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定年後に目覚めたら新人研修初日だった件~元課長の俺、現代知識で会社と美人社員をまとめて救います~  作者: いわん


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28/30

第28話:次世代リーダー宣言。

呼び出しは、突然だった。

「相良くん、少し時間をもらえるかな」

社長室。

役員会の直後。

この並びで“雑談”は、ない。

部屋に入ると、社長は窓際に立っていた。

窓越しに、街を見ている。

高層階からの景色は、いつも同じだ。

だが、そこに立つ人間の立場だけが、違う。

「会社が、ようやく静かになった」

それが、第一声だった。

確かにそうだ。

派閥抗争は止まり、不正は消え、業務は回り始めている。

声の大きな反論も、感情的な噴き上がりもない。

騒音が消えたあとに残るのは――責任の所在だけだ。

「君が来る前」

社長は、振り返らずに続けた。

「この会社は、“頑張った人間”で回っていた。だが、頑張った人間から、先に壊れていった」

――痛烈だが、事実だ。

俺は、火消し課長として、その現場を何度も見てきた。

「今は違う。仕組みが回り、人が残る……それを設計したのが、君だ」

評価だ。

だが、賞賛ではない。

確認に近い。

俺は、何も言わない。

評価は、求めていない。

社長が、こちらを向いた。

「単刀直入に言う。君を、次世代リーダーとして指名する」

空気が、止まった。

役職名は、まだ出ない。

だが――

それ以上に重い言葉だった。

「経営の中枢に入ってもらう。意思決定の場に、常に席を用意する」

それは、権限の話であると同時に、逃げ場を消す宣告でもある。

「反対は?」

そう言われて、俺は初めて口を開いた。

「ありません」

俺は言葉を継いだ。

「ですが、条件があります」

社長の口元が、わずかに緩む。

想定内、という顔だ。

「聞こう」

「属人化は、拒否します。私がいなくなっても回る設計を、続けたい」

俺はさらに言葉を続ける。

「それから――敵も、増えます」

社長は、はっきりと頷いた。

「分かっている。だからこそ、君なんだ」

今度は社長が言葉を続けた。

「人気者ではなく、嫌われても、構造を壊さない人間が必要だ」

その瞬間、理解した。

これは、栄転じゃない。

前線への配置転換だ。

しかも、退路のない最前線。

「御堂は、どうする?」

「右腕として、残します。彼は、最前線を守れる」

「では、橘は?」

「監査と設計の要に。彼女がいなければ、均衡が崩れます」

一つずつ、盤面が確定していく。

人事ではない。

盤面への「駒」の配置だ。

社長は、静かに言った。

「もう、個人戦じゃない。君が動けば、会社が動く。それを、忘れないでくれ」

――忘れるはずがない。

その日の夕方。

社内ポータルに、短い告知が出た。

「経営体制強化に伴う、新リーダー層の任命について」

名前は、伏せられている。

だが、誰もが分かっていた。

廊下の空気が、変わる。

視線の意味が、変わる。

「次、どこを見るんですか」

「この判断、通りますか」

“相談”ではない。

“確認”だ。

御堂が、隣で小さく笑った。

「……完全に、景色変わったな」

「ええ」

「逃げ場、ないぞ」

「最初から、ありません」

その夜。

一人で、社内の明かりを見下ろす。

三十年遅れの新人――元・万年火消し課長。その記憶を持った俺は、気づけば、ここまで来ていた。

TUEEEE?

無双?

違う。

これは、責任が極点に達しただけだ。

権限。

権威。

影響力。

すべては、次の問いのためにある。

――この会社を、どこへ連れていくのか。


宣言は、終わった。

だが、物語は――ここからが、本編だ。


次回予告:

信頼で結ばれた仲間たちが、俺を囲み、支えることを誓う。

もはや揺らぐことのない最強の陣形が、今夜完成した。

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