第六十章:サイクロプスの要塞ダンジョン!巨大一つ目とモップと親方
山田純一は今、人生最大級の違和感に包まれていた。目の前にそびえるのは、黒鋼と魔岩で築かれた巨大な壁。上部に配置された監視窓のひとつが、ギョロッと――たった一つ、文字通り「一つ目」だけがこちらを睨んでいた。
山田︰「……なんで清掃任務で、あんな筋骨モンスターに睨まれてるんだろ、僕……」
ここは“サイクロプスの要塞ダンジョン”。古代戦争時代に築かれたと言われる防衛型ダンジョンで、現在は巨大モンスター型管理人・サイクロプス将軍ブロッコスが守っている。
入口はすでに半壊。石の破片、溶けた鉄柵、モンスターの足跡――つまり汚い。
山田︰「掃除しがいがありすぎて、逆にテンション下がるなぁ……」
そこへ、ドゴォンッ!と地響きを伴って現れたのは――
バルド︰「おらあああああ!今日の現場はここかああああ!!」
腰の“地脈ハンマー”をブン回しながら、土煙をまとって登場。
バルド︰「ったく、なんだこの砦……築千年のくせにこの耐震設計はなんだ!モンスターのパンチで壁割れてんじゃねえか!」
山田︰「あ、親方……いつにも増して怒りゲージ高めですね……」
バルド︰「現場に来たらまず怒鳴れ!ってナナ婆が言ってただろ!」
山田︰「言ってませんでしたよ!?」
さらに、風を裂く音とともに、黒いコートの男が着地。
アーク︰「ふむ……砦設計、古すぎますね。耐久性は時代遅れ、美観ゼロ。これは完全再設計が必要だ」
バルド︰「はぁ!?また出たな理論バカ!耐久は数値じゃ測れねぇんだよ!現場の声を聞け!!」
アーク︰「声ではなく、図面を読みなさい。石の並びと魔法陣の交差角、見れば全てがわかる」
山田︰「ああああ……また始まったよ、構造バチバチ討論……」
そのとき、ギィィイインと重い音を立てて、巨大な扉が開いた。中から現れたのは、筋骨隆々、全長4メートルを越す一つ目巨人。
ブロッコス︰「……お前ら、誰に許可取ってる?」
山田︰「あっ!清掃員です!僕、ただのモップ係です!」
バルド︰「俺ァ建築士だァ!この要塞、下地から診てやる!」
アーク︰「国家認定ランクAの設計士だ。許可は自分で出した」
ブロッコス︰「うるさい。床、汚れてる。お前らで、なんとかしろ」
山田︰「ひっ……ひとことで全部丸投げした!!」
バルド︰「ふっ、燃えてきたぜ。オイ山田!まずはこの砦の“地脈ライン”を探る!地面の匂い嗅いでみろ!!」
山田︰「無理です!!匂いじゃわかんないよ!!」
アーク︰「黙って見ていなさい。私はこの要塞に、美を取り戻してみせる」
――こうして、モップ、ハンマー、図面が交錯する、前代未聞の要塞清掃プロジェクトが幕を開けた。
サイクロプス将軍の監視のもと、山田の地味で地道な“床拭き”は、まさかの砦防衛魔法を誤作動させ――!?




