[終] 狼舞
ビーッ
「おい、朝ごはんができたぞウォーカー...」
朝の呼び掛け。
いつもなら部屋にいるはずのウォーカーがいない。
「...」
「トイレか?」
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「ふ、...ふっ...」
ポタポタ...
ビーッ
「なんだトレーニング室にいたのか。珍しいな」
「おい、朝飯できたぞ」
「どうも」
「お、今日は麻婆豆腐かぁ!」
「...目腐ってんじゃないか、卵かけご飯だよ」
「いただきまぁす」
「ったく、筋トレするなら換気しろって言ってるだろ。蒸し暑くて仕方ない」
ガララっ
「お嬢さんに飯はやったか?」
「あぁ、むしゃむしゃ食べてたよ」
「二日酔い明けは腹がすくだろうなぁ」
「ふぅ...」
「今どこに?」
「脱出カプセルの中にいる」
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カチョッ ビーッ
「宇宙船から見た日の出は初めてか」
「...」
「...小さい頃、お父さんが一日限定のスペースシャトルに乗せてくれた」
「人がいっぱいだったが、その中でも人気のない場所を取っておいてくれて」
「はしゃぎちらした。私らの住んでいる大きな地球から閃光のような光がゆっくりと飛び出してくる」
「それが太陽だと知った時はもっとはしゃいだ」
「...」
「君はまだ過去を生きている。嫌なことから顔を背け、未来へ歩み出そうとしていない」
「...」
「だが、そんな過去が自分を癒してくれることもある」
「そう考えると、ずっと過去に生きていてもいいような気がする」
「...」
「あんた、変わったな」
「知らないだけさ、私のことを」
「....」
「追っては、来ていないか」
「来てないな。江原の連中だっけ」
「...」
「まさか...ウォーカーお前...ッ」
「...」
「______朝飯前さ」
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▅▅▅▅薔薇と拳銃▅▅▅▅
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________昨日の晩________
「じゃ、ちょっと栄養ドリンク買ってくる」
「こんな時間にどこ行くんだ?」
「コンビニだよ、お前も行くか?」
「行かない。私はお嬢さんの面倒見てるよ」
「そうか。行ってくる」
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_______地球 日本 : 天気 雨________
ガララッ
「______あ?誰だてめぇ」
「...」
バギョンッ
「ぶべっ...!」
「...」
「組長の江原はどこだ」
ガチャガチャッ
「てめぇどこのもんだッ!こんな事してタダで済むと思うなよッ!」
「...かつてここを治めてた者さ」
「...死ねッッ!」
バババババババッ
ひゅっ ひゅんッ
ウォーカーは棚の後ろに隠れ破片手榴弾を投げる。
パァァアアアンッ
「ぶぎ_______ぁ_____ッ」
「...」
「やっぱ寝室か。今午前4時だもんな」
ダダダダッ
「死ねやぁぁあああっ!」
バギャンッ
向かってきた組員にスタールアーミーリボルバーの鉄塊を食らわせる。
「______0.11秒。ちょっと遅いな」
くるくるくるっ
パシっ
ガラッ
「...ッ!」
_________バギュンァッ
ひゅんッ
襖を開けようとしたすんでのところで異変に気づき、前髪を掠めた9mmの弾丸をかわす。
「...」
「やっぱりお前だったか。羽咲のおっさん殺したのは」
「ジャンキー・ファニー。いや今は...」
「江原組長と呼ぶべきか」
「ふぅ...ふ...ッ!」
白い掛け布団の上に転がって、汗びっしょりの褐色肌の男。
10年前から指名手配中のジャンキー・ファニー本人である。
右手には一発しか入ってないガバメントを持ちあげて震えていた。
「やっぱりあの時殺しておくべきだったんだ。俺と羽咲のおっさんで賞金首のお前を追い詰めた時」
「でもおっさんは、情がどうとか仁義がどうとか...甘いんだよ。だからこんな雑魚に足元すくわれるんだ」
ジャキッ
「________所詮こいつらは値段のついた無法者。かける情もクソもない」
「_______それを来世ではしっかりと教訓にして__」
「▅▅▅▅▅安らかに眠れよ、おっさん▅▅▅▅▅」
_________バギュンッ
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▅▅▅▅薔薇と拳銃▅▅▅▅
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