第三十一章︰腐敗スライムの温泉洞窟ダンジョン!湯気と絶叫と掃除モップが乱舞!
ダンジョンギルドの掲示板前。
山田純一、異世界転生してからというもの、モップと洗剤と爆発に囲まれた生活をしている男は、渋い顔をしていた。
山田︰「……出たよ、“腐敗スライムの温泉洞窟”依頼。またコイツか。温泉って響きはいいけど、実際はぬるぬる腐敗系なんだよな……」
アーク︰「見た目は温泉、実態は腐臭地獄。美しさの裏に潜む混沌。それもまた設計の妙だ」
山田︰「お前の設計じゃないよな!?念のため聞くけど!!」
アーク︰「今回は違う。だが次回は“納豆温泉ダンジョン”を提案する予定だ」
山田︰「絶対やめろおおおおお!!」
そのとき――
ミリル︰「おまたせしましたっ、お兄ちゃん!NPC型自動風呂桶搬送機“ゆげまる”起動準備完了です!」
山田︰「って、何その機械!?ドラム缶に足ついてるじゃん!?」
ミリル︰「これはNPC型だから感情もあるんです!“温度感情機構”で『今日はぬるい気分』とか喋るんですよ!」
ゆげまる︰「ぬる〜い……今日、ぬる〜い気分……ぬる〜く沈むのが、夢……」
山田︰「怖いよ!?感情が完全にバグってるってばよ!!」
■ダンジョン突入!ヌルヌル地獄
温泉洞窟ダンジョンは、見た目だけは幻想的だった。湯気が立ちこめ、硫黄とわずかにラベンダーの香りが混じっている。
ミリル︰「わぁ〜、天然温泉って感じ……NPC配置したら湯けむり旅館できそうですねっ!」
アーク︰「温泉旅館など無駄の極み。美は静けさと規律の中にあるべきだ」
山田︰「いや今、掃除に来てるからね!?宿泊気分やめよ!?」
すると、バシャァアアアッと湯船から腐敗スライムが飛び出した!
腐敗スライム︰「ぐじょぉぉ……あたたかいぃぃぃ……とろけるぅ……」
山田︰「とろけるなぁぁぁあああああああ!!」
ミリル︰「お兄ちゃん!あれ、サウナ好きなタイプのスライムですね!表面がぬるぬるしてて、ちょっと柔らかそう!」
山田︰「可愛く言ってるけど、腐ってるからな!?ほぼ臭い納豆だぞ!!」
アーク︰「山田、後方から来るぞ。左右にも。おまけに天井からも。包囲されている」
山田︰「言い方が戦場っぽい!スライムごときで絶体絶命みたいな空気やめろ!!」
■モップ無双、そして湯けむり地獄
山田︰「クラリネットX、起動!全力モップ清掃っ!!」
クラリネットXが魔導エネルギーを帯び、ヌルヌル床を一瞬で磨き上げていく!
スライムたち︰「アッツゥ!ピカピカになってるうぅぅぅ!?我々の腐敗がああああっ!!」
ミリル︰「すごい、ぬめり取れすぎて床が反射してますー!私の義眼が反射してますー!」
山田︰「視界にミリルの義眼が三個くらい見えるんだけど!?ホラーか!?これホラーか!?」
アーク︰「ふむ。ピカピカすぎて美観が損なわれたな。……泥でも撒いておくか」
山田︰「やめろぉぉぉぉ!俺の努力を一瞬で無にすんなぁぁあ!!」
■温泉(物理)につかる山田
スライムを一掃した山田は、汗だくでへたりこむ。そこに、ゆげまるがドラム缶風呂をゴロゴロと運んでくる。
ゆげまる︰「今日はぬる〜い……でも、頑張ったから……ちょっと熱くしてみる……」
ドボン!
山田︰「ぬるっ!?うわっ、なんか気持ちいいけど複雑!!ていうかこれ、“洗い流し用湯船”じゃん!?」
ミリル︰「うふふ、お兄ちゃんよく似合ってます〜!ゆげまるも嬉しそうです!」
ゆげまる︰「……あついの、いい……わりと、好き……」
アーク︰「……混沌だな。だが嫌いではない」




