは、変な顔。
「だそうだよ、アスファ君?」
おどけたセイヤの声音にアスファが睨んだ。一人ぼっちで悲しいんだろうね。カワイソウ。
「ところで今日は精霊を使役する日だね」
ぼそっとセイヤが呟いた。確かにそういえばそうだった。
「楽しみだね、プランクトンの精霊だけは使役したくないけど。」
「大丈夫、リオはなんか才能ありそうな感じがするから」
「え、そう? セイヤの方が才能ありそう。神々しいし、雪の精霊とか氷の精霊使役しそう」
「そんなことないよ、ところで雪とか氷とかそんな冷たく見える?」
「まぁ、銀の髪にその完璧なお顔だったらそう見えちゃうね」
「完璧だなんて…そんな誉めてもなにもでないよ」
「事実を言ったまでだよ?」
「それは嬉しいな…、ところでアスファ君、いる?」
先ほどからアスファが会話に参加していない。確かにと思って後ろを振り向くと私たちを、いや、正確に言うと私たちの繋いでいる手を憎々しげに睨むアスファがいた。
「女友達なら手を繋いで登校しよ?」
そうセイヤが言うので手を繋いだのだ。白くて細くて長いので羨ましい。
「…まったく。」
アスファは大きくため息をついたのだった。
誤字脱字指摘、感想、ポイント評価頂けたら嬉しいです!
因みにこの小説のなかで一番好きなのはセイヤです!