第五十六章:ピクシーの花畑ダンジョン〜現場魂と花粉地獄〜
その日、山田純一は命の危機を感じていた――
山田︰「はっくしゅん!!……目が、目がああぁぁ!!」
そこはダンジョンとは思えない、まるで絵本の中に迷い込んだような幻想的な場所だった。
一面に広がる虹色の花畑、蝶のような羽を持つ小さな妖精たち、甘すぎる香り……だが――
山田︰「鼻が止まらない!目も痒いし、なんかピリピリするし!この花、完全に花粉兵器でしょ!?」
ピクシー(♀)︰「うふふ〜ようこそ我らが花畑へ〜♪掃除人さん、お鼻に優しくしてね〜♪」
山田︰「その鼻に直接花粉突っ込むみたいな歌やめろーっ!!」
山田は涙目で聖銀製クラリネットXを振るう。だが、足元から“花びらスライム”がぬるっと出現。
山田︰「うわあああ!?掃除どころか花びらで窒息しそうなんだけど!?」
そのとき――
バルド︰「オイィィィィ!!山田ァァ!!何やってやがる!!お前の泣き声で地脈が乱れたぞ!!」
地面から飛び出すように現れたのは、あの男。ダンジョン建築界の伝説、《現場親方》バルド・エッジだった。
土煙をまとい、ハンマー片手に大股で花畑を突っ切る。
山田︰「いや、来たけど!?全然雰囲気に合ってないよこの人!世界観壊してきたよ!!」
バルド︰「このクソ甘ファンタジー空間、構造がふざけてやがる!地面がふわっふわしてて安定してねぇ!あと花びら床が滑って現場猫まっしぐらだ!」
山田︰「あの猫は異世界にもいたんですね……」
バルド︰「よし!まずこの“ふわふわ床”を全部ぶっ壊してだな!基礎から打ち直す!」
ピクシー(♂)︰「やだー!壊さないで〜!この“浮遊式ふんわり花床”は300年物なんだから〜!」
バルド︰「300年だァ?その割に補強魔方陣がガバガバじゃねぇか!そもそも浮いてる意味あるのかコレ!?」
ピクシー(♀)︰「ふんわりは心!乙女心!硬い床なんてお断りなの〜!」
バルド︰「床は心臓!魂の器!それを甘く見てんじゃねぇ!!」
山田︰「ああ……また始まった……床への情熱、世界観と真っ向勝負だ……」
そのとき、遠くからゆったりと歩み寄る黒コートの影――
アーク︰「この“浮遊式ふんわり花床”、実は私が設計協力したものです。幻想美と実用性の融合――見事でしょう?」
バルド︰「貴様かァァアア!!またお前かァ!!花畑にまで出しゃばってんじゃねぇよこの設計ナルシスト野郎!」
アーク︰「見たまえ、君のような現場主義では到達し得ない“空間の優美”がここにあるのだよ」
バルド︰「優美は滑る!滑るのは転ぶ!転ぶのは痛い!つまり危険なんだよおおおお!!」
山田︰「あーーー!!また始まったー!建築士vs設計士の美学と実用バトルーーーッ!!」
花びらが舞い、ピクシーたちが目を輝かせながら騒ぐ中、ふわふわの花畑で巨漢とインテリの口論が爆発。
……その脇で、花粉まみれの山田がぼそり。
山田︰「誰か、この花ダンジョンをまず“掃除可能構造”にしてくれませんか……?」




