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[続続] DJANGO






[______間もなく天王星、首都ビバリウムに到着します。離陸が完了するまでシートベルトを外さないようにお願いします]







______________________






ザッ ザッ ザッ ザッ...







機内改札ドアを抜ける。


全て、紺青色と白色の吹雪が吹き荒れる寂しい惑星だった。


地球とは比べられない程大きな粒が頬を刺す。







「そこのお姉さん。そんな格好してたら怪我しちゃうよ」







後ろの改札から出てきた茶髪の女に言葉をかけられる。


背丈は私ほどで、黒のダッフルコートを着ていた。






クルっ







カチッ







「お気遣い感謝します」






女の方を向き腰の刃物に触れる。


もし奴らだったら...殺す。






「...」


「怖いね、あなた。近くに暖炉があったから連れていこうと思ったんだけど...」






その少女は苦笑いをして私を見る。








「(拳銃、刃物類なし。敵意も感じとれない)」


「...いえ、ぜひ案内願います」







「うん、ついてきて」







______________________





吹雪の先少女について行くととある銀色の小屋にたどり着く。この小屋もここで降るダイヤモンドで出来ているのだろうか。






ギィ...






「さ、入って」






「あなたからどうぞ」






「...」


「そう。じゃあお先」






「...」






コッ コッ コッ コッ...






「...」


「随分と湿気が多いですね...」








「あははっ!これはサウナだよ!天王星で暖炉って言ったらフィンランド式サウナのこと!」


「なんか重たい顔してたからリフレッシュにどうかなって...ね?」







「...」


「いただきます」






_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _



_____▅▅▅▅薔薇と拳銃▅▅▅▅_____



_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _






プシュジュァァァ....






「ふぅ...ぎぼぢぃぃ...」






「死にそうな声出さないでください。大丈夫ですか」






「ああ、大丈夫...いつもの事だから」


「それより君、全然大丈夫そうだけど...もしかしてサウナ入ったことある...?」






「私の故郷ではサウナが盛んでした。特に若い衆がこぞって入ってたイメージです」







「若い衆...ああ、なるほど...」






「(...勘づかれたか?)」






「あなたは...そっち側の人間?」






「そっち側、とは?」






「まぁ...脱衣所であれ、見ちゃったから」






...刀を見られた。


表からは見えないように裏に隠していたのに。






「知ってあなたは...私をどうしますか」






「...」


「何もしない。ただあなたとここでサウナに入るだけ」


「それが最善だと信じているから」






「...」


「それが最善だと、いいでしょうね」






「...実はね、私の家もそうなんだ」


「モンテクリストって...知ってる?」







「...ッッ!」






「...大丈夫。私は勘当された身だから、もう関係ない」






「...」







ここでこの女がマフィアの構成員だとしても、私にかなうはずも無い。


腕が細い、席中央に座っている、私より体力がなさそう。


これはどう考えても...一般人だ。


だが確証が欲しい。






「...」


「信じましょう。続けてください」






「ありがとう。紹介遅れたね、私はサン・シャルプンテ」


「姉がモンテクリストの構成員だった」






「あなたは違うのですか」






「生まれた時はそうなる予定だった。でも、私にはヤクザとしての素質がないらしくて」


「一人の世話係と他の惑星に置いていかれちゃった」






「...」






「でも姉は違った。私より運動神経があって、統率力があって、人を殺すことができた」


「気がついたら16歳で月7000$も稼いでいた。おかしいよね...子供が持つ額じゃないよ」


「でもそんな姉は私に一番優しくしてくれた人でさ。知らない星に置いてかれた時も私に会いに来てくれた」






「では、今日がその姉に会いに行く日で?」







ジャァア...







サンと隣同士シャワーを浴びる。


私は彼女にそう質問した。







「当たり。よくわかったね」


「大好きな姉だからって、あなたはマフィアに会いに行く私を最低だと思うかな」






「...」


「他にあなたを大切にしてくれる人が居なかったのなら、仕方ないと思います」







キュッ








「でも極力、ヤクザやマフィアには近づかない方がいい」


「本当のヤクザは、その好意すら邪悪だ」






「...」


「ありがとね、心配してくれて」






「これは忠告です。私もつい情に流されました」


「お先に失礼します。私には、やることがあるので」






バタンっ






「...」


「ほんとに普通の人...じゃないのかなぁ」






_______________________





ザッ ザッ ザッ ザッ...






「________お姉ちゃん」






「やぁ、久しぶり。サン」


「疲れてない?病気や怪我なんかはしてない?」






「相変わらず心配症だね。大丈夫だよ」


「それより、またお茶でも飲もうよ。話したいこと沢山あるんだ」






「あぁ...そうだな」






パンッ






「...」





「...」


「...お姉...ちゃん...?」






「...」






「...げぱっ」






ドサッ...






「...」


「服を脱がして埋めろ...服は私が燃やす」





_______________________






「...サン、あなたは姉を好きだと言っていましたね」


「ですがそれがマフィアなら...絶対に近づいてはいけなかった」


「なぜなら二人の仲を引き裂くのはいつだって...その組織なのだから」







大きな工場の前にて人が撃たれる瞬間。


木の影に隠れてその現場を見た私は、ただ切実にそう呟いた。






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_____▅▅▅▅薔薇と拳銃▅▅▅▅_____



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