第十七章︰クラーケンの海底神殿ダンジョン!モップとシュノーケルは海を越える!?
山田「なあ、ナナ婆……俺、泳げるとか言ったっけ?」
海辺の村からボートで揺られること三時間。
ダンジョン清掃員・山田純一は、ついに海底に沈むという《クラーケンの海底神殿ダンジョン》にやってきた。
眼前には、巨大な貝殻のような入口。泡がブクブク上がり、
クラゲのような案内看板がぷかぷかと浮いている。
【ようこそ!ダンジョン探索者のみなさまへ】
【ただいまクラーケン様、脱皮中のため中はヌメっております】
山田「**脱皮て何!?**聞いてないぞ!俺そういう生物系の掃除、苦手なんだって!」
■アーク登場、もちろん無呼吸
アーク「やれやれ、素人はこれだから困る」
どこからともなく現れるアーク・トレイス。
黒いコートを風になびかせ――海の中でもびしょ濡れにならない特注魔導防水仕様。
アーク「ここの美学は、“流動性”と“生命力”だ。クラーケンの粘膜すら、設計の一部だ」
山田「設計ミスだろ!? 粘膜って掃除用語じゃ“滑って死ぬ”の筆頭だぞ!?」
アーク「流される者こそ、時に最も洗練されるのさ」
山田「ポエムいらねぇぇぇ!!」
■水中掃除開始!
山田、魔導式の“潜水服(半分壊れてる)”を身にまとい、クラリネットXを両手に構える。
山田「行くぜ……水中モップ掃除ッ!」
ポン、とボタンを押すと、クラリネットXの先端がプロペラ式モップヘッドに変形。
ブゥゥン……!
山田「高速水流モップ洗浄!《モップ術・初級:スクリュースイープ》!」
回転するモップが海藻とヌメヌメを巻き上げる!
巻き上げた汚れがクラーケンの触手に引っかかり――
ぷるぷるぷるっ……!
山田「あ、あれ?なんか怒ってね!?今、触手震えてなかった!?」
■掃除中にボス遭遇!?水中大暴れ!
神殿中央に鎮座する巨大なクラーケン、脱皮中(全裸)。
モップのブラシ刺激が気持ちよすぎたのか、くすぐったさで暴走を始める。
クラーケン「きゃー!いやん!足が勝手に暴れてしまうぅぅぅ!」(CV:謎のイケボ)
ブシュウウウ!!
触手一本が暴れて天井を貫通!水がドバーッ!
山田「モップでくすぐっただけで構造崩壊ってどうなのよ!?アーク、責任取れ!!」
アーク「……おかしいな。触手耐久度、ちゃんと“10”に設定したはずなんだが」
山田「10ってスライムの防御力と同じなんだよ!!!」
■《不思議な残業魂》発動!
全身ずぶ濡れ、クラリネットXも耐久ギリギリ。
体力も限界――だが、ここで山田のスキルが覚醒!
山田「うおおおお……終わってねぇ……この汚れ、全部落とすまで俺は――ッ!」
\ピカァァァン!/
《不思議な残業魂》発動!
限界を超えた山田の身体が、謎の輝きを放ちながら“残業タイム”へ突入!
山田「モップは止まらねええええええ!!」
■掃除完了!神殿もクラーケンもピカピカ!
ぴかーん……
海底神殿は、まるでリゾートスパのように生まれ変わった。
クラーケン「はぁ~♪ すっきりしたわぁ……また来てねモップの人~♪」
クラーケン、すっかりご機嫌。お礼に“特製たこ焼き”をくれた。味は……塩っぽい。
■戦利品!
・《ヌルヌル真珠》:ヌメリと光沢がすごい真珠。なぜかモップの性能が上がる。
・《水圧耐性+1》のバッジ:微妙に役に立つ。
■アークの一言
アーク「やはり水は……余白の芸術だな」
山田「余白というか“洪水”だったけどな!!!」