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14.大好き!

「この、心潤ったら花開く制度なんとかなんないの⁉ 恥ずかしすぎるんだけど!!」


 顔を真っ赤に染めながら、手を振って挿し木を遠ざける仕草をするサラは、何とも可愛らしかった。


「確かにそうだよねー。でもオレは、サラがオレの言葉で喜んでくれたのがわかって嬉しいよ」


 ヘラヘラと笑いながら話す私を、サラはキッと睨んだ。

「チャラい! やっぱりティムはチャラかったよ! もうニオしか信用できない‼」


「ねえ、チャラいって何? よくわかんないけど、頭悪そうな感じ‼」


 私がサラに尋ねると、ニオが遠い目をしながら口を挟む。


「多分だけど、軽薄とか軟派とかそんな意味じゃない?」


「そう、それ‼ すごい、さすがニオ。シーグル検索で説明させようと思ったのに。

 もうさ、絶対女の子とあらば『君かわうぃ〜ね!』とかって口説くんだから。女の敵だよ!」


 両手で顔を覆ってサラは呻く。

 私はやっぱり心外だと思った。


「オレ、可愛いとか軽々しく言わないよ」


「あ、そういえばそうか。私ティムにもニオにも可愛いって言われてないね。なんか上流階級ご子息軍団も、黒髪黒目二番煎じクンたちも、やたら可愛い美しいって褒めてきてたから混ざって……。わー、恥ずかしいな。ごめんね?」


 意外に毒舌?

 私が少し驚いていると、「でも、」とサラは続けた。


「私さ、正直見た目には自信ある方なのね。日本でもスカウト……えっと、見た目重視の仕事に勧誘されたりしたし。

 てか聞いて? 創世神の私選んだクソな理由。

『見た目がいかにも乙女って感じだったし、苗字もちょうどいいから』だよ⁉ ふざけんじゃないのよ。

 まあ神までそうなのは納得できないけど、結局第一印象なんて外見じゃない? 取り入らなきゃいけない相手に、何でそこ褒めなかったの? あ、ティムのせいで美の基準値、爆上がりしてる?」


「そういう訳じゃないけど、……な」

 ニオがこちらを見る。きっと彼とは同じ感覚なので、私が言葉を引き継いだ。


「外見は勿論かわいいし美人だなって思ってるよ。だけどまあ、オレたちのために仕事してくれている、尊敬すべき御方に最初からそんなこと言うのって何か失礼な気がするっていうか」


「うん。僕たちはどちらかというと、仕事ぶりに感激してたし」


「そうそう。それに今はわかったから。サラは見た目が可愛いなんて言葉、これっぽっちも求めてないでしょ。

 オレに口説いてほしいわけじゃなくて、友達になりたいんでしょ?」


 サラは、暫くぽかんと口を開けたまま、私たちを見つめていた。

 やがてその瞳がゆっくりと潤みだしたかと思うと、嬉しそうに、こくこくと何度も頷いた。


「ありがとう、ふたりとも。ティムへの見解も改めた。ごめん、全然チャラくない。神より神!

 ん〜〜〜! もう、大好き!」


 その日は合計、10の花が咲いた。



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