表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
定年後に目覚めたら新人研修初日だった件~元課長の俺、現代知識で会社と美人社員をまとめて救います~  作者: いわん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/19

第14話:特別チーム発足。

社内に告知が出たのは、社長室での面談から三日後だった。

「業務改革推進のため、特別チームを発足する」

「責任者:審査部、相良恒一」

短い文面だったが、意味は重い。

特別チームの部署名が書かれていない。

つまり――社長直下。横断だ。

フロアが、わずかにざわついた。

声は上がらないが、視線が動く。

驚き、困惑、警戒、嫉妬。

そして、ほんの少しの期待。

「……本気だな、社長」

係長が、資料から目を離さずにぽつりと漏らす。

「ええ」

俺は画面を見たまま答えた。

「ここからが本番です」

特別チームの顔合わせは、小会議室で行われた。

最初に集められたのは、五人。

審査、営業、システム、総務、経理。

部署はバラバラだが、共通点がある。

――現場で「おかしい」と思いながら、それでも仕事を回してきた人間たちだ。

全員、どこか警戒している。

この手の「改革」は、だいたい現場に皺寄せが来る。

その記憶が、表情に滲んでいた。

「今日は、方向性だけ共有します」

俺はそう言って、ホワイトボードに一行だけ書いた。

『仕事を増やさず、成果を増やす』

一瞬、空気が止まる。

「改革って言うと、現場は身構えます」

俺は続けた。

「仕事が増えると思うからです。だから逆にします」

視線が集まる。


「無駄を消す。判断を減らす。人を守る」


「……人を?」

営業の男性が、慎重に聞き返した。

「はい」

俺は迷わず答える。

「ミスをする人は問題じゃありません。そのミスを生む『仕組み』が問題なんです。それを潰します」

誰かが、小さく息を吐いた。

総務の女性が、静かに頷く。

言葉にされなかった不満が、そこにはあった。

役割分担はシンプルだ。

システムは自動化。

総務は制度。

経理は数字。

営業は現場の実態。

俺は、全体設計と優先順位を握る。

「決裁は?」

経理の女性が、確認するように尋ねた。

「私経由で、社長まで直です。安心してください」

一瞬、空気が固まった。

それだけで、このチームが“飾り”ではないと理解できる。

会議が終わり、各自が席を立つ。

表情はまだ硬いが、最初の一歩としては十分だ。


廊下に出ると、白石が少し離れたところで待っていた。

「相良さん……チーム、すごいですね」

「必要な人が集まっただけです」

「でも……会社、変わりそうです」

その言葉に、俺は一瞬だけ考えた。

「変えます」

即答した。

「壊さずに、使える形に」


数日後。

特別チーム名義の改善案が、社内ポータルに掲載された。

反応は、二つに分かれる。

すぐに動き出す部署。

様子を見る部署。

それでいい。

盤面は、一気に動かすものじゃない。

重要なのは、中心を押さえたことだ。

情報。

決裁。

数字。

そして、人。

三十年遅れの新人――元・万年火消し課長だった俺は、もう火を追いかけない。

これからは、火が生まれない配置を作る。

特別チームは、ただの改革組織じゃない。

会社全体を、少しずつ俺の読み通りに動かすための――盤面操作の中核だ。

静かに。

確実に。

会社はもう、俺を無視しては回らない。


次回予告:

噂を聞きつけた女性社員たちが、俺の元へ「相談」に訪れる。

それは好意ではなく、絶対的な安心感への信頼の証だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ