第二十九章︰氷雪のユキンコダンジョン!すべって転んで清掃開始!?
冷たい風が唸る――。
そこは、一年中雪と氷に閉ざされた、伝説の“滑り床”ダンジョン。
入口には大きな注意書きがあった。
【注意】
当ダンジョンは足元が非常に滑りやすくなっております。
掃除の際はモップにスノーグリップを装着ください。
※事故の責任は一切負いません。
山田︰「えぇ……もう入る前から嫌な予感しかしねえよ……」
ナナ婆(通信)︰「ユキンコダンジョンはな、床がスケートリンク並みにツルツルなんじゃ。ふんばり所が大事じゃぞ、純一」
山田︰「床よりまず俺の心が滑りそうなんだけど!」
アーク・トレイスが横から静かに現れる。
アーク︰「このダンジョン、氷結美の設計は私が監修した。滑らかさ、光の反射率、足元の死角……すべて計算され尽くしている」
山田︰「お前が作ったのかよおおお!!どんだけ俺の足腰に恨みあるんだよっ!」
アーク︰「清掃員にとって足元の判断力は命。ここで生き残れぬなら、それまでの男ということだ」
山田︰「試されてるの俺のバランス感覚じゃねーか!!」
■滑って転んでモップが飛ぶ!
キュッ――ズザァァァァアア!!
山田︰「おぉぉぉおお!?クラリネットX、止まれぇぇぇぇッ!!」
クラリネットX(魔導モップ)が床を勝手に滑りながら広範囲をモップがけしていく。
山田︰「なんだこれ!?便利だけど、制御不能だーーっ!」
氷上のモップはまるでフィギュアスケーターのように回転し、スパークを放ちながら全方向に滑っていく。
ついでに雪だるま型モンスター「ユキンコスライム」も巻き込まれた。
ユキンコスライム︰「ゆ、ユキィィィ~~!!」
ピカーッと光り、モンスターが《掃除する者に祝福あれ》で浄化される。
山田︰「……モンスターを倒したっていうか、拭き取っちまった感じだな……」
アーク︰「……清掃とは破壊と創造の両立か。認めたくないが、理に適っている……くっ」
■氷上のダンスとラストバトル
山田︰「くそ、また滑ったっ!あっ、転ぶ――ッ!!」
アーク︰「滑る前に重心を――って言ってるそばからお前、見事に頭から雪に突っ込むな……」
突然、氷の奥からボスモンスター《雪原のユキンコゴーレム》が登場!
ユキンコゴーレム︰「ユキユキユキィィィィ……(全力で踏みつける構え)」
山田︰「ちょ、待っ、床が滑って避けられな――」
ズザァァッッッ!!
偶然のスライディングがゴーレムの足元を掃除し、滑らせて転倒させる。
アーク︰「……お前、それ狙ってやったのか?」
山田︰「ううん、全然。でも勝ったっぽい!!」
アーク︰「それが一番タチ悪いな」
■報酬と次への布石
ユキンコゴーレムが溶けて、氷の中から出てきた宝箱。
中には《スノー滑り止めモップキャップ》が入っていた。
山田︰「これさえあれば、次からツルツルでも大丈夫だな!よし、履くぞ……おお、グリップ力すげぇ!」
アーク︰「まあ、次の“風の天空城ダンジョン”では、その効果はゼロだがな」
山田︰「えぇぇぇぇぇぇぇ!?また足元かよっ!!」




