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定年後に目覚めたら新人研修初日だった件~元課長の俺、現代知識で会社と美人社員をまとめて救います~  作者: いわん


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25/27

第25話:社内システム刷新。

改革は、人から始まる。人の「要望」から始まる。

だが――定着させるには、仕組みが要る。

それを、俺は三十年前に学んだ。

どれだけ優秀な人間がいても、システムが腐っていれば、必ず燃える。大炎上だ。

声の大きい人間が評価され、本当に仕事をしている人間ほど、静かに削られていく。

そんな現場を、何度も見てきた。

きっかけは、役員会の一言だった。

「改革は評価する」

「だが、属人化が進みすぎている」

久我でも、東堂でもない。

社長の言葉だ。

「相良くん。君が抜けたら、回らない体制は危険だ」

――正論だ。

そして、もっともな懸念でもある。

だからこそ、ここで手を打つ必要があった。

「では」

俺は、静かに言った。

「仕組みに落とします」


数日後。

全社向けに、システム刷新プロジェクトが発表された。

名目は、業務効率化。

だが、本質は違う。

人の判断を、再現可能にすること。

誰がやっても、同じ結論に辿り着ける道筋を作ることだ。

現行システムは、継ぎ接ぎだらけだった。

部署ごとに異なるExcelファイル。

属人で作られたマクロ。

メール承認。

紙の申請書。

「前からそうだから」という理由だけで、生き残ってきた遺物。

「これ、誰が全体見てるんですか?」

若手が、半ば冗談で言う。

「誰も見てない」

それが、答えだった。

俺は、全業務を洗い出した。

フロー。

判断点。

例外。

承認理由。

“人が迷う場所”だけを、重点的に拾い上げる。

ITチート?

違う。

「業務」を知っているだけだ。

「失敗する現場」を、知りすぎているだけだ。

「ここ、システム化しなくていい」

「ここは、逆に人を介さないと危険」

「ここは、判断基準を数値化できる」

設計思想は、一貫していた。

――人は、判断に使う。

――システムは、判断を支える。

――例外は、隠さず可視化する。

橘が言った。

「監査的に、完璧です。誤魔化しようがありません」

御堂が笑った。

「経営判断が、驚くほど楽になるな、これは」

実装は、段階的に進んだ。

まず、申請・承認の一本化。

次に、工数と成果の自動紐付け。

最後に、異常値アラート。

誰かが無理をして数字を作れば、必ず痕跡が残る仕組みだ。


実装を始めて一ヶ月後。

数字が、変わり始めた。

――承認待ち時間、40%削減。

――残業時間、月平均25%減。

――トラブル初動対応、半減。

――外注費:無駄分が可視化され、自然減。

役員会で、グラフが映し出される。

「……これは」

誰かが、息を呑んだ。

「相良くん」

社長が言う。

「利益が、見えるな」

「はい」

俺は答える。

「“誰かが頑張った”じゃありません。“仕組みが回った”結果です」

会議後。

廊下で、社員たちが話している。

「仕事、楽になったよな」

「判断で悩む時間、減った」

「前より、ちゃんと評価されてる気がする」

俺は、それを聞き流す。

TUEEEE?

確かに、そう見えるだろう。

だが、俺は知っている。

無双とは――自分が動かなくても、勝手に成果が出る状態のことだ。

三十年遅れの新人――元・万年火消し課長。今の俺は、火を消さない。

火が起きない設計を、置くだけだ。

そして、数字がそれを証明する。

盤面は、もう個人戦じゃない。

会社そのものが、

俺の読み通りに動き始めていた。


次に問われるのは――

「この会社は、どこまで変わるのか」だ。

物語は、まだ加速する。


次回予告:

株主たちの厳しい追及を、圧倒的な再現性で封じ込める。

拍手の中で、俺は公式に「次世代のリーダー」へと押し上げられた。

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