第八章:サイクロプスの遺跡で目玉焼き!?モップで拭けない巨人の浪漫
「……でかい。なにこのスケール感……」
山田純一は、遺跡ダンジョンの入り口に立ち尽くしていた。
目前には巨大な石門。そしてその左右に、縦6メートルの片目の石像――サイクロプス像が仁王立ち。
「一体何を守ってたらこんなにデカくなるの!? てか、この目玉、開いてない……よね?」
“目が合ったらアウト”感満載の遺跡前で、山田は恐る恐るモップ《クラリネットX》を構えた。
背後の通信石が震える。
《そこは“古代サイクロプス文明”の残骸だ。目玉とロマンが共存する、知性と暴力の遺跡》
「ロマンで目玉焼き作ってんのかお前」
《ちなみに内部は“眼球意匠”にこだわった設計だ。清掃員には厳しいが、美術的には完璧だ》
「めっちゃ拭きにくそうな構造だなおい」
■遺跡の汚染状態(要清掃)
・巨大目玉の涙あと
→ 涙腺部から謎の粘液が漏れ続け、床に“ぬめりトラップ”を形成。
・崩壊した石柱にびっしりコケ
→ 緑色のコケに擬態した“跳ねる藻”が多数。触れると「ぴょんっ♪」と鳴く。
・巨大な鼻穴からの風圧
→ 鼻の空洞から断続的に吹く“くしゃみ風”でホコリ再拡散。無限リスポーンする汚れ。
「よし、まずは目玉だな……って、これ見上げながら拭くの!? 首いわすわ!」
山田は、モップを槍のように突き出し、**《モップ術・初級》**を展開。
「くらえ、眼球洗浄スイープ!」
魔導モップの先端が光り、粘液が飛び散るたび、謎のエフェクトで“スッキリ!”の文字が浮かぶ。謎に演出過剰。
「いや、なんで視界に“スッキリ!”って出るんだよ!」
続いてはコケエリア。
「うおっ、ぴょんっ!?なんだこれ!?」
跳ねる藻に翻弄されながらも、《掃除する者に祝福あれ》を発動。清掃した一帯が一時的に清潔な空間となり、藻がしゅわしゅわと溶けていく。
《跳ねる藻は“喜びの緑”だ。かつて古代人が“楽しく滑って死んだ”という伝承に基づいている》
「何そのバカみたいな伝承!? 滑って死ぬな!死ぬまでエンタメ貫くな!」
■巨大くしゃみトラップ、発動
「って、うわ、鼻が膨らんできたぞ!?」
ゴゴゴゴッ――!!!
鼻穴から突如吹き荒れる暴風。クラリネットXごと山田が吹っ飛びそうになる。
「ダンジョンのくしゃみで飛ばされるって何!? 俺勇者じゃなくて清掃員なんだけど!?」
ここでスキル発動――
《不思議な残業魂》
(体力残り0% → 10分延長モード突入)
「……やってやろうじゃねえか!」
クラリネットXを床に突き刺し、風の中でも踏ん張り清掃を続行!
■遺跡清掃、完了!
床に広がっていたコケも消え、鼻風も止まり、目玉からの粘液も封鎖完了。
“光る目玉”が、ふっと山田にウインクした気がした(たぶん幻覚)。
「……はぁ。終わった……」
そこへ通信石からアークの声がまた響く。
《悪くなかった。だが、床に“光る笑顔マーク”を出す清掃は……少々、俗っぽすぎるね》
「そっちが“跳ねる藻”とか仕込んでくるからだろうが!」