第七問 質問の回答は複数選択式でお願いします。
初めまして、仁奈です。
練習の一環として挙げていきます。ちなみに何の練習かは…秘密です。
よければ忌憚ない意見をくださいね。
※建前ですので、本気にしないでください。心閉ざすかも。笑。
お待たせしました。
第7話です。
複数選択は2個までがいいです。多くても選べないので。皆さんはどれくらい選びたいですか?
全13話を予定しております。
短い間よろしくお願いします。
スタディアの街にきてから、今日で5日目の朝、僕たちは、当たり前の日常にようにギルドの酒場で、ギルマスお手製の朝食をとっていた。
「クエストを受けるわよ」
そう、僕の向かいの席に座り、朝食を共にしているリディが力強く宣言した。
リディはエリカからもらったような現代風なおしゃれな服装ではなく、初日に来ていた、控えめなゴスロリ服に身を包み、しかし初日とは違い、長いプラチナブロンドの髪を赤い髪どめで留めていた。髪留めは3日目にリディと一緒に訪れた、エリカおすすめのあの時代を先取りしすぎた店で買ったものだ。ちなみに僕もつけている。というか、つけさせられている。リディをあの店に連れて行ったのは失敗だったのかもしれない。
彼女は現代風な綺麗で可愛い服装が陳列されているのを見て、どうやら琴線に触れたらしく、店主のお婆さんと大いに盛り上がった。店主さんは共感してくれる人が珍しいのか、年甲斐もなくはしゃぎ、やれペアルックじゃとか、やれ双子コーデじゃとか、一人テンションについていけない僕にリディと同じ服を着せようとしてきた。しかも、リディも興奮気味に同調し、迫ってきた。しかし、双子コーデは僕にとって恥ずか死ぬこと確定なので、必死に抵抗。その結果、同じ髪留めをつけるに落ち着いた。
そんな、新しく買った服を大事にするように初日の服装を着た彼女に対して僕はいった。
「え、嫌だけど。なんで、わざわざ危険を犯すの?ゆっくり過ごそうよ。」
そんな僕の言葉に唖然とした彼女は、しかし続けて僕に優しく問いかけてくる。
「ねえ、カイ。今日がここにきてから何日目か気づいている?」
「え?5日目だけど。」
僕はなんでもないようにそう答える。しかし、彼女はため息をつきながらなお問いかける。
「じゃあ、あなた4日目は何していたの?」
「うん?いつも通り、午前中はエリカと一緒に魔法の練習をして、午後は、街のお菓子屋に足を運んだよ。お土産のお菓子、一緒に食べたじゃん。」
「うん、そうね。あれは美味しかったね。…いや、そうじゃなくて、もう気づいたよね?私たちこの街にきて一銭もお金を稼いでないことに。そして今日は5日目です。」
僕は、リディの言葉を少し考える。確かにここにきてから一銭も僕たちは稼いでいない。ここにくる前に馬車の残骸から拾った56,000シルしか持っていない。そしてそれは、街に入る時や宿代などに使って残りわずかしか残っていない。だけど、それはまだ魔法初心者の僕たちが、危険なクエストに向かう理由にならない。だって、食と住処はギルドに泊まっている限り提供してくるのだから。うん?…あれ?そういえば宿代って何泊分だっけ?え、もしかしたら、やばい?
僕が不味い真実に気づき始めた頃、リディが答え合わせをするように話し続ける。
「そう、3泊しかできない宿に今日で4泊目です。…昨日、あなたは私を置いて一人お菓子屋に行ったよね。そのとき、私はギルマスにあと1泊と頭を下げていました。」
リディの口調は話始めに比べ、冷めたものに変わり、僕は咄嗟に机に額を擦り付け謝る。
「すいませんでした。そしてありがとうございます。」
彼女は「はー」と長いため息を漏らし、言葉を続ける。
「まあ、いいよ。それで、ギルマスは今後はクエストの報酬から宿代を引くからクエストを受けろって。だから今日はクエストに行くよ。いいね?。
「はい。行きましょう。」
僕に拒否する権利なんて、最初から無かった。僕はとても従順に答える。
しかし、そうなるとどのようなクエストに出るかだな。危険な討伐クエストは論外。できれば採取クエストがいい。のんびりと草むしっていたい。そう思い、リディに提案する。もちろん本音は隠して。
「クエストどうする?魔法が使えるようになったからって僕たち、まだ初級魔法程度しか使えなし、討伐系のクエストは無理じゃない?」
「…ええ、そうね。だから、最初は採取系のクエストを受けようと思う。」
「そうだね。朝食の後でもクエストボードにいいのがないか見に行こう。」
「よしっ」と僕は、心の中でガッツポーズをしつつ朝食を口に運んだ。
ちなみに朝食で出てくるスライムドリンクはリディの分も僕が飲んだ。まだ闇魔法でなんとかできないらしく、彼女がエリカに教わった方法を暇さえあれば練習しているのを知っている。美味しいから飲めばいいのに。
僕たちは朝食を食べ終わった後、酒場の壁にかけられた、クエストボードに足を運んだ。
するとそこには大きなとんがり帽子とローブを羽織った女性がいた。僕たちに魔法を教えてくれたエリカだ。
エリカに気づいたリディが声をかける。
「おはよう、エリカ。エリカもクエストを受けるの?」
「あ、リディ、それにカイもおはよう。そうよ、だから今日は練習に付き合ってあげれないの。ごめんね。」
「ううん。私たちも今日はクエスト受ける予定だから、気にしないで。」
リディがそういうと、エリカは何やら考えるそぶりを見せてこういった。
「それじゃ、せっかくだし、クエストについて教えてあげるよ!」
僕たちは、魔法に引き続きクエストについても彼女に教えを乞う事となった。
「えーとね、クエストは難易度・重要度によってランク分けされていて、ボードの上の方に張り出されているのが難易度星5のクエストで滅多に誰も受けない。そもそも受けるのには大抵ギルマスの推薦が必要になってくるかな。まあ、あなたたちは今回初めてだろうから下にある星1のクエストをよく見るといいよ。そして、クエストが決まったら、カウンターに立っているガルムさん、まあ、もしくは直接依頼者でもいいけど、張り出されている依頼書をどちらかに持っていくことでクエストを受けることができるよ。」
彼女は一息に必要な部分を教えてくた。
僕は、ありがとうとお礼を言いつつ「クエストを達成したらどうするの?」と終了後のことも尋ねた。
「達成後は、そうね。ゴブリン討伐だったら耳を。薬草採取だったら薬草そのものを基準量をガルムさんに渡せば、報酬をもらえるよ。ただ、失敗したら違約金を取られるから気をつけて。」
僕は「ありがとう」といい、クエストについて納得しているとリディが彼女に問いかけた。
「ありがとう、エリカ。エリカはどのクエストを受けるの?」
「私は調査クエストに今から行くつもり。なんでも街の近郊に凶悪生物の目撃情報が寄せられていてね。それの調査と可能なら討伐をしてくるよ。」
彼女はそう答えた。
そんな彼女に対して、リディは心配そうになお問いかける。
「それは、大丈夫?一人で受けるの?」
「ううん、ベターって知ってるよね。彼と一緒に受けるつもり。星3のクエストだけど重要度が高いって意味だし、そんなに心配しなくてもいいよ。けど、ありがと。」
彼女はそして「じゃあ、待たせてるし、行ってくるよ。君たちも気をつけてね。」と明るくいい、ギルドから出ていく。
僕たちは彼女に手を振って見送った。
リディはベターと一緒と聞いて、少し不安になったようだが、僕が安心させるように「大丈夫だよ」と声をかける。
だって彼はベタな行動しかとらないのだから…安心しかない。
僕はここにはいない彼に向けてサムズアップし、ボードに張り出されているクエストに目を向けた。
ボードの上の方には、隣国のドリスって王国までの要人の護衛や南の森近くにあるらしいダンジョンの踏破、果てはレッドドラゴンの素材回収など、エリカの言っていたように難易度や重要度が高いのばかりだった。
中から下の方にかけては、ゴブリンとか魔獣の討伐といったドラゴンに比べれば比較的マシな部類の討伐クエストだったり、街の住民からの依頼、そして、薬草の採取などの採取クエストが張り出されていた。
「うわ、リディ見て、ドラゴンだって!この世界ドラゴンなんているんだね。」
僕は、ボードに張り出されていた一枚の依頼書を指差し、少し興奮気味に隣にいるリディに話しかける。
「え、あーそうね。いるけど、滅多に現れないよ。カイのいた世界ではいなかったの?」
「いなかったよ。けど、想像上の生き物ってことでそれなりに有名で、よく創作物とかでカッコよく描かれてたんだよね。みんなの憧れだったよ。ドラゴンって聞くだけでちょっとテンション上がるぐらいにね。」
「そうなんだ。じゃあ、会えるといいね。」
「えっ、会いたくなけど。」
「…えっ、会いたくないの。」
「いやだって、死ぬじゃん。僕が。」
「…」
僕がそう答えると彼女は困惑したそぶりを見せたが納得したように「そ、そうね」と答えた。僕はそんな彼女の反応に気にも留めず、適当な採取クエストがないか下の方を探す。
すると、ある一枚の依頼書が僕の目に留まったが、すぐさま視線を逸らした。
こ、これは…
僕は、一瞬動揺をあらわにしてしまったが、それを誤魔化すように別の依頼書を手に取り彼女に見せる。
彼女も気になったものがあったらしく、互いに選んだクエストを見比べどちらにするか話し合うことになった。
「僕のは、えーと、迷い猫を探して欲しいだって。場所はこの街の中みたい。そっちは?」
「私のは街の南の林に咲いているネス草っていう薬草の採取よ。」
「え、ネス草?それはどういう薬草なの?」
「えーと、結構有名な回復薬の原料なんだけど、白い花で少し青白く光っている植物のことだよ。」
「光ってるの!?それは…すごいね。」
「…そうね、ちょっと珍しいよね。光るのは魔力を取り込むという仕組みの影響なんだけど、光の色によって効能も変わるの。今回は青だからローポーションの原料になるの。ちなみに他には…」
僕がネス草について聞くと彼女はそう詳しく説明してくれた。どうやら、いろんな色に光るザ・ファンタジー植物があって、それが回復薬の原料になるらしい。最初に受けるクエストしては無難なところで、場所も南の林とまだ行ったことがないなど何かと都合がいい。
僕は「それにしよ」とリディにいい、僕たちはカウンターのガルムさんに依頼書を持って行った。
ガルムさんは依頼文書の中身を確認すると小さく頷き「気をつけろ」と僕たちを送り出してくれた。
僕たちはその言葉を受けて止め、ギルドの外へと向かった、しかし玄関に差し当たったところで僕はふと立ち止まり、「先に行っていて」とリディに言った。
リディは首を傾げ「どうしたの?」と聞いてきたが、僕は「ごめん、ちょっとね」と言い、玄関とは反対の方向に一人足を進める。そして、クエストボードの横を通り、厨房に向かった。
そこでは、ギルマスが朝食の片付けをしていた。
僕に気づいたギルマスが僕の方を振り向き、口を開く。
「お、どうした?こんなところまで。」
「…」
「あー、そういえばクエストは決まったのか?」
「…」
僕は、ギルマスからの問いかけに無言で答え、すっと、さっきクエストボードから掠めとってきた一枚の依頼書を彼女の前にさしだした。
「…っ!」
それを見たギルマスは口を閉ざし、熱く僕を抱きしめた。そして…
「同志よ」
と静かに呟いた。
ギルドの出入り口の前でリディと合流した僕は、南の林に行くため、街の中を歩いていた。
街の人は相変わらずチラチラと見てきたが、あのおばあちゃんのせいだと思うと不思議でもなんでもなかった。
街を出るまでの道中、リディがギルドでの出来事を聞いてきたので、僕はなんでもなかったように「ギルマスに昨日のことについて謝ってきたよ」と答えた。
彼女はそれで納得してくれ、その後も彼女と取り留めない会話を続けていると街の関所が見えた。
関所には当然ながら、鎧を着た人達が入出の審査を行っていた。
僕らは今度は、身分証明書である冒険者カードをみせ、街を出ようとすると鎧の人が手を突き出し行手を阻んだ。
え!?もー今度はなんだよ?身分証見せたよね。なんでだよ、僕はこのパターンは知らない。
僕はそう思って、ため息をつき、身構えていると、鎧の人は優しく声をかけてきた。
「嬢ちゃんたち、無事にギルドに辿り着けたようだな。その様子だとクエストにでも行くのか?」
僕は、僕らはその声に聞き覚えがあった。
そう、このスタディアの街に入る際も僕らの行手を阻んできた奴だ。
でもまあ、今回は奥の部屋行きとかはなさそうだ。
僕らは、ほっと安心し、彼の言葉に頷く。
すると、彼は「不穏な噂があるからしっかりと気をつけて行ってこい」と僕たちの背中を優しく叩き送り出してくれた。
彼はいい人かもしれない。街に入る時もなんだかんで結局は入れてくれたし。
僕がそう感じていると彼は何かを思い出したように林の方へと歩み出した僕らに声をかけた。
「あ、そうだ。嬢ちゃん、スライムは食べるんじゃないぞ!」
「…」
その言葉を耳にした周囲の人たちはギョッと目を見開き唖然とした表情で僕の方を見つめてきた。そして隣を歩くリディは「はー」と頭を抱えため息をついた。
「…」
ねえ、僕何か悪いことしましたか?スライムってそんなにダメなの?悪いスライムじゃないよね。教えてよ…同志。
場が凍るという僕にとって腑に落ちない出来事が起きたが、それ以外はなんの問題もなく、街の南にある林、今回のクエスト対象であるネス草の群生地にたどり着くことができた。
そして、僕は目の前に広がる光景に息を呑んだ。
木々の間から溢れ漏れる日の光があたりを優しく照し、空気が薄白く輝いて見えた。空気がスモークがかかったように淡く輝く中、その下から照らすようにネス草が放つ淡い青い光が広がり幻想的な風景を作り出していた。
僕が、元いた世界では見られないよう風景を前に感動で佇んでいると、隣のリディが「綺麗ね」と小さく共感してくれるように呟いた。
僕らはしばらくの間その景色を見た後、二手に分けれ、採取に取り掛かることにした。
僕は少し、もったいないと思いつつもネス草を摘み取り鞄に詰めていく。そして、時々周囲を見渡してはあるものを探していた。
そう、スライムだ。実はリディに隠れてスライムの捕獲クエストを僕は受けていた。もちろん依頼主は言うまでもなくギルマスだ。ここは、爽やかなハーブのような芳醇な香りがするとされる緑色のスライムが生息しているらしい。
僕はぜひ口にしたいと、楽しみで顔に笑みを浮かべあたりをくまなく探していると一本の木の根元にいるのを発見した。
僕は駆けつけるようにしゃがんでスライムを掴み喜びを噛み締めていると突然、後ろからリディの悲鳴が聞こえた。
僕は、すぐさま後ろを振り向くとリディが怯えた表情を浮かべ地面に手をついていた。リディの視線の先に目向けるとそこには、全身に傷跡を刻み、赤い肌をした、まるでゲームとか漫画からそのままでてきたような一体のオーガ?が棍棒を手に持ち息を荒げながら立っていた。
「え!?どういうこと?」
僕が、突然訪れた平穏の終了を理解できず声を漏らし呆然としているとオーガが「グァッ、ガァああああああああ」と叫び声をあげ、動けないリディの方に向けて走り出し、棍棒を振り翳していた。
僕は何が起きたか分からず、その光景を呆然と見ていたはずなのに、いつの間にかリディが後ろで蹲っていて、僕は眼前に振り下ろされる棍棒を見つめていた。
あ、死んだ。
他に何の疑問も浮かべず、ただただ僕はそう感じた。そして、体に衝撃を受け、今まで感じたことのない痛みが全身に走った。
「…」
しかしながら、不思議と意識は保つことができた。どうやら咄嗟に体が魔法で防御したようだ。あたりに散らばった氷の破片が光を反射しキラキラと輝いていた。
「はは、綺麗だなあ」
僕はその光景をみて乾いた笑いをこぼし、いかにも場違いな言葉をつぶやいていた。
そして、そう自分が呟いたことに驚き咄嗟に口を手で押さえた。だけど…
ふふ、なんだろう。すごいピンチなはずなのに。死にそうなはずなのに。口が吊り上がり笑みが思わず溢れてしまう。
僕の後ろでは、リディが「なんで…また…」とか「やめて」とか震えた声で言っているが正直どうでも良くなってくる。
ほんと、なんだろう。血の流しすぎかな。
視線を下げると足元は赤く染まっていた。しかし、それを見て、またどこかおかしく感じる。
はは、おかしいね。自分に起きていることなのにまるで画面の外から見ているような、他人事のように感じてしまう。
そして、僕は笑みを浮かべ、目の前に立つオーガに目を向けた。
黒のベールが今、剥がされる。
お読みいただきありがとうございます。
なんとか無事に帰ってきました、仁奈です。
ふと、前回のあとがきを投稿した後読み返してみると、衝撃の事実に気がついてしまいました。
あれ?私、死亡フラグ踏んでね?
死亡フラグなんてフィクションの中だけの話だと思いますが、ハラハラしながら日々を過ごしてまいりました。
無事にこの日を迎えることでき、名も知らない神様に感謝いたします。
さて、本編の話を少し触れたいと思います。
主人公がついに敵と戦います。異世界ものと言いながら、全体の中盤でようやくです。皆様お待たせてしました。
ここで、どうして引っ張ったのか疑問に思われる読者様がいらっしゃるかもしれませんので、一応弁解させてください。
まぁ、大した理由でないのですが、ただ単に戦闘シーンってどう描写すればいいか、イメージが全くつかなかっただけです。つまり、苦手ということです。
・・・ほんと、しょうもない理由で、すみません。
さて、そんな感じで始まったバトル、どうなることでしょうか?
私みたいに死亡フラグ踏んでなければよいのですが・・・。
それでは、クエスト帰りで眠たいので、今回はこれぐらいにしまして、今後一気に話が進むと思います。最後までお付き合いください。よろしくお願いいたします。
皆様、おやすみなさいませ。
次回 報酬のティッシュは意外に嬉しい