第9話 入学へ
エルがライヒェンバッハ家に迎え入れられてから7年がたった。
「エルッ!制服を着てみたのだけどどう?似合う?私の事好きになった?」
「ヴェル、はしゃぎすぎだよ。来週からの学園では大人しくしていてくれよ。」
「うん!エルの隣で大人しくしてるからね!」
「いや、俺の近くに来ないでくれという意味なんだが……。」
「それは無理だよ~。私の人生の目標はエルと結婚して幸せな家庭を築くことだもん!そのためにお父さんとお母さんを説得して、いろいろと頑張ったんだから!」
「はぁ~。ほんとにどうしてこうなったんだか。」
あれから7年。ヴェルの綺麗な金髪は長くなり、女性らしすぎるふくらみは12歳ですかというほど大きくなり、毎日抱き着かれるたびに非常に苦しい思いをしながら執事としての業務を行っていた。
一方、毎日リエラからはヴェルといちゃいちゃするな、ノエルの胸を見るなと説教をくらい、ヴェルの猛アプローチにより外堀を埋められながらも、俺は戦闘訓練を真面目に学び、自分の知識を深めた。
俺はあの頃の小さかった自分ではない。身長も140cm……あんまり伸びてないが、これから伸びる。黒色の模様が出る戦闘モード、俺は覚醒と名付けたが、覚醒の制御もできるようになった。
「おーい。お嬢、エル坊!」
「「ノエル(ノエルさん)」」
「いや~、そろそろ馬車で出発が近いな~と思ってな!挨拶と報告があってきたんだ。」
「ありがとう、ノエル。で、報告って何?」
「私も暇だから学園に行くことにした!教師でな!ってことだからこれからもよろしくな!」
「「ええ!?」」
「いや~だっておもちゃ……じゃなかった大切な生徒であるエル坊が居ないと暇だからさ~。」
エルはボソッと呟く。
「暇なら彼氏の1人でも作ればいいんじゃないのか……。」
「おいおいおい~!エル坊?随分と偉くなったな~。この私に対して上から目線の言葉を言えるようになったなんてな~。それに誰かな~、訓練中ずっといやらしい視線を私に向けてくるのは。」
ニヤニヤしながらエルをからかうノエル。これも7年続いた日常だった。
「なっ!!見てねえし!誰がノエルみたいな25歳のおばさんの胸なんか見るかよ!!」
「「見てるでしょ」」
エルは顔を真っ赤にしながら逃げ出した。正直ノエルの見た目は好みドストライクであり、本当は自然と目が追ってしまう。
来週からは学園か……。
国立オルフォンス学園。
大きく分けて3つの学科がある巨大な学園である。卒業生は国に仕える、貴族に仕える、名だたる傭兵になる、巨大な商会の一員となる等花道が多く用意されている教育機関だ。
大きく分けて戦闘科、支援科、商科で構成されている。
その中でも今回エル、ヴェル、リエラは戦闘科に入学が決まっている。
戦闘科は1年5組まであり、ほとんどが貴族で構成される。支援科は2クラス、商科も2クラスだ。
「エル…聞こえる?」
「リエラ聞こえるよ。」
「来週からついに会えるね!同じクラスになれるといいけど!」
「多分なれないよ。だってリエラもヴェルも1年1組だと思う。俺は1年5組だと思うからね。」
そう、この学園ではクラスが若番であるほど、優秀な人が集まる。このクラスの変更は年に1回あり、6年後の卒業の時にどのクラスにいたかが重要となる。クラスの変更には年に1回行われる学年戦のほか、国家戦、代表戦、学園祭の活動内容、そして何より一騎打ち申し込みによりポイントが変動してクラスが変更される。
「エルが同じクラスじゃなかったらこの国燃やしちゃおうかな。」
「リエラ、落ち着こう。リエラが本気出したら本当に燃えそうだから。」
リエラはこの7年で本当に強くなった。近衛魔法師団団長よりも強いとうわさされるほど、強くなったのだ。
「ふふん。この国で私にかなう存在はなかなかいないからね。本当はあのくそ国王も殺したいんだけど、まだちょっと厄介なのがいてできないんだ。でも必ずエルと一緒になれるように頑張るからね!」
そういってリエラとの通信が切れた。
リエラは一時婚約の話が出たときには大暴れし、近衛魔法師団に壊滅的な被害を出したほどの実力だ。それ以降リエラの婚約の話は全くと言っていいほど無くなったのだが。
来週からの学園。
俺は必ず国家戦に出場し、優勝してみせる。
このクソみたいな世界を変えるために。




