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魔法不適合者の成り上がり譚~魔法が当たり前の世界で、魔法が使えない俺は成り上がる~  作者: にじ
第0章 持たざる者と持つ者の再開

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第8話 気持ちの乖離

「エル……私以外の女の子と親しくしてる……私達は家族同然で、唯一無二の関係なのに……。」


私は悲しくなり、同時に怒りが込み上げてきた。


「エル……ごめんね。私が傍にいてあげられなくて。つらいときに優しくされたら好きになっちゃうよね。しょうがないよ。でも私が傍に居られるようになったら、私だけを見てね。」


魔法陣から見ることのできる彼を見ていう。リエラがどうしてこうなったのかと言うと……。



馬車に揺られ王城へと到着したリエラ。リエラの実父であるアレク・オルフォンス・ラーネル国王と国王夫人であるエカテリーナ・オルフォンス・ラーネルに迎えられ、事の経緯を聞いた。


「リエール・オルフォンス・ラーネル、よく来てくれた。私がそなたの父であるアレク・オルフォンス・ラーネルだ。今日からよろしく頼む。」

「リエール、よろしくね。私はエカテリーナよ。今日からはお母さんだと思って接してもらえると嬉しいわ。」


リエラの頭は完全に混乱した。ただでさえ脅されながら、大切な人を人質に入れられて連れてこられたのだ。強制的に引きはがされて……。


「意味が分かりません。私の父と母は死にました。既にいません。」


「そなたは知らないと思うが、そなたは私の隠し子だったのだ。王子が死に、継承者が居なくなった今、そなたを継承者にするしかなくなったから呼び寄せた。こちらの都合で申し訳ない。しかし、今後の生活には苦労させない事を約束する。必ず幸せにするから、どうか王女の務めを全うしてほしい。頼む。」


国王に頭を下げられても、リエラには全く刺さらない。そもそも私を一回捨てておいて、今更都合がよすぎる。

エルと会えたから捨てられたこと自体には何も思っていない。しかし、引きはがされたことに苛立ちを覚える。


「拒否します。私はリエールではありません。リエラです!」


リエラはさっさと出ていこうとする。


「衛兵。」


リエラは残念ながら捕まってしまう。


「リエール、お前はリエールだ。私達の国のために傀儡として王女の役目を全うしてくれ。さもなくば、こいつを殺す。」

どこから入手したのかエルの似顔絵が出てきた。


「……わかりました。ただこの人には一切手を出さないでください。」

この最悪な父親を殺してやりたいが、今は動けない。


「リエール様、こちらがリエール様の部屋になります。ごゆっくりお休みください。」

「ありがとう。」


部屋で1人になれたリエラは早速風魔法の練習に着手するのだった。


「エル……待っててね。必ずエルと一緒になれるようにこの国を滅ぼしててでも敵を殲滅できるようになるから。あと、エルのために初めては取っておくからね……。」


王家の図書館には様々な魔法書があり、練習には全く困らなかった。


そしてリエラはもともとの才能も有り、なんと2日で風魔法3級である情伝達・監視を取得したのだった。


「これでエルを見られる……。エル……会いたいよ。私の唯一無二の家族。大切な人。」



窓からリエラの音声が聞こえ、びっくりして固まっているとリエラから提案がなされた。

「エル……私は王女にならせられてるの。ただ私はエル以外とは結婚したくないし、エル以外とは手もつなぎたくない。ずっとエルと一緒に居たい。そのために強くなって必ず迎えに行くから。待っててね。」


「え……?」

聞いた時のないリエラの声質に戸惑っていると、


「あ、あと7年後12歳になったら学園に入ることになっているから、エルもできればそこに入学してくれると嬉しいな。一緒に居られるでしょ?」


「そ、そうだね。俺もリエラと一緒だと嬉しいよ。」


「俺……?エル俺なんて言葉使ってなかったよね?どうしたの?かっこつけたくなっちゃったの?私以外の前でも使ってるの?私の前でだけかっこつけて欲しいな?ねえ?エル?」


「え……。いや!なんだか5歳にもなって僕って変かなーって思って!似合わないかな?」


「ううん!似合ってるよ!!でもエルってかっこいいから他のこの前で俺なんて言ったらモテちゃうかなーと思って!」


「モテないよ。だって魔法適性ないんだよ?世間ではゴミ扱いだし。」


「そんなことない!!!!エルはゴミなんかじゃない!!!!」


リエラの声の大きさで下の階の人にも気づかれてしまった。

「リエラ、ありがとう。下の階の人に気づかれたから、今日はこれで終わりにしよう。」


「……いきなり大きな声出してごめんね。ちょっと不安定になってるのかも。」


「しょうがないよ。とりあえずリエラの顔が見られて安心したよ。よかった。」


「私もエルの顔が見られて安心した。」


「じゃあね。」


「うん、じゃあね。」


リエラの魔法陣が消え、下の階の人にはばれずに済んだ。


リエラどうしちゃったんだろう。少し様子がおかしかった気がする。幼馴染なのに、知ったときのない声色だった。


「それにしてもリエラ、本当に王女様だったんだ。俺みたいな何も取り柄のない平民とは結婚もできないだろうし、目標達成は無理だな……。それになんでも買えるし、きっと幸せなんだろうな……。」


もう俺とリエラは住む世界が違う。今後関わることも難しいだろう。


窓の外をふと見ていると、雲が動いて、やがて局所的な土砂降りになった。

「リエラ……。俺は、俺は……本当に君を助けに行っていいんだろうか?君はそのままの方が幸せなんじゃないか……?」


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