第七十章:短冊に願いをこめて!七夕の竹林ダンジョン、掃除開始!?
そこは、季節限定で開放される特殊ダンジョン――
《幻想領域:七夕竹林ダンジョン》
夜空を模した天井からは光る星屑が降り注ぎ、風が吹くたびに笹の葉がカサカサと音を立てる。
だが、その静寂を台無しにするかのように――
山田︰「なんでこんなに短冊だらけなんですか!?もう地面見えないくらい散乱してるんですけど!!」
バルド︰「この竹、全部願いぶら下げすぎて根腐れ起こしかけてんだよ。もはや欲望の森よ、これは」
アーク︰「……設計の意図が歪みすぎている。精神浄化どころか、煩悩の吹き溜まりだな」
そして、いつものように静かに現れるシルエット。
シェリス︰「静かにしなさい。ここは“星霊指定保護区”。管理対象に“伝承上の神格存在”が含まれるの」
山田︰「……えっ? 伝承って、まさか……」
その時だった。
???︰「うぉぉぉい!誰か!短冊拾ってくれぇぇ!!織姫に会えねぇぇ!!」
竹林の奥から、天の川ならぬドブ川みたいな星の流れを乗り越えて、ズブ濡れの男が走ってきた。
???︰「俺だ!俺が彦星だァァ!!年に一回しか来れないのに!短冊で道が埋まってて!滑って転んで橋が崩れたァ!!」
山田︰「えぇえええ!?ホントにいたの!?彦星ぃぃぃ!!?」
アーク︰「神格存在にしては情けなさすぎる……」
そして、星屑をかき分けて優雅に現れたのは――
織姫︰「遅いわ彦星。あなた、また迷ったんでしょう」
彦星︰「違うんだよ織姫!この短冊がさ、全部“恋愛成就”とか“推しに会いたい”とか“アイドルと結婚したい”とかで!俺たちの電波が混線してたんだ!!」
織姫︰「……また人間界の願いがロマンチック過ぎるのね……」
シェリス︰「つまり……星霊間の会合が、短冊ゴミのせいで遅延していると?」
山田︰「そんな現代的な理由で愛が遠ざかってるの!?七夕、わりと現実的!?」
そこへ、突如として竹林の奥が光を放ち――
**短冊モンスター《ヨクバリタンザク・改》**が姿を現す!
ヨクバリタンザク︰「恋も金も!推しもスイーツもよこせぇぇぇ!!」
彦星︰「あーっ!こいつのせいだ!短冊盗み食いして願望が大爆発してんだ!!」
山田︰「盗み食いって概念あるの!?短冊に!!」
バルド︰「山田ァ!!いけ!!モップでぶったたいて願望ぶっ壊せェ!!」
山田︰「やけくそだぁぁ!!《掃除する者に祝福あれ》ッ!!」
モップの先が光を放ち、山田が短冊の嵐の中を滑走する!
短冊を一枚ずつ拭きながら、願いごとの魔力を中和!
ヨクバリタンザクの体がどんどんしぼんでいく!
ヨクバリタンザク︰「うああ……俺の夢が……推しが……!」
――ドサッと崩れ落ち、ただの笹団子に戻った。
アーク︰「……夢が詰まりすぎた結果が、蒸し団子か……」
織姫︰「助かったわ。ありがとう清掃員くん」
彦星︰「ありがとな!これでまた来年も滑れるぜ!……いや、会えるぜ!」
山田︰「お願いだからちゃんと会ってぇぇ!!来年も掃除したくない!!」
シェリス︰「……星霊干渉案件、正常化を確認。これにて記録完了」
バルド︰「よーし!現場も片付いたし、笹団子食って風呂行くぞ!!」
山田︰「あ、団子はもとい短冊モンスターだったから遠慮しときます!!」
こうして、恋と短冊と星屑の竹林掃除は、なんとか完了したのである。




