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第四十五章:オルトロスの坑道ダンジョン!双頭の番犬、掃除中につきお静かに!?


「――犬だ! しかも、二つ頭の! でっけぇ!!」


そう叫んだ山田純一の視線の先、岩盤むき出しの坑道ダンジョンの奥に、鎖で繋がれた巨大な番犬――オルトロスが鎮座していた。

ひとつの胴体に、ふたつの頭。しかも両方ともこっちをにらんでいる。


山田:「俺、今日はただの掃除で来ただけなんだけどな!どうして毎回、番犬ボスに挨拶せにゃならんの!?」


ナナ婆:「坑道ダンジョンはな、モンスターも掘削作業員も共存しとる。つまり……モップも共存せにゃならん」


山田:「そんな論理の押しつけ初めて聞いたわ!」


坑道の入口には注意書きの札がぶら下がっていた。


《注意:オルトロスは「掃除音」に敏感です》


山田:「なんでこんなピンポイントな弱点持ってんだよ!」


ナナ婆:「つまり、静かに掃除せいということじゃな」


山田:「いや無理無理!このクラリネットX、超高周波でモップ震えてる音、ブーンって鳴るんですけど!?」


試しに軽く床を拭いてみる――


\キュッ……/


その瞬間、オルトロスの右の頭がピクリと反応。


オルトロス右頭:「……ワン」


山田:「くるなよ!?ワンて言ったぞ今!?控えめワンだったけど、あれ絶対来る予兆だよね!?」


アーク:「お前の掃除技術が下手すぎて振動ノイズが出ているだけだ」


山田:「アークさん、黙ってて!?設計士として現場音には敏感なのはわかるけど、冷静すぎて逆に怖い!」


しかし、このダンジョンにはもう一つの謎があった。


ナナ婆:「オルトロスには、実は“左の頭だけめちゃくちゃおしゃべり”という欠点があるんじゃ」


アーク:「あれは欠点というより……もはや“キャラ”だな」


山田:「しゃべるの!? しゃべるなら最初に言ってよ!!」


オルトロス左頭:「ヤア!キミ、初めての清掃員?あれ、ブーツ汚れてるよ。拭く?拭いてもらう?」


山田:「うるせぇわ!?口数多いな!?右とバランス悪すぎるだろ!」


オルトロス左頭:「ところでね、今“おやつ”の時間なんだけど……キミ、パン派?クッキー派?」


オルトロス右頭:「……ワン。(睨み)」


山田:「めちゃくちゃ静かにして掃除してるのに、トークで乱してくるなよ!?左頭!!」


床に溜まった粉塵、落石、そして“誰かの落とし物らしいモンスターの歯型付き弁当箱”をひとつひとつ丁寧に拭いていく山田。


そして静かに――


山田:「(よし……あと1メートルで清掃完了!俺、今日こそやり遂げ――)」


\キュキュッ……!/


オルトロス右頭:「グルル……」


オルトロス左頭:「あっ、右くん怒った!ねぇ右くん、それはダメだって!清掃員には優しく!ねっ!?わん!わんわん!!(※犬語のふり)」


山田:「ダメだこいつ!火に油注いでるだけだ!」


――次の瞬間、オルトロス、突進!


山田:「ぎゃああああああ!?アークさーん!設計者としてなんとかしてえぇぇ!!」


アーク:「……(ため息)やれやれ、結局、掃除じゃなくて“撤退戦”になるとはな……」


こうして、山田の静音掃除ミッションは失敗に終わり――

ダンジョン清掃史に新たな“掃除音で怒らせた番犬記録”が刻まれたのであった。




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