第11話 決闘
エルとヴェルは少し遅れて体育館へと入る。
クラスごとに並んでいたため、エルは1年5組の最後尾へと着席した。
「よっ!寝坊か?」
「いや、ちょっと主人が遅くなってな……。」
「ああ~使用人なのか。俺も貴族じゃなく平民だから、仲良くしようぜ!俺はレンだ!」
「レンよろしく頼む。俺はエルだ。」
「ではこれより第51期生、入学式を執り行います。学長挨拶、学長お願いいたします。」
「ええ~ご紹介にあずかりました学長のデリカだ。私から言いたいことは2点。1点目は私の事を倒すことを目標にし励んでほしい。2点目は近年魔法に関しては全く進化を遂げていない。この学園では自分の固有魔法を顕現させ、是非とも世界に名を刻んでいただきたい。以上。なを今年度の入学生には魔法適性が無い者も混じっておるが、私の名のもとにその者は強いと断言しよう。私は強い魔法使いを求めているわけではない。手段はどうであれ、強い者を求めている。では諸君期待している。」
「ありがとうございました。では続いて新入生代表挨拶、リエール・オルフォンス・ラーネル様よろしくお願いいたします。」
「はいっ。まずはこのような場を設けていただいたこと感謝申し上げます。私の学園生活における目標はただ1つ。国家戦に勝ち、私の悲願であるとある望みをかなえることです。その為であれば、手段は問いません。他の生徒においては、このような覚悟を持ち学園生活を送っていただきたく思います。我々新入生一同、学長の言葉に従い、覚悟を持ち強い者になる事を誓い、挨拶とさせていただきます。」
リエラだ……。7年ぶりに見ることのできたリエラ。その姿は凜としており、王女の貫録を感じさせる。ただの村人である俺とは遠く離れた存在になった。そんな気がした。
「あっ…。」
リエラと目が合う。少し微笑んでくれた気がした。
「おい、エル。リエール様に見惚れてんのか?可愛いよな~。艶のある赤髪に、すスラっとした体形、整った顔立ち。でもリエール様に恋心を抱くのはやめておけよ~。王女様と俺たちじゃ釣り合わないし、なんでもリエール様にまた縁談の話が出ているそうだ。今度はなかなか断れないような相手らしいしな。」
レンから情報を教えてもらい、リエラに縁談が来ていることを知った。なぜだろうか、すごくもやもやする。でも、俺とリエラは既に遠い存在。自分に言い聞かせ、落ち着かせた。
「では、これにて第51期新入生入学式を閉会致します。新入生につきましては各人クラスルームに行っていただき、クラスミーティングを実施します。」
体育館からぞろぞろと移動する新入生。
「エル、俺たちも行こうぜ。」
「あ、ああ。」
俺はチラッとリエラの方を見たが、大勢の男子、女子から囲まれ人気者になっていた。
1年5組のクラスルームに到着したエルとレン。
ホームルームが始まろうとしていた。
ガラガラッ!教室のドアが開き、一気に静まり返る。
「今日からお前らの担任になったノエルだ!よろしく頼むぞ~。」
「え!?」
よりにもよってノエルが俺の担任だった。
「んじゃ自己紹介からか。まずお前から~。」
なんだか適当に進めていくノエル。それに対し生徒から反発があった。
「なっ!私は貴族ですわ!いくら教師とはいえ平民からそのような呼び方をされるいわれはありませんわ!」
「ん”~?めんどいな~。いいか?お前みたいな貴族のくせにまともな魔法適性も持たず、かといって努力もしたことのないやつが私は一番嫌いなんだよ。それにも関わらずプライドだけは高い。私もここの卒業生だから、これは教師としてではなく先輩として忠告してやる。その無駄なプライドを捨てろ。」
「~~ん”!!」
貴族の女子が手袋をノエルに投げつけた。
「おい、正気か?」
「決闘です!今すぐに!」
「はぁ~教師なんてなるんじゃなかったかな~。まあ、指導してやりますか。」
突如として貴族女子とノエルの決闘が校庭で始まった。
「ルールは2つ。1,相手が戦闘不能もしくは戦闘の意思をなくした場合に負けとする。2,負けた方は勝った方のいう事を1つ聞くこと。以上」
審判である他の先生から告げられる。
「私はここに誓う。魔法は1回しか使わない。それも4等級以上の魔法は使用しない。」
「舐められてますわね……。負けても文句言わないでくださいまし!」
「開始!」
「フレイムアロー!」
貴族女子が炎の3等級魔法を放つ。それは十分に殺傷力を持っており、流石3等級も魔法だ。
「コンプレッション」
ノエルが小さく唱えた瞬間、炎の矢は一瞬で消え、貴族女子も壁に突き刺さっていた。
「勝者、ノエル教師。」
「な~んだ、弱すぎるな。」
周りがざわざわしている。他のクラスの人たちも見ているようだ。
「おい、あの新人教師強すぎないか?」
「あんな魔法見たときないぞ?」
「おい、エル坊!せっかくだからお前も来い。」
「え!?」
「いいじゃないか。久しく戦ってなかったからな。あとは、このクラスにおける私に不満を持ってるやつ全員の相手をするのもだるいし。」
「両者、決闘規定に従うか?」
「はい……(なんで俺が……)」
「ああ」
「エルは~ハンデ無しでいいよな?」
「え!?」
「だって負けたらエッチなお願いされて、教師じゃなくてママになっちゃうからな~。」
「「「羨ましい!!!!!」」」
クラスの男子たちと窓から見ている他の新入生男子たちの声が響き渡る。
他のクラスでももはやクラスミーティングに集中しておらず進んでいなかったようだ。
「では始め!!」
「コンプレッション!」
「覚醒、第1フェーズ」
エルの体に黒い模様が浮かび上がる。
ノエルのコンプレッション、蒸気圧力の一点集中を避ける。あれは食らえばほぼ一発で試合終了だ。
「だよな~じゃあ、もっと出力上げていこうっか!次は5等級から4等級にあげていくぞ~。」
エルは現状、炎・水・風の5等級混合魔法であるコンプレッションを対処するのに精いっぱいであり、ノエルに近づけていなかった。というより、ノエルが近づかせていなかった。
「スチーム」
巨大な炎と水の球体により、大量の蒸気が生まれ場を支配する。
「圧縮」
風魔法により強制的に圧縮された蒸気の球体が出来上がった。
「これが4等級のスチームボムだぞ~。じゃあ軽く100個用意しようかな!」
「おいおい、まじかよ……。」
俺のもとに超高速で飛んでくるスチームボム。
避けようと横にステップした瞬間
バアアアアアアンンンン!!!!
突如として破裂したのだった。
「痛っつぅ~。」
「おいおいエル~?こっちの都合で魔法の一部を解除できるのなんて常識だろう?そんなものか?」
「覚醒、第2フェーズ」
俺の体にさらに多くの黒い模様が浮かび上がった。




