第六十二章:魔力トイレ詰まり事件! 〜流せ!異世界最悪のつまり汚泥〜
異世界最大級の中層ダンジョン「水神の螺旋塔」――
その第五衛生区で、緊急の清掃依頼が山田たちに舞い込んだ。
山田︰「……あの、今回の現場って、ほんとに“トイレ”なんですか?」
バルド︰「あぁ?そーだよ。ダンジョンだって生きてんだ。喰って出すのは当たり前だろ?」
アーク︰「加えて、水神の螺旋塔は“魔力循環型”の施設です。詰まりがあれば、塔全体の魔力流路に干渉する。つまり――」
山田︰「トイレ詰まり=世界の危機……!?」
そんなバカな、と思いながら現場に到着した山田は、そこで“現実”を目撃する。
――それは、巨大な螺旋式の魔力トイレ。
光るタイルに囲まれた円形ホールの中央には、ドーム型の便座。
その中から……ブボボボボボォッと異音が響いていた。
バルド︰「……こりゃダメだ。魔力汚泥が完全に逆流してやがる。神経性の詰まりだな」
山田︰「“神経性”?トイレって心を持ってたんですか!?」
アーク︰「どうやら、このトイレは長年にわたり“処理されない感情”を流し込まれていたようですね……怒り、恨み、便意――それらが澱となって溜まった結果です」
山田︰「やめて!便意を感情扱いしないで!!」
そのとき、便器の中からぬぽっと顔を出す――異形の魔力生命体。
スライム状だが、顔は人のようで、言葉を発する。
モドシ・アリエン︰「フ、フ、フ……流さなかったツケ……全てを“戻す”……」
山田︰「出たぁーーー!!モンスター出たよぉおおおおお!?!?」
アークは即座に魔導式トラップを展開し、結界を張る。
アーク︰「排出すべきものを拒絶し続けた結果、具現化した怒り。これは“清掃”による浄化しかない……」
バルド︰「いっちょ、見せてやれ!山田ァ!!お前の“清掃魂”をなァ!!」
山田は意を決して、クラリネットXを手に構えた。
山田︰「よぉし……トイレが敵なら、俺はトイレに挑む勇者になる!!」
ドーム中央に駆け込み、モドシ・アリエンに向かってモップを突き出す!
山田︰「《掃除する者に祝福あれ》ぇぇぇっ!!」
爆光――。
モップの一閃とともに、便座内が一瞬で清らかな水光に包まれる。
モドシ・アリエン︰「うああああああっっ!?!俺はただ流されなかっただけなのにぃぃぃぃ……!」
ずぶぬれのまま消えていくスライムモンスター。
やがて、水は静かに流れ始め――便器は、通常の状態に戻った。
バルド︰「やりやがったな、ヘナチョコモップ野郎……根性、認めてやるよ」
山田︰「僕の……モップの……勝ちだぁぁぁ……」
アーク︰「ふむ、世界の排水路を守る者……称号《トイレの救世主》を付与してもいいかもしれませんね」
山田︰「いらない!!その称号はぜったい付けたくない!!」
こうして山田は、“最悪の詰まり”を清掃によって解決し、異世界の衛生をまたひとつ守ったのであった――。




