第二十一章︰ミイラのピラミッドダンジョン! そして奴が来た
照りつける太陽、風に巻き上がる砂。
山田純一は、見事に砂に足を取られてずっこけながらピラミッドを見上げていた。
山田:「うわっ砂っ!目に入った!てかここで掃除って正気か!?」
持っているのは聖銀製クラリネットX。清掃用モップにしか見えない魔導武器である。
依頼は『ミイラの包帯と砂埃による視認性の低下を清掃せよ』というもの。清掃員に対する扱いが相変わらずひどい。
そのとき。
???:「ふむ……このシルエット、日の入り加減、そして崩落角度。設計時の意図が台無しだな」
山田:「あっ、おいコラ!この声は――」
砂丘の向こうから現れたのは、黒いコートに革製ケースを背負った男。
完璧主義者にして美学の権化、国家認定ランクAのダンジョン設計士。
アーク:「ここは元々“死者の回廊”として構築された美術的構造物だ。お前みたいなFランが土足で入る場所ではないな」
山田:「お前が設計したのかよこのピラミッド!!掃除しに来たんだよ俺は!」
アーク:「やめてくれ。清掃などという行為はこの“死のデザイン”を破壊するに等しい」
山田:「ミイラの包帯が絡まった階段で、3回転して落ちた俺の足にも謝ってほしい!」
■遭遇:ミイラ管理人・ナカタプテプ
ピラミッド内部に足を踏み入れると、辺りは真っ暗。
松明に火を灯しながら進む山田と、その後ろを冷静に歩くアーク。
突然、空間に響く不気味なうなり声。
「……ウグルルルル……掃除か……?設計者か……?」
山田:「うおっ!包帯マシマシのミイラきたー!!」
アーク:「ナカタプテプ……このピラミッドの管理ミイラだ。かつては俺が直接雇った」
山田:「採用基準どうなってんだよ!包帯で人を窒息させそうなんだけど!?」
ナカタプテプ(ミイラ):「埃、よごれ、もはや我慢できぬ……」
山田:「俺が掃除するからその包帯引っ込めろっての!くらえ、《掃除する者に祝福あれ》!」
魔導モップ・クラリネットXが光を放ち、床の埃と包帯を一気に除去!
ナカタプテプの体もみるみるうちにスッキリ。
ナカタプテプ:「気持ちいい……清掃……最高……包帯……不要……」
アーク:「……いいか山田。お前の行為は“デザイン崩壊”に他ならない。だが……認めざるを得ない。清潔さにも価値はある」
山田:「ちょっとだけ褒められた!?っていうか、設計士としてミイラが気持ちよさそうにしてるのを見て何とも思わないのかよ!」
■事件発生:設計図が吸い込まれる!?
山田が清掃を続ける中、突如、壁の魔力吸入口が作動。
アークの革ケースから設計図が飛び出し、ミイラの石棺へと吸い込まれた!
アーク:「……馬鹿な。設計図が……“再構築回路”に取り込まれた……!? こ、このピラミッド……自動的にリフォームを始めている!?」
山田:「やばいやばいやばい!なんか壁が回転してトイレが生まれたぞ!?ダンジョンの中にオアシスできてるぞ!?」
ナカタプテプ:「快適……バスタブ最高……」
アーク:「このままでは“恐怖の死者の迷宮”が“快適な古代スパ施設”に……っ!!」
山田:「もう手遅れだろコレ!清掃は終わったから報告書だけ書いて帰ろうぜ!!」
■後日談
ピラミッドは現在、国家観光局の管理下で『癒しのスパピラミッド』として再オープン。
元ミイラのナカタプテプは“スパ管理主任”として雇用され、利用者に温泉の入り方を優しく指導している。
アーク:「……次こそは完璧な“恐怖”を設計してやる……」
山田:「こいつ次のダンジョンも絶対清掃しづらくする気だ……!」




