第十二章:芝と犬と泥まみれ!?コボルト草原で地獄の芝刈り!
草原――
それは癒しの風景。生命の息吹。大地の優しさ。そして……雑草と獣臭と抜け毛の坩堝。
「なんだこの草原ダンジョン!? くさっ……!? というか、ぬるぬるする!?」
清掃員・山田純一、今日の現場はダンジョン界のアウトドア系エリア、《コボルトの草原》。
通称、“地獄の緑地帯”。
■現場状況レポート:コボルト草原ダンジョン
・【草が伸び放題】……腰まで届く雑草。中に何かが潜む。
・【獣臭&マーキング臭】……空気が重い。明らかに犬系の所業。
・【穴だらけの足元】……全部コボルトの落とし穴。しかも浅い。
・【骨】……多い。いろんな意味で多い。あと臭い。
■ナナ婆からの置き手紙
「草原系は油断大敵じゃぞい」
「クラリネットXは“芝刈りモード”にしとけ」
「あと、コボルトはおやつで懐く」
「俺、いつから芝刈り機になったんだろうな……」
■芝刈りスタート!…からの大誤算
「いくぞ、クラリネットX!モードチェンジ、《芝刈り》!!」
ブオオオオオン!
音が草原に響き渡る。あっという間に目の前の草を刈り取る魔導式モップ。だが――
「わんわんわんわんわんわん!!」
「うわぁあああコボルト大群きたああああ!!」
草原の奥から、犬耳獣人――コボルトが全力でダッシュ。なぜなら、山田が寝床を刈ってしまったからである。
■戦闘……ではなく“交渉”
「ご、ごめんって!悪気はない!芝生は……その……清掃対象で……!」
「ワン(寝床返せ)」
「ワ、ワン!?まさか言語が通じない!?」
そのとき、山田のポケットからナナ婆の非常用スナックがポロリ。
「ビスケット……!? って、おい!」
「ワン!(それ寄越せ!)」「ワンワン(それうまいやつ!)」
瞬時に懐くコボルト軍団。彼らはすでに雑草よりおやつ派に進化していた。
■通信:アークの登場
《芝生と獣……このダンジョンは“自然と理性の交差点”として設計した》
「どこに理性があんだよ! さっきコボルト、俺の足にマーキングしかけたぞ!」
《……ならばそこも“設計美”だ》
「最低かこの眼鏡コート設計士!!」
■清掃任務、完遂!
コボルトと和解した山田は、クラリネットXで草を刈り、穴を埋め、骨をまとめ、獣臭を拭き取り――
地獄の草原を、優雅な丘陵地へと変貌させた。
「これで……誰かがピクニックしてもいいくらいにはなった……!」
「ワン!」(※コボルトたちは芝でコロコロ転がって遊んでいる)
【取得スキル】
・《モップ術・中級》
・《動物対応 Lv1》
「……俺、どこに向かってるんだろうな……」
■お礼:丸太と骨と謎の首輪
「これ、オマエにやる。伝説の“コボルト首輪”」
「いや、それ俺が付けるやつ!?!?」