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第五十九章:三大天使の天空城ダンジョン!空飛ぶ清掃大作戦!?

朝から背中に嫌な風を感じていた。そう、ここは“地面のない”ダンジョン――空中に浮かぶ伝説の浮遊要塞、《天空城》


 地面がなければホコリも落ちない?……否、空気に漂う魔素チリと羽根クズで、むしろ地上よりも汚いのである。


山田︰「うっわ……なんだこのホコリの質感……ふわふわ通り越してベトベトしてるんだけど!?」


 ホバープラットフォームに乗って空を進みながら、山田純一は必死にモップを構えていた。そう、ダンジョン清掃史上初――空中モップ作戦の開始である。


 そして、その横でタブレット型設計図をスワイプしていたのは、いつものあの人。


アーク︰「この天空城、構造は優美だが、気流設計が致命的に甘い。汚れが旋回し、再び積もる。いわば“循環型汚染構造”だな」


山田︰「ああもうっ!いちいち言い回しがオシャレなんだよ! こっちは汗と涙で飛んでるんだよ!」


 バランスを崩しかけた山田がモップで空中を薙いだ瞬間――風が渦を巻き、遠くの浮遊ベンチに座っていたフェニックスがもんどり打って落下した。


フェニックス︰「ギエエエエェェ!!(助けて)」

山田︰「あああああ!?フェニックス落としたーーー!!」


アーク︰「問題ない。彼は何度でも蘇るので」


山田︰「問題あるよ!倫理的に!!」


 そのとき、空間が裂けるようにして真上から現れた、巨大な“音”。


バルド︰「――おう、やってんなぁ!!」


 突如、空飛ぶ建材運搬ゴーレムの背に乗って登場したのは、あの現場親方バルド。土埃を撒き散らしながら、空中に飛来した。


バルド︰「この床、浮いてるくせにギシギシ言ってやがるぞ!絶対、骨組み手抜きしてんだろ!」


アーク︰「あれは“共鳴音美学”だ。あの軋みには詩的な意味がある」


バルド︰「詩より支持だッ!!この空城、天井から建て直してやる!!」


山田︰「やーめーてー!まだ掃除終わってないからァ!!」


 そこから始まる、空中三者会談(物理)。


 アークは浮遊回廊の天井にレーザーペンで補修案を描き、バルドはハンマーを振り上げて浮遊礎を叩き割り、山田は必死で舞い散る粉塵をモップで追いかける。


山田︰「なにこれ!?僕が一番まともってどういう状況!?」


バルド︰「オイ山田!そのモップ、空中用に改造してやろうか!?」


山田︰「やめてください!前回、クラリネットXが“ドリル形態”になって吹き飛ばされたんですから!!」


アーク︰「山田君。この任務が終わったら、私の新設計『重力反転クリーナー』を試してもらおう」


山田︰「いや試したくねぇよ!!絶対地面から落ちる奴じゃん!!」


 そのとき、天空城の最上層――聖なるバルコニーから、声が響く。


???:「貴様ら、我が聖域で一体何をしている」


 降臨したのは、白銀の翼を持つ神官騎士ラファエル。天空城の守護者にして、極度の“清潔主義者”。


ラファエル︰「この空気の濁り……この汚れ……この羽根ゴミ……!許さん!全員、空中雑巾がけ10周の刑!!」


山田︰「うそぉぉぉ!?天界ルール厳しすぎでしょ!?」


アーク︰「ふむ、それも一つの訓練か」


バルド︰「上等だ!飛びながら床拭くなんざ、現場の華だぜ!!」


山田︰「もぉおおお……!今日もまた、空を飛びながら雑巾絞るのかよ……!」


 こうして、清掃員・山田純一の空飛ぶ日常は、今日も上昇気流(物理)とともに終わりなき戦いへと飛び続けるのである。


ラファエルの神聖バルコニーから“空中雑巾がけ10周の刑”を受けていた山田純一は、現在――


山田︰「しんどっ……空って、雑巾の水気すぐ乾くから余計に面倒なんだよねぇ……!」


 汗だくで浮遊床のホコリを拭いていた。隣では、アークが無言で再設計のスケッチを行い、バルドはハンマーで柱を叩きながら何かと交渉している。


 だが――その頃、天空城の最上階セラフィム・ホールでは、異変を重く見た天界上層部による《三大天使リスク会議》が招集されていた。



【会議参加者】


・ラファエル(守護):清掃狂の武断派。潔癖症。


・ガブリエル(記録):知性派。すべてを魔法タブレットに記録している。


・ミカエル(戦略):やや体育会系。すぐ実力行使に出る。


ラファエル︰「報告する。天空城内に“掃除魔”が出現。我が神聖な床をモップで磨き倒した!」


ガブリエル︰「確認済み。名前は“山田純一”……異世界転生者、職業:Fランク清掃員。実力未知数」


ミカエル︰「ふむ、つまり……敵か?」


ラファエル︰「いや、掃除していただけなのだが、羽根ゴミを分別せず捨てていた!もはや国家レベルの秩序違反!」


ガブリエル︰「付随していた男二名も危険。ひとりは構造美を語る黒コート。もう一人は床をハンマーで殴っていた筋肉生命体」


ミカエル︰「……危険すぎる。総じて“美観破壊テロ”と見なす」


ガブリエル︰「それと、モップで巻き上げられた風により、フェニックスが5回転落した模様」


ミカエル︰「全自動蘇生機のバッテリーが切れかけているな」


緊張が走る天界会議室。


ラファエル︰「我らが守るこの天空城――**ダンジョン美観指数99.98%**を誇るこの地に、乱入者を放置はできぬ!」


ミカエル︰「ならば、策を示せ!」


ガブリエル︰「提案――“次章:天界裁判・清掃罪の審問”を発動し、山田純一に法の下で説明を求める」


ラファエル︰「異議なし!だがその前に、雑巾がけは続けさせる!」


ミカエル︰「了解。だがもし弁明に失敗すれば――我が《天光軍団》で排除する」


ガブリエル︰「その場合、空中掃除戦争エアボーン・モップクライシスが勃発する可能性も……」


ラファエル︰「天空は穢させん。今こそ天界の威厳を示すとき……!」


こうして、山田純一とその仲間たちは知らぬ間に、天界の粛清対象としてリストアップされていた。


山田︰「……ん?なんか……空気が……重くなったような……?」


 風の向こう、ラファエルの瞳がきらりと光る。


ラファエル︰「――貴様、羽根ゴミ……“可燃”と“不燃”を混ぜただろう?」


山田︰「えっ!?え!?まって、今分けてるとこだってばあああ!!」


天空城の頂にある神聖法廷セレスティアル・ジャッジメントホールには、三大天使、そして天使議員たちが列席していた。荘厳な空間に、まさかの罪状で呼び出された三人の男――


・山田純一(清掃員・罪状:空中モップ乱舞)

・アーク・トレイス(設計士・罪状:構造変更未申請)

・バルド・エッジ(建築士・罪状:ハンマーで天空床を破壊)


三人は並んで立たされていた。


ラファエル︰「では開廷する。異世界よりの清掃員・山田純一、およびその同行者は――天界の秩序と床を乱した疑いにより起訴される!」


山田︰「ちょ、起訴ってそんな大ごと!?僕ただモップで床を……!」


ミカエル︰「静粛に。ここは神域だ」


アーク︰「ふむ……まさか私まで巻き込まれるとは」


バルド︰「ハァ!?俺は“軋んでた床”を殴って音を診ただけだぞ!!いつから床が訴えてくる時代になったんだ!?」


天界の裁判は、物言わぬ証拠すら証人として召喚することができる――


ラファエル︰「呼び出す。証人――クラリネットX(清掃モップ)」


 眩い光とともに現れたのは、なんと山田の愛用モップ。魔導式モップは、神界では人格を持つ存在と認識されるのだ!


クラリネットX︰「モプモプッ!証言する!主は確かに清掃をした。しかし、それは愛だった!モップへのリスペクトに満ちた魂のこすりだった!!」


山田︰「おお、しゃべったーーー!!」


バルド︰「くっ……モップにまで先を越された……!」


アーク︰「だが証言は不完全だ。設計の許可なく、構造に影響する清掃は設計法規上違法だ。条文62-3、天界建築基準法にも該当する」


ラファエル︰「なるほど……アーク、貴様の理論、筋は通っている」


山田︰「いや、でもね!?あそこめちゃくちゃ汚れてたんですよ!?転びそうになったし、フェニックスのフンあったし!!」


ガブリエル︰「確かに記録映像あり。山田純一は、モップで“神の像の鼻の穴を掃除”していた……」


山田︰「そこだけ切り取るのやめて!?あれ、めちゃくちゃ詰まってたから!!」


そして――裁判長ラファエルが高らかに告げる。


ラファエル︰「判決を出す。山田純一、およびバルド・エッジ、アーク・トレイスは……」


 


(ドラムロール)


 


ラファエル︰「執行猶予付き、再清掃義務刑に処す!」


山田︰「……え、つまり?」


ミカエル︰「天空城すべての清掃・修繕・再設計を、3人で責任持ってやり直せという意味だ」


山田︰「地味に重すぎるうううう!!」


バルド︰「おらぁあ!やってやろうじゃねぇかあああ!!天空城ぜんぶピッカピカにしてやる!!」


アーク︰「仕方ありませんね。では美観に沿った再設計プランを提示しましょう……ただしハンマーは私の床に当てないでくださいね?」


バルド︰「聞こえねぇな!この床の悲鳴がッ!!」


山田︰「この人ら……ほんと懲りてないよおおお!!」


こうして、裁判を乗り越えた三人は、天空城の正式な再整備チームとして登録されることとなった――。




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